【イチオシメニュー】小籠包

熱々の肉汁が溢れる点心の華!

こんにちは、香港ナビです。炒飯、エビチリ、北京ダック…などなど有名な中華料理は数あれど、日本人が思い描く憧れの一品としてはずせないのは小龍包(ショウロンポウ)ではないでしょうか?頬張ると、皮を破って、口いっぱいにあふれ出てくるジューシーな肉汁、そしてシコシコとコシのある皮とのハーモニー。一度なりともその魅力を体験してしまった人は、虜になってしまうこと請け合いです。日本では本格的な小籠包を食べられる店は、本当に限られていましたが、最近では台湾の鼎泰豊や、上海の南翔など、世界レベルの有名店が進出してきているので、以前よりも身近になったかもしれません。今日はナビがその小籠包の世界に迫ってみたいと思います。
小籠包は元々「蛮頭」と呼ばれていましたが、後に「饅頭」と改められました。名前の由来は三国時代の孔明が、南征した際に、荒れた川に人の生首を供えると収まるという悪習を改めさせようと、羊や豚の肉を小麦の皮に見立てて供えたのが始まりだといわれています。 その後、時代の変化に伴い「蛮頭」の名前は「饅頭」になって、供え物から点心として用いられるようになりました。そして、形は小さく、作り方も変わり、今では上海の名物料理として「スープ入り」小籠湯包として知られるようになったのです。
その上海の中でも小籠包の発祥地は中国嘉定県南翔鎮(現在の上海市嘉定区南翔鎮、今はサーキットのある街として知られている所です)から始まったのです。1871年、「日華軒?團店」というお菓子屋さんの店主であった黄明賢氏が、自分の店で「南翔大饅頭」を作ったことから始まります。この南翔大饅頭は評判を呼びましたが、多くの同業者にコピーされてしまうのでした。そこで黄氏は、「大饅頭」の具を大きく、皮を薄く、そしてサイズを小さくするというアイデアで改良したのでした。これは「古猗園南翔小籠」と呼ばれ、人気商品となったのでした。その後1900年に黄明賢の弟子である呉翔升が元々「長興楼」と呼ばれていたところで南翔小籠包専門店として店を開き、それゆえ現在、多くの小龍包に「南翔」と名付けられているのです。依って、現在、上海豫園商場にある「南翔饅頭店」は百年以上歴史をもつ老舗として一番有名です。
上の「南翔饅頭店」は有名店だけに、香港でも大人気。開店前に列ができています。

上の「南翔饅頭店」は有名店だけに、香港でも大人気。開店前に列ができています。

日本、中国、台湾、香港における小籠包事情
現地のお店が日本にも進出してきたといっても、その恩恵を受けることができる地域に居住していない日本人にとっては、小籠包はまだまだ近い存在ではありません。逆に本場の中国人や台湾人にとっては、朝食時に朝食屋や屋台などでも、空腹時、夜食時にでもナイトマーケットに行って手軽に買って食べられる。香港でも飲茶のメニューには欠かせません。
フロアに小籠包の特設コーナーを設ける飲茶店も。 フロアに小籠包の特設コーナーを設ける飲茶店も。

フロアに小籠包の特設コーナーを設ける飲茶店も。

小籠包の作り方

1 小籠包の生地は小麦粉を半発酵させて、手をとめることなくこね続けて作られます。十分練り上がったところで生地を棒にして、端から小さな塊にブチブチとちぎります。

2 これを延ばし棒で、まるく延ばして小籠包の皮を作ります。

3 そして餡つめ、へらのような道具を使って、皮に餡をぎっしり封じ込めていく。ちなみにこの封じ込めは店などによりこだわりがあるようで、例えば鼎泰豊の場合、5gの皮に、16gの餡を包み、ひだの数は18にするとなっています。

4 包んだ小籠包を蒸篭で蒸しあげる。

職人さんたちが注意していること
作る際の注意は丸い皮に餡をいっぱいにつめるということだとか。でないと空洞が出来て小龍包がペシャンコになってしまうそうです。
溶け出すスープが旨さの秘密
小籠包の味の秘密は、皮の中に凝縮されたスープに他なりません。その秘密を公開するお店はまずありませんが、大まかにわかっていることは、餡の中にはゼリー状になったスープの煮凝りを加えているということです。そのままでも美味しい凝縮スープが蒸されて溶け出し、さらに肉や野菜、海鮮などの材料からも旨みが染み出し、味わいは2倍、3倍とアップ。小籠包の虜になる人が多いのも納得です。
「鼎泰豊」VS 「南翔」が世界の二大巨頭
小籠包は中華圏なら上海料理のお店や、広東料理系の飲茶の店でならどこでも気軽に食べることができますが、世界では台湾の鼎泰豊(ティンタイフォン)と上海の南翔饅頭店(ランシャンマントティン)が有名で、香港にももちろん進出しています。餡の内容はそれぞれ異なり、鼎泰豊はシャープで洗練された旨みを重視した味わい、南翔は豚肉本来の味を際立たせた野暮ったいながらも濃厚な味わい。どちらも好みの問題ということですが、両方を食べたことのある方々に話を聞くと、どっちも捨てがたいということでした。また包み方も違い、鼎泰豊は包んだ物を上へ上へ引っ張り上げながら閉じていき皮は薄め、南翔は閉じた物を親指と人差し指で摘み軽く上へ引っ張り上げ皮を厚めに仕上げます。
「南翔饅頭店」香港・銅鑼湾店 

「南翔饅頭店」香港・銅鑼湾店 

「鼎泰豊」台北本店 

「鼎泰豊」台北本店 

蒸籠を開け、ショウロンポウから出る湯気でとっても幸せという感じ。皮が薄い上に肉汁もたくさん、熱々のショウロンポウをハフハフと口に入れたら、美味し~い肉汁がじゅわあとあふれ出して、中の具がフワっと溶けるような感覚になりますが、運ばれてきたばかりの小龍包をいきなりパクリと行くのは、火傷の危険があるのでNGです。でも、程よく冷めるまで待ちたくないという方には、ナビが安全な食べ方を伝授しましょう。
ショウロンポウの召し上がり方:
まず、箸でショウロンポウの先をつまんでレンゲにすっぽり置き、皮を少し破ります。そうるとレンゲに肉汁がいっぱいこぼれ出てくるので、肉汁をすすります。これで、まず小龍包の最初の旨みは逃がしません。そして、すこし冷めたところで一口でパクリと召し上がって下さい。お酢と千切り生姜と一緒に食べると格別な美味しさが味わえます。
中華料理の華であることに、間違いない魅惑の小龍包をナビがどこまで上手く伝えられたかわかりません。でも、一度は専門店でその味を試してみてはいかがでしょう。以上、香港ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-12-28

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