横浜中華街で感じる香港、その10-香港家庭の味と共に味わうボウ仔飯『大珍樓』

香港の冬の風物詩ボウ仔飯。横浜中華街でも味わえる熱々の炊きたてご飯は香港そのもの!

こんにちは!香港ナビ勝手に横浜支局です。長い香港の夏が終わり、街を歩いていても汗をかかない季節を迎えると、茶餐廳などの店頭に設置され始めるガス台。そう!香港版かま飯「ボウ[保の下に火]仔飯(ボウヂャイファン)」がメニューに仲間入りするようになるんです。季節限定の庶民の味。秋冬に香港を訪れた人だけが楽しめる食でしたが、その味が横浜中華街にもありました!創業から60年超、香港の味を提供し続ける大珍樓です。香港の夜景写真が出迎えてくれる店内で、熱々のボウ仔飯を味わいながら香港にトリップしちゃいましょう!

老舗の味の原点は香港家庭食

創業以来60年、横浜中華街で常に代わらぬ人気を誇る大珍樓は、広州出身で後に香港へ渡った現社長のお母様の味が原点になっています。香港でレストランのまかない料理を作ることを専門とした料理人だったお母様は、味にうるさいプロの料理人たちのパワーの源である日々の食事を作り続けていました。ごく普通の材料を使って、プロを満足させる味を生み出す、いわば「家庭料理のスペシャリスト」というわけです。仕事で身につけた技を家でも披露し、その味で育った現社長は知らず知らずのうちに舌が肥え、その鍛えられた味覚のおかげで競争の激しい横浜中華街で老舗として地位を確立してきました。日本風に味をアレンジすることなく、本場の「香港の味」を提供することにこだわってきた原点は、香港のどこの家庭でも食べられている日常の味なのです。

25年前の夜景を眺めながらいただく香港の味

店内に飾られている香港の夜景は25年前のものなのだとか。確かに、写っている中環の中国銀行本店はまだ建築途中の姿。尖沙咀の香港カルチャーセンターも灣仔のコンベンション&エキシビジョンセンターもありません。現在とはだいぶ面持ちの違う香港の夜景を懐かしく思う方も多いのでは?
さて、そんな懐かしの香港の前でいただくお料理の数々をご紹介しましょう。

ボウ仔飯

香港では冬の風物詩となっていますが、こちら大珍楼では季節を問わず咸蛋肉餅ボウ仔飯など常時6種のボウ仔飯が提供されています。注文を受けてからひとつずつ炊きあげるため、テーブルに登場するまで約20分かかります。砂鍋にお米とダシを入れ、具を入れて大胆かつ絶妙な火加減で炊いていきます。そして、テーブルに登場する際に心憎い演出をするのが大珍樓流。カセットコンロを用意し、目の前で最後の仕上げをしてくれるのです。砂鍋のふたを取り、甘辛いたれを回しかけ、底からすくい上げるようにご飯を混ぜます!「じゅわーっ!」という音と共に匂い立つ香ばしい香り。一気に食欲を煽られてしまいますよ。定番メニューの6種のほか、冬季のみ中華ソーセージ、干し豚肉、干し鴨の入った[月昔]味ボウ仔飯が楽しめます。これらの具の肉類もすべて大珍楼内で手作りなのですよ。
[月昔]味ボウ仔飯 1200円

例湯(おすすめのスープ)

週変わりで提供される例湯は、「身体に良い」ことに重きを置いています。取材時に提供していたのは五指毛桃という植物の根を煮込んだ漢方スープ。とろみを付けているわけではないのにノドをおおうような滑らかさがあり、また血行をよくする働きもあるため、寒く乾燥する季節にはよく飲まれているスープです。透明感を失わないようていねいに煮込まれたスープは不思議なことにココナッツの香りがします。この香りは五指毛桃の根独自のもので、ココナッツそのものは一切添加されていないんですよ。そして香りだけでココナッツの味はまったくありません。あっさりとしたやさしさが「滋味」を感じさせてくれるスープです。ひとつのポットで5人分くらいの量があります。
例湯(1ポット) 1600円

おすすめ一品料理  鴨の舌の特製ソースかけ

鴨の舌をからりと揚げて、オリジナルソースをかけました。飛び出した骨の部分を持って舌の根の部分を歯で押さえ、引き抜くようにして食べます。見た目は不可思議な形ですが、砂肝を少しやわらかくしたような微妙な弾力のある鴨の舌は、お酒のおつまみにぴったり。ねぎとにんにくを使った香ばしいソースも手伝ってあとを引きます。
美極鴨舌 1500円

上ブタモツのネギしょうがあえ

ていねいに下処理し、湯がいたブタモツをネギしょうがのソースで和えました。モツの下にネギともやしが敷いてあり、モツのプルンとした食感にシャキシャキ感を加えてくれます。すこし酸味もあるさっぱりしたソースがよく合います。
白灼肝尖 1500円
おすすめの香港の味は「赤札メニュー」として店内や外の看板に張られています。 
おすすめの香港の味は「赤札メニュー」として店内や外の看板に張られています。

おすすめの香港の味は「赤札メニュー」として店内や外の看板に張られています。

仕事でたくさんの料理を作って疲れているはずなのに、決して家族のための料理に手を抜くことはなかったというお母様から、きっちりとした味覚を仕込まれた大珍楼社長の陸佐光さん。その舌で間違いなく受け継いだ香港の味を横浜中華街で披露しています。中華街の各店で腕を振るうプロの職人さんも「なつかしい味」と集まってくることが本物の証です。
運ばれてきたボウ仔飯の砂鍋から聞こえてくるパチパチッというご飯が焦げる音が、気持ちを一気に香港の街角へ運んでくれます。冬の香港の小さな店の店先でゴーゴーと強火のガスで炊きあげられていたボウ仔飯が、海を渡らずとも食べられるというのはうれしい限り。香港の夜景写真をながめながらの食事は、香港での思い出をいろいろと思い起こさせてくれると思いますよ。以上、香港ナビ勝手に横浜支局が、砂鍋を抱えながらお伝えしました!

大珍樓
住所:横浜市中区山下町202
Tel:045-681-3277/0120-88-3277
営業時間:11:00~24:00
定休日:なし

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-01-06

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