香港の公団住宅 石硤尾邨美荷樓に行ってみました

1954年、開発が始まった香港で初めて作られた公団住宅、石硤尾邨。50年以上もの間、香港の人々の暮らしを支えてきた住宅でした。

こんにちは、香港ナビです。香港の街を歩いていると新しいビルやマンションの建設工事が行われている場面をたびたび見かけます。どこもかしこも目まぐるしい勢いで開発が進められています。古くからある香港の公団も例外ではありません。ここ数年で多くの公団の取り壊しが決定し、残念ながら風情のある古い公団は次第に姿を消していっています。そんな中、3人の写真家が、人々の生活の様子を記録に残そうと住人の様子を撮影し、また石硤尾にある公団の1部が一般に公開されるなどの企画が催されています。早速そのイベントに出かけてきましたのでみなさんにご紹介したいと思います。
香港の典型的な部屋がアート作品になっていました

香港の典型的な部屋がアート作品になっていました

石硤尾邨の紹介文 

石硤尾邨の紹介文 

実際に美荷樓の建物を見る前に、現在期間限定で催されている『Light and Shade: life passé in old estates Photo and Video Exhibition』の様子をご紹介します。
石硤尾邨の様子 石硤尾邨の様子 石硤尾邨の様子

石硤尾邨の様子

ここでは香港人の3人のカメラマンによって撮影された多くの写真が展示されています。3人のカメラマンのうちの一人は公団で育ったそうで、撮影中は懐かしく当時のことを思い出したそうです。
美荷樓41

美荷樓41

現在も立派に残っています

現在も立派に残っています

石硤尾邨美荷樓(Shek Kip Mei Estate Mei Ho House)

石硤尾邨美荷樓(Shek Kip Mei Estate Mei Ho House)は1953年に、香港で初めて作られた公団住宅です。第二次世界大戦後、多くの人々が中国大陸から香港に渡ってきました。しかし、彼ら全員が住むことのできる充分な数の住宅はなく、自ら簡易住宅を作るなどして住み着くようになったのです。しかし、当然安全面や衛生面では多くの問題があり、結果、1953年、大きな火事が発生してしまい、再び多くの人が住む家を失ってしまったのです。これを機に、香港政府は彼らに安全な住宅を提供することを決め、香港で初めての公団が建てられることになったのです。

多くの若者が訪れています

多くの若者が訪れています

見るからに老朽化しています

見るからに老朽化しています

大勢の香港人が写真撮影をしています

大勢の香港人が写真撮影をしています

2004年にこの公団が閉鎖されてから、一般公開され、連日多くの人たちがここを訪れ、写真に記録を収めています。香港ではこういう古い建物はそこらじゅうで見かけることができますが、それでも公団は歴史的にも重要な役割を果たした建物なのでしょうね。

侵入防止のための柵

侵入防止のための柵

エレベーターはなく階段のみ

エレベーターはなく階段のみ

サッカー禁止・自転車禁止

サッカー禁止・自転車禁止

侵入防止のための柵が各階に付けられています。安全面を考えてのことでしょうが、それほど治安は良くなかったのでしょう。

香港ではお馴染みの二重構造のドアです

香港ではお馴染みの二重構造のドアです

イギリス式の1階が2階と表示されています

イギリス式の1階が2階と表示されています

1階の一部の部屋も公開されていて、人々が生活していた当時そのままの様子を見ることができます。一部屋の広さは、8畳弱ほどで、この広さの部屋にベッドや食卓テーブルなどの家具類が置かれ、台所やお風呂場があります。一人暮らしには十分な広さですが、ほとんどの部屋が家族用の部屋として使われていたため、かなり窮屈な暮らしを強いられていたと想像できます。

食器棚と冷蔵庫

食器棚と冷蔵庫

テーブルと二段ベッド

テーブルと二段ベッド

テレビもありました

テレビもありました

カセットテープとカセットプレーヤー

カセットテープとカセットプレーヤー

木の椅子

木の椅子

二段ベッド

二段ベッド

食器棚と中国風の食器類

食器棚と中国風の食器類

アンティーク調の木の椅子とテーブル

アンティーク調の木の椅子とテーブル

食卓テーブル

食卓テーブル

台所

台所

ガスコンロ

ガスコンロ

洗濯物も干されています

洗濯物も干されています

台所は仕切られていて、別部屋になっていますが、とても狭いです。ベランダのようになっているので洗濯物も台所に干されていたようです。

時代を感じるミシンです

時代を感じるミシンです

古時計

古時計

1段ベッドの部屋もありました

1段ベッドの部屋もありました

部屋の中に置かれている家具などはどれも時代の経過を感じさせるものばかりで、どれもアンティークのようでした。この部屋の中を見ると、町中の雑貨屋さんで売られている様々な生活用品を見ることができます。日本では全く見かけないものでも香港の人たちにとっては欠かすことのできない生活必需品だとわかります。


いかがでしたでしょうか?香港では今でも至る所で公団住宅が残っています。しかし時代の経過とともにその姿は少しずつ変わっていっています。家族同士は言うまでもなく、隣近所の人々と協力し合って生きていく香港人の基本がこの公団住宅から知ることができたような気がします。以上、香港ナビがお伝えしました。

その他情報

石硤尾邨美荷樓の一般開放は期間限定です。詳しくは、香港房屋委員会の公式ウェブサイトにてご確認ください。 http://www.housingauthority.gov.hk/hdw/b5/aboutus/events/community/heritage/home.html
関連タグ:住宅

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-07-24

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