香港セブンズ2016 大会レポート

2015年のラグビーワールドカップ以降、注目が集まっているラグビー。今年の香港セブンズでは日本代表がコアチーム決定大会に勝利‼ カップ戦はフィジーが2連覇しました。

みなさんこんにちは。香港ナビです。香港最大のスポーツイベント、香港セブンズが4月8日から10日まで香港スタジアムで開催されました。メインの「カップ」は2年連続でフィジーの下にわたりました。日本代表はコアチーム昇格決定大会を制し、来年度のコアチーム入りを決めました。

大差の試合が減った!

7人制ラグビーはコアチームと呼ばれる15カ国プラス、招待チーム(基本的には開催国・地域の代表)の16カ国・地域の代表が世界10カ国・地域(南アフリカ、ラスベガス、シンガポール、パリなど)で開催されるワールドシリーズを戦います。
ラグビーはほかのスポーツより番狂わせが起こりにくいスポーツと言われるのと(2015年のラグビーワールドカップで日本代表が南アフリカの倒したのは、本当に大番狂わせでした)、サッカーほど普及していないため代表間の実力差が大きい面があります。以前のセブンズでは世界のトップグループと下位のグループが一緒の予選リーグで戦ったため、予選リーグでは大差の試合も少なくありませんでした。つまり、それは100%試合を楽しめない、試合途中から緊張感のない試合があったのです。しかし、現在のフォーマットになってからはトップチームによる戦いが中心となり、50対0というような試合はかなり減りました。
また、今年の場合は、夏にリオ・デ・ジャネイロ・オリンピックが控えていて、香港セブンズは五輪前最大の真剣勝負の場所として位置づけられています。
背面状態になりながらの意地のトライ

背面状態になりながらの意地のトライ

足でボールを挟んで相手のトライを防ぎました

足でボールを挟んで相手のトライを防ぎました

フィジーがニュージーランドを返り討ちにして優勝

「カップ」の決勝に上がってきたのは、昨年の覇者フィジーと“ラグビー帝国”のニュージーランドです。昨年と同一カードのこの試合はいつもよりも不確定要素の大きい試合でした。理由は決勝が行われた日曜日は雨が降ったことでボールが滑りやすくなったことと、ニュージーランドは南アフリカと準決勝を戦ったのですが、延長戦に突入し試合が終わったのは14分28秒と実質2試合をこなしてしまいました。
試合で先制したのはニュージーランドでした。ピタ・アキが右にフェイントをかけ、そのあと左にステップしてフィジーディフェンスをほんろうしてトライを決めたのです。サッカーで、股抜きで抜かれると同じような屈辱感がフィジーの選手にあったことでしょう。一方、フィジーはセットプレーの開始時に相手の居を突く形でトライを挙げて7対7の同点のまま前半を終えます。
後半はニュージーランドに疲れがでてきたのでジリジリとフィジーが押す展開となり、後半4分にフィジーがパスを右に回してトライを決め逆転に成功します。このトライが決勝点となりました。試合の最後にもフィジーは自陣から攻めあがってダメ押しのトライを決めて21対7で「カップ」を連覇しました。
フィジーのベン・ライアン・ヘッドコーチは「大会を通して良いプレーができた。準決勝のオーストラリア戦でいいパフォーマンスができたので、今日は勝てる気がしていた」と話しました。
なお3位は南アフリカ、「プレート」はイングランド、「ボウル」はアルゼンチン、「シールド」はロシアでした。 
激しいせめぎ合い

激しいせめぎ合い

フィジーの応援団

フィジーの応援団

ニュージーはこの南ア戦のダメージがやはり残ってました

ニュージーはこの南ア戦のダメージがやはり残ってました

日本代表、コアチームに再昇格

上記で書いたコアチームは相撲で言えば幕内。Jリーグで言えばJ1です。現在15人制ラグビーの世界では、南半球で世界最高峰のラグビーリーグ「スーパーリーグ」が開かれています。日本代表を中心としたサンウルブズが今年から初参戦していますが、仮に負け続けたとしても、得ることのできる経験というのは計り知れないものがあります。7人制の世界においてコアチームに入ることは、それと同じで、昇格した代表は年間を通してワールドシリーズで強豪相手に真剣試合をできるという最高のチャンスを得ることになります。一昨年の香港セブンズでコアチーム入りを果たすことに成功した日本代表でしたが、昨シーズンはコアチーム内で好成績を出せず、今シーズンはコアチームから脱落することになりました。香港で開催される昇格決定大会で優勝して来シーズンからのコアチーム復帰を狙います。
 昇格大会は12チームがそれぞれ3チーム、3つのグループに分かれて戦います。予選で日本はモロッコ、トンガ、ブラジルと同じ組になりました。
 驚かされたのは日本代表のパフォーマンスの高さです。初戦のブラジルを36対0で破ると、モロッコは45対0、トンガを31対0で破りトップで予選通過します。決勝トーナメントに入ってからも勢いは続き、組み合わせの妙で準々決勝は再びトンガとあたり33対0、準決勝のジンバブエ戦は22対0と無失点で勝ち上がるというものでした。
昇格決定大会の決勝の相手は香港です。リオ五輪予選でも出場をかけて戦い、日本が24対10で下して五輪出場を決めています。試合ですが、日本代表は先制したものの、後半にはいって12対14とリードを奪われます。しかし、日本は後半4分にトゥキリ・ロテが味方にパスをして、すぐに再びパスを受け取り(いわゆるポストプレー)、相手のディフェンスを崩してゴール中央に再逆転のトライを決めます。練習で何度も練習してきたサインプレーだと思いますが、きれいに決まりました。試合終了近くでもラインアウトをうまくトライにつなげた結果24対14で勝利しました。
「香港‼ 香港‼」の大声援、日本がトライをあげればブーイングという完全アウェーの中での価値ある勝利でした。昨シーズン、ワールドシリーズで戦ってきた経験が完全に生かされ強くなった日本は、香港代表相手に以前より差をつけたなと感じさせるものでした。
「逆転されても焦りはなかった。時間もあったし、ボールをキープできれば何とかなると思った」とこの試合で3トライをあげたレメキノマノラヴァは冷静に語ってくれました。
一方、香港のメディアの見出しは「また宿敵にやられた」という言葉が並んでいましたが、一部の新聞では、あきらめにも似た文章になっていました。
相手に抱え込まれてもどんどん突進していきます

相手に抱え込まれてもどんどん突進していきます

日本のサポーターはスタンドのあちらこちらにいました

日本のサポーターはスタンドのあちらこちらにいました

若手中心のサクラセブンズも健闘

女子のセブンズ大会もおこなわれました。「サクラセブンズ」の主力はアメリカで開催されているワールドシリーズに出場したため香港大会は若手が中心です。予選は3勝1敗(香港に敗北)で予選グループトップ通過。準決勝では南アに敗れましたが、3位決定戦で香港に雪辱をして3位に入る健闘をみせました。

『ナイトライダー』のデビット・ハッセルホフが歌手として登場

40代以上の人なら見たことのあるアメリカのドラマ『ナイトライダー』。人工知能のキットが搭載された車「ナイト2000」に乗って活躍するデビット・ハッセルホフを覚えている人もいるでしょう。日本ではそれほど知られていませんが、彼はそのあと『ベイウォッチ』というドラマでも人気を博しており、欧米人にとっては『ベイウォッチ』の方が印象が強いです。今年は彼が一種のアンバサダーとして登場。ドイツでは歌手としても人気があり南スタンド前で歌を披露して、会場を盛り上げました。
好評の土曜日のコンサートは『I’m Gonna Be(500 Miles) などで有名なThe Proclaimersが登場。そのほかにも、日曜日にABBAのコピーバンドが登場するなど、観客を飽きさせない工夫がされていました。
『ベイウォッチ』を意識してか、美しき女性ダンサーが彼をサポート

『ベイウォッチ』を意識してか、美しき女性ダンサーが彼をサポート

写真で見るセブンズの様子

香港セブンズは7人制ラグビーの中でいえば、テニスのウィンブルドンのように特別です。多くの代表はここに体調のピークを持ってきます。名物となったコスプレを含めファンとの一体感が一番からだと思います。昨年同様、写真でその雰囲気を感じてください。また、ナビのトップページにある「ほっと香港」からも会場の雰囲気などを見ることができますので、ぜひクリックしてみてください。
映画『TED』の着ぐるみ

映画『TED』の着ぐるみ

南スタンドに場所を得るには3時間半待ちだそう

南スタンドに場所を得るには3時間半待ちだそう

バグパイプの演奏

バグパイプの演奏

福島わさな(右)と立山由香里

福島わさな(右)と立山由香里

雨にも関わらず大勢の観客が集まりました

雨にも関わらず大勢の観客が集まりました

芝がはがれたところを踏み固めます

芝がはがれたところを踏み固めます


いかがでしたか? 日本がコアチーム昇格決定大会に勝ったことで、日本人的には最高のイベントとなりました。以上、香港ナビがお伝えしました。 










上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2016-04-13

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