2008年 香港インターナショナルレースを見てきました!

香港カップは、対抗馬のイーグルマウンテンが制覇。日本馬は香港ヴァーズのジャガーメイルの3着が最高と振るわず。

みなさん、こんにちはナビです。現在の金融不況で日々の生活は大変になり、いろいろとストレスがたまりがちです。そんな時、競馬はお金を儲け、ストレスを発散してくれる場と言えます(あくまで勝てばの話で、負ければより悲惨になるけれど…)。毎年この時期に行われる競馬の祭典、香港国際賽事/Hong Kong International Races(HKIR)が12月14日に沙田(サーティン)競馬場で開かれました。
HKIRを知らない方のために簡単な説明をしますと、短距離から中距離のG1レースが1日4レース開かれる世界的に有名なイベントです。日本は1日で4つもG1が開催されていないので(商業面を考えば、分散した日程を組んだ方がいいので、同日に複数のG1レースが日本ではまず行われることはありえません)、競馬ファンには夢のようなひと時が過ごせます。毎年、日本からも観光ツアーが組まれているほどです(日本人は中国人に劣らずギャンブル好きな国民ということなのでしょう、きっと)。
競馬場へ向かう人々

競馬場へ向かう人々

ぞくぞくと競馬ファンが入場

ぞくぞくと競馬ファンが入場

沙田競馬場だけで約4万7000人の客で埋まりました

沙田競馬場だけで約4万7000人の客で埋まりました

こちらは香港の近代の強い馬の紹介がされるところ

こちらは香港の近代の強い馬の紹介がされるところ

今年は骨折した武豊騎手の手形

今年は骨折した武豊騎手の手形

金色の馬…まさに香港らしい

金色の馬…まさに香港らしい

馬のマスコットは大人気でひっきりなしに撮影の対象に

馬のマスコットは大人気でひっきりなしに撮影の対象に

多数の人が競馬グッズを買い求めていました

多数の人が競馬グッズを買い求めていました

馬券検討に忙しい観衆。みんな同じ帽子をかぶっているのは入場時に配られたもの

馬券検討に忙しい観衆。みんな同じ帽子をかぶっているのは入場時に配られたもの

今年はジョイ・ヨンのミニコンサートも

目の前で見ているにもかかわらずなぜ浮いてしまうのか、まったく不思議でした

目の前で見ているにもかかわらずなぜ浮いてしまうのか、まったく不思議でした

HKIRはただの競馬の祭典というだけではありません。レース前には歌手やマジックショーが行われ、競馬が始まる前から楽しめるようになっています。特に今年は今や香港女性歌手の女王とも言っていい容祖児(ジョイ・ヨン)のコンサートがパドックリングで開かれました。そのせいか、パドックの客席はいっぱいになり、ここぞとばかりに彼女を撮影をしていました(ちなみに競馬ファンは馬を撮るため一眼レフのカメラを持つ人が多いです)。
ジョイのコンサート。ディーバの登場に会場はヒートアップ ジョイのコンサート。ディーバの登場に会場はヒートアップ

ジョイのコンサート。ディーバの登場に会場はヒートアップ

香港ヴァーズ(2400メートル)

さて、本題の競馬のほうに移りたいと思います。
2400メートルは、昔は中長距離というイメージでしたが、短い距離を争う競馬体系が近年急速に整備されたせいか、この長さでも長距離という印象を個人的には持ってしまいます。この距離は、海外勢が優勢で昨年のこのレースの覇者、ドクターディーノが軸馬で、今回も2.3倍の一番人気に押されました。日本からは、重賞レースを制覇したことがないのも関わらず招待されたジャガーメイルが出走しました。アイルランドの名ジョッキー、マイケル・キネーンが騎乗するのですが、実はキネーンは昨年香港の国際G1を2勝と相性抜群でいやがうえにも期待が高まります。
レースは、最後の直線で内側のパープルムーン、まん中のドクターディーノ、外側のジャガーメイル3頭の叩きあい。ドクターディーノが短頭差の勝利で2連覇を成し遂げました。同馬の鞍上はこれまた日本でおなじみのオリビエ・ペリエ騎手。「最後の直線に入るときの手ごたえは、思ったより良くなかったけど、外目を走ったことが勝利につながった」とペリエ騎手は喜びを語りました。残り2ハロン(=400メートル)では10番手前後だったジャガーメイルは、最終セクションのタイムは参加した馬で最速の22秒64で走り抜きクビ差3着まで追い込む大善戦でした。キネーンは「馬はすごい走りをしたと思うけど、もう少し速いペースで走れたら」と、少し残念がりました。
返し馬の時のキネーン

返し馬の時のキネーン

ゴール前の3頭の競り合い

ゴール前の3頭の競り合い

1番人気の馬をしっかり1着に持ってこられることがペリエ騎手のすごさ 1番人気の馬をしっかり1着に持ってこられることがペリエ騎手のすごさ

1番人気の馬をしっかり1着に持ってこられることがペリエ騎手のすごさ

香港スプリント(1200メートル)

香港の馬が6連覇中の香港スプリント。連勝街道に待ったをかけそうなのがオーストラリア勢で、短距離G1、6勝のアパッチキャットがその代表格です。あるオーストラリアの競馬メディアの編集長と話したのですが筆者に太鼓判を押すほど。ところがそうは問屋が卸さないのが競馬で、アパッチキャットは3着に沈んでしまいました。「言い訳はしない。馬はフラットスポット(鞭で叩いても加速しない)状態になってしまった。前2頭は速かったから、どちらにしろ捕まえるのは大変だったと思う」とトレーナーのコーニー・ブラウンは潔く敗北を認めました。
1着になったのは、単勝で約67倍の穴馬、インスピレーションという香港馬で、さすがに競馬場内にもどよめきが。これで香港の馬が短距離G1、7連覇になります。「道中、正しい位置取りができた。手綱を緩めたら、彼のスパートは本当に良かった」と手放し喜んだのは騎手のダレン・ビードマンです。日本馬はローレルゲレイロとトウショウカレッジがそれぞれ8着、9着と全く外国勢に歯が立ちませんでした。ローレルゲレイロに乗った四位洋文が「馬はよく走ったと思うけど、こっちのスプリントレースのレベルは層が厚いですね」とコメントしているところにも、今回の日本勢の現状があらわされていたと思います。
パドックでのインスピレーション

パドックでのインスピレーション

ローレルゲレイロ

ローレルゲレイロ

トウショウカレッジにまたがった池添謙一

トウショウカレッジにまたがった池添謙一

ゴール板直後

ゴール板直後

ジョッキーのビードマン(左)とジョン・ムーア・トレーナー

ジョッキーのビードマン(左)とジョン・ムーア・トレーナー

★香港マイル(1600メートル)

日本人の期待を受けたスーパーホーネット

日本人の期待を受けたスーパーホーネット

“メートル”ではなく“マイル”。近代競馬はイギリスが発祥と思わせられるのがこのマイルレースです。日本からは女帝の名を欲しいままにしたウオッカに勝ったことがあり、マイルチャンピオンシップ2年連続2着のスーパーホーネットが香港に見参。ここで1位になればマイルチャンピオンシップで2位の悔しさなんて忘れることができます。ただ、ホーネットをライバルは強力で、このレース2連覇を狙うグッドババは昨年の香港の年度代表馬です。唯一の気がかりといえば、昨年のグッドババには香港マイル2連覇したオリビエ・ドゥルーズからクリストフ・スミヨンに騎手が変わったことです。グッドババより人気が高かったのは香港馬のアルマダで、香港ナンバーワンジョッキー、ダグラス・ホワイトが彼を捌きます。
結果を先に言えば、グッドババが圧倒的な末足をみせて完勝でした。グッドババは香港マイルを連覇した初の競争馬となり、1分32秒71のコースレコードという記録まで作っての勝利。騎手が変わった影響をまったく感じさせないどころか、グッドババの能力を見せつけられたレースでした。
スミヨンは「オリビエとオーナーたちの間になにがあったかは知らない。ただ、彼らは違うジョッキーを探していた。親友のオリビエはジョッキーの部屋で『他の騎手が勝つのではなく、僕が騎乗して勝ったほうが嬉しい』と言ってくれました。僕にとって国際レース初勝利だけど、オリビエのことを考えるとちょっと複雑な気持ちだね」と心境を吐露しました。スーパーホーネットは5着が精いっぱいでした。「馬がズブなってきていて、思ったよりポジションが後ろになってしまった。馬の調子は悪くなかったけれど」と藤岡佑介ジョッキーのコメント。このあとの香港カップには日本馬は出走しないため、今年はこれで打ち止めです。今年の場合、G1を制した日本のサラブレッドは出走しなかったということもあり、妥当といえば妥当の結果ともいえます。国際G1は当たり前ですが、やすやすと勝てるほど甘くはないということですね。
すでに先頭のグッドババ。ここからさらに後続馬を引き離した すでに先頭のグッドババ。ここからさらに後続馬を引き離した

すでに先頭のグッドババ。ここからさらに後続馬を引き離した

香港の馬ということで、中国国歌が流されました

香港カップ(2000メートル)

メインレースは賞金総額2000万香港ドルの香港カップ。1着になれば1140万ドルの賞金が入ってくる大レースです。2000メートルのG1といえば、アメリカのアーリントンミリオン・ステークスなども有名ですが、香港カップは賞金だけでは世界最高額。それゆえに世界の強豪馬がこぞって参戦します。今年は14頭だて、うちG1を制したことがある馬は5頭という豪華メンバーです。
マカオのカジノ王、何鴻橤(スタンレー・ホー)が所有するビバパタカは、06年が4着、去年が1着となったラモンティに進路をふさがれる形での2着(12分にわたる審議にまで発展)。今年3度目の正直を狙います。同馬はG1タイトルは5つ持っており、この馬には香港カップのタイトルだけが欠けていると言っていいでしょう。香港人の期待も高く単勝1.3倍の1番人気に押されました。もう1頭単勝が10倍を切った馬がいました。イーグルマウンテンがそれ。前走のブリーダーズカップ・ターフで2着、香港カップと同じ距離2000メートルのチャンピオンステークスでもともに2着とG1にてが届きそうで届かないだけに、ここでこれまでの借りを返したいところです。ただ、骨盤の故障を抱えて1年間休養し、これで復帰3レース目。ケガが再び発生するかどうかという点だけが気になります。牝馬のラッシュラシーズはG1を3つ勝っていますが、牡馬と一緒に走るのは初めて。やはりちょっと厳しいレースが予想されましたがそれでも3番人気に挙げられました。もし勝てば、日本現役最強牝馬がウオッカとするなら、世界現役最強牝馬はラッシュラシーズになります。
このレースは、最終コーナーからゴールまでビバパタカがほかの馬との妨害にあうような形で進路をふさがれ、足が伸びにくい内側に入らざる得なく、今回も不利に泣いて4位に終わりました。勝ったのはやや後ろ目から競馬を進めて、最後の直線で一気に伸びたイーグルマウンテン。ついにG1レースを取ることに成功。ようやく溜飲をさげることができました。このレースは、レース審判が少なくとも3人のジョッキーの騎乗について審議をするなどちょっと荒れたレースにもなっています。
勝った、ケビン・シーア・ジョッキーは「残り400メートルまでは、コースの中央を走るようにした。それから内側に入るようにしたけど、彼はもう一段上のギアを使う感じで伸びていった」と笑いが止まりませんでした。マイク・デ・コック・トレーナーは「怪我が彼を成長させてくれた。実質的にフレッシュな馬としてレースができたので、素晴らしい足を見せてくれた。とにかく興奮しているよ」とうれしさを表現しました。
騎手全員がパドックで紹介されます。バックスクリーンには曽蔭権(ドナルド・ツァン行政長官の姿が映し出されています)

騎手全員がパドックで紹介されます。バックスクリーンには曽蔭権(ドナルド・ツァン行政長官の姿が映し出されています)

ビバパタカは落ち着いていました

ビバパタカは落ち着いていました

スタート直後のようす

スタート直後のようす

トップのイーグルマウンテンを追う2着に入ったバリウス

トップのイーグルマウンテンを追う2着に入ったバリウス

中央でカップを掲げるのはオーナーのシェイク・モハメド・ビン・カリファ・アル・マクトゥーム(フルネーム、長すぎる…)

中央でカップを掲げるのはオーナーのシェイク・モハメド・ビン・カリファ・アル・マクトゥーム(フルネーム、長すぎる…)

HKIRの締めといえば、やはり花火

HKIRの締めといえば、やはり花火

いかがでしたか? 印象としては、コースの外目を走ってきた馬が予想以上に伸びてきた印象を受けました。来年は日本馬が勝つことを期待しながら、帰宅時には財布が薄くなっていた武田がお伝えしました。

※記事内一部写真はHKJCより提供

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-12-18

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