64メートルの火の龍が舞う! 大坑・中秋舞火龍(ファイヤードラゴンダンス)

100年以上の歴史と伝統を持つ中秋節の一大イベント「舞火龍」。生きているかのように火の粉を撒き散らしながら踊る龍をご覧ください!

1年に1度、中秋節になると香港島の大坑(タイハン)ではファイヤードラゴンダンス(中秋・舞火龍)が3日3晩開かれます。
2018年のファイヤードラゴンダンス(中秋・舞火龍)は、9月23日から25日の夜に行われました。

このファイヤードラゴンダンスの起源は100年以上昔に遡ります。
当時、大坑は客家村で農業や漁業が盛んな村でした。しかしある年、村は台風被害があり、またその後疫病が流行りました。多くの災害に頭を悩ませているとき、ある村人が「中秋節の間3晩、龍の舞いを続けるように」というお告げを受け、その通り火を纏った龍の舞を3晩続けたところ、村に平和が戻ったそうです。
以来、大坑では中秋節の3晩は火龍の舞いを踊り続けており、大坑(タイハン)がかつての漁村ではなく、洒落た店が立ち並ぶようになった現在でも多くの人が参加をする中秋節の一大イベントとなっています。

ファイヤーダンスはどこで見られるの?

ファイヤードラゴンダンス(中秋・舞火龍)が開かれるのはMTR天后駅からほど近い大坑(タイハン)地区です。MTR天后駅のA1出口からは徒歩で約5分、またMTR銅鑼灣(コーズウェイベイ)駅のE出口からは約15分程度の道のりとなります。

こちらの地図は香港政府観光局の2018年中秋節を紹介する小冊子の中の、大坑(タイハン)エリアを紹介したもの。
ファイヤードラゴンダンス(中秋・舞火龍)を見たい方のベストポジションは、このイベントのメインストリートとなる「浣紗街/ Wun Sha Street」となります。

当日、龍は大坑(タイハン)にある有名な蓮花宮(Lin Fa Temple)からスタートをします。この蓮花宮から出てきた龍は頭、胴体、尻尾に膨大な数の線香をまとい、メインとなる浣紗街(Wun Sha Street)、京街(King Street)、新村街(Sun Chun Street)、銅鑼灣道(Tung Lo Wan Road)を激しく踊りながらパレードして歩きます。
パレードが始まる前は、ドラゴンを見ようと蓮花宮の前にも人が集まります。

パレードが始まる前は、ドラゴンを見ようと蓮花宮の前にも人が集まります。

ファイヤードラゴンダンス(舞火龍)を行う会場近くにたっている祭りの案内。

ファイヤードラゴンダンス(舞火龍)を行う会場近くにたっている祭りの案内。

メイン会場となる浣紗街の様子。真ん中の通りを火龍が踊りながら付きぬけます。 メイン会場となる浣紗街の様子。真ん中の通りを火龍が踊りながら付きぬけます。

メイン会場となる浣紗街の様子。真ん中の通りを火龍が踊りながら付きぬけます。

ファイヤードラゴンダンス(舞火龍)のようす

可愛らしい女の子たちは伝統的な衣装に身をつつみ、蓮の花のランタンを持って火龍を迎えます。

可愛らしい女の子たちは伝統的な衣装に身をつつみ、蓮の花のランタンを持って火龍を迎えます。

夜20時を過ぎると、大勢の観客で埋め尽くされた会場周辺は大きな掛け声や太鼓の音が響き、熱気に包まれてきます。
ダンスのパレードが始まる前は、まだ火龍のかつぎ手になれない地元の男のこたちや、小さな女性がランタンの幟(のぼり)を持って集まってきます。
こちらは竿にランタンをつけて掲げる人々。

こちらは竿にランタンをつけて掲げる人々。

火龍の舞はこの大きな太鼓の音に乗って繰り広げられます。

火龍の舞はこの大きな太鼓の音に乗って繰り広げられます。

火龍は藁などで作られた太い胴体を持ち、その体は32もの節から成っています。長さ67メートル、頭だけでも数十キロあるという大きな巨体の火龍。合計300名もの担ぎ手が協力をしながら動かす壮大な踊りとなります。 パレードのまえに頭の先から尻尾まで数えきれない数の太い線香をさし、煙と火の子を撒き散らしながら踊る様子は迫力満点です。

このファイヤードラゴンダンス(中秋・舞火龍)は、中国全土の第3回無形文化遺産の一覧表に選ばれています。
67メートルの胴体を皆で力をあわせながら動かすだけでも大変なことですが、龍珠と呼ばれる2本の竿についた火の珠を追いながら、複雑に動く様や龍の恐ろしい顔を見ると、まるで生きているかのような錯覚を覚えてしまいます。
大きな胴体を、とぐろを巻くようにした後、中心から龍の頭が飛び出した様子。

大きな胴体を、とぐろを巻くようにした後、中心から龍の頭が飛び出した様子。

龍の尻尾部分も、上下左右に、稀に地面に尻尾を叩きつけながら非常に激しく踊ります。

龍の尻尾部分も、上下左右に、稀に地面に尻尾を叩きつけながら非常に激しく踊ります。

尻尾も生きているかのような動きです。

尻尾も生きているかのような動きです。

長い通りを端から端まで走り抜けている様子。

長い通りを端から端まで走り抜けている様子。

途中火龍は、数千本の線香を全て身体から外し、新しい線香を装着するという、所謂お色直し的なことをします。
浣紗街(Wun Sha Street)の長いストリートを利用し、龍を横たえて線香を取り替える様子は、めったに見ることができない貴重なチャンス。 このお色直しに興味がある方は、ぜひ浣紗街(Wun Sha Street)に場所を確保しましょう。
左:龍の頭部分の線香をとっている様子。右:線香を外し、骨格だけになった龍の様子。 左:龍の頭部分の線香をとっている様子。右:線香を外し、骨格だけになった龍の様子。

左:龍の頭部分の線香をとっている様子。右:線香を外し、骨格だけになった龍の様子。

浣紗街の上方では数えきれないほどの新しい線香に次々と火をつけています。線香に火がつくと運ばれ、火龍のかつぎ手たちは新しい線香を胴体にさしながら命を吹き込んでいきます。 浣紗街の上方では数えきれないほどの新しい線香に次々と火をつけています。線香に火がつくと運ばれ、火龍のかつぎ手たちは新しい線香を胴体にさしながら命を吹き込んでいきます。

浣紗街の上方では数えきれないほどの新しい線香に次々と火をつけています。線香に火がつくと運ばれ、火龍のかつぎ手たちは新しい線香を胴体にさしながら命を吹き込んでいきます。

新しく線香を纏い、再生した龍。

新しく線香を纏い、再生した龍。

こうしてパレードの途中、再度新しい命をふきこまれた火龍は、更に激しく、更に火の粉を吹き散らしながら踊り、観客を魅了します。


年に1度中秋節の3晩だけ行われる伝統的な舞火龍、ファイヤードラゴンダンス。 国際都市香港にまだ残っている、昔ながらの伝統的かつ地域が大切にしている文化をご覧いただけるまたとないチャンスです。

来年の中秋節にはぜひとも香港で中秋節のお祝いをして、火龍の舞もご覧ください!


上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-09-28

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