灣仔民間生活館

Wan Chai Livelihood Museum

閉店・移転、情報の修正などの報告

異国なのに懐かしい、スージーウォンの世界を彷彿させる生活博物館が湾仔にオープン。本物の「古き良き香港」がしっかりと残っています。

こんにちは、香港ナビです。香港も中国返還からあっという間に10周年を迎えました。時間の移り変わりは、文化や環境の変化も意味します。この10年の間に起きた、SARS、鳥インフルエンザなど、様々な苦境を乗り越え、現在は景気の回復から発展へ、地域の新しい開発へと飛躍の一途を辿っています。一方その時代の流れとともに、古きよき、懐かしき香港の姿も変貌を余儀なくされつつあります。香港島の灣仔もそんな流れに影響を受けている地域のひとつ。失われつつある庶民の生活を残そうと、古い建物を利用して庶民の力で博物館が作られました。

灣仔名物「藍屋(ラムオッ)=ブルーハウス」

博物館は、築85年の歴史がある“一級歴史建築物”の住宅にあります。以前は酒蔵だった1階を政府の許可を得て利用しています。この住宅は老朽化が進んだ際に、政府によって青いペンキで塗り替えられたことから、別名“藍屋(ラムオッ)”と呼ばれています。以後、灣仔の名所として、注目を集めていました。上階には今も住人がいますが、建物の老朽化が深刻化し、本格的な建て直し計画が持ち上がっています。
青く塗られていない部分が、本来の姿。

青く塗られていない部分が、本来の姿。

中の階段は、木造になっています。

中の階段は、木造になっています。

台所だった場所を今は展示品を並べて、こんな姿へ。

台所だった場所を今は展示品を並べて、こんな姿へ。

大きな窓は中庭につながっています。暑い夏も涼しげです。

大きな窓は中庭につながっています。暑い夏も涼しげです。

天井も、木でできています。珍しいですね。 天井も、木でできています。珍しいですね。

天井も、木でできています。珍しいですね。

博物館の背景と展示品の数々

灣仔地区で社会福祉活動を行っている“聖雅各福群會(St. James’ Settlement)”が活動の一環として、廃品の回収をしていました。回収品はそれぞれに廃品とはいえない価値のあるものばかり。何とか後世に残しておきたいという思いから、2004年7月に“灣仔民間生活館(Wan Chai Livelihood Museum)”をオープンしようとボランティア20数名がオーガナイザーとなって、活動を開始しました。そして2007年1月にめでたくオープンの運びとなりました。
展示品は、すべて地域の人たちから譲り受けた実際に生活の中で使用されてきたものばかり。すべて時代を物語る生きた教材です。
引き取る際には、使っていた当時の思い出や、思い入れなどを持ち主から詳しく聞いて記録し、展示に記すなど、心のこもった配慮がなされています。自分の手を離れても、ほかの人の目に触れ、自分の大切な思い出を共有できる喜びはひとしお。地元の人たちも自然とここに集まり、懐かしい思い出話に花が咲くことも多いようです。
珍しいもの、価値のあるものが並ぶ博物館には、展示品を売ってほしいというアンティークコレクターもやってくるようです。でもこれは地域の皆さんからの預かり物のようなもの、販売はできませんとのことです。
こちらは、お店で実際に使用していた棚をそのまま持ってきました。お得意先の電話番号が手書きで張ったままになっています。現在の香港の電話番号は、“2”で始まるので、ここに書かれている番号はかなり昔のものです。
博物館がある場所に酒蔵があった、“聯興酒荘”からは、実際にお酒を入れていた壺や営業許可書。この許可書がないと、お酒類は扱えませんでした。

展示のテーマ

展示テーマは、2ヶ月ごとに内容を変えています。取材時のテーマは、“睇戲・漫画・収音機(映画鑑賞・漫画・ラジオ)”と題して、50年から70年代の庶民の娯楽を代表するものを集めて展示していました。展示品の中には、この企画のために新たに市民から借り受けた秘蔵の品々や、コレクションも含まれています。毎回、新しい企画に合わせて、市民の方々からお借りする品物もたくさんあります。
映画のポスターは、以前映画館を営んでいた方からお借りしました。当時は写真でなく、絵なんですね。今も香港では人気の二大女優、蕭芳芳と陳寶珠のアイドル時代の姿です。
映画関係の雑誌や、昔のマンガ本は、近所のコレクターからの提供です。 映画関係の雑誌や、昔のマンガ本は、近所のコレクターからの提供です。 映画関係の雑誌や、昔のマンガ本は、近所のコレクターからの提供です。

映画関係の雑誌や、昔のマンガ本は、近所のコレクターからの提供です。

モダンにデコレーションされた当時のアイドルのブロマイド写真と、懐かしいLPアルバム。昔憧れたスターの姿にじっと見入る人の姿も見受けられました。青春はやっぱり、いつまでたっても忘れられないものなんです。
担当しているボランティア職員の阿華(アワ)さんの人柄の良さもあって、毎日地元の人たちが憩いの場として集まってきます。レトロな世界に興味を持った若い世代や、昔ここに住んでいた人など、多くの人々が訪れます。また学校の課外活動の一環として、学生たちが訪れることもあります。様々な年齢層の訪問者からの心のこもった言葉が彼女を始めとしてボランティアの人々の活動を支えてくれているそうです。
ボランティアで運営されているため、訪問者からの寄付金が主な収入となります。オリジナルTシャツ(HK$120以上の寄付をされた方に贈呈)、ポストカード(HK$30以上の寄付をされた方に贈呈)などもぜひおみやげにどうぞ。
いかがでしたか?時間に押し流されて、新しいもの、便利なもの、モダンなものばかりが重宝がられる風潮の中、ちょっと立ち止まって、ゆっくりと思い出や懐かしさの中に忘れかけていた温かみを感じてみる時間も大切だと改めて思いました。博物館では月に2回の地元の方のガイドによるローカルツアー(約2時間、一人HK$40、定員15名)や、昔懐かしの手料理や手工芸を教えるワークショップも行っています。(※詳しくは、下記のウェブサイトをご確認ください。)皆さんも、今では見かけることがなくなった“古き良き香港”をぜひ体験してください。以上、香港ナビがお伝えいたしました。

記事登録日:2007-08-10

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2007-08-10

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