年中蒸し暑い香港では、「ビクトリアピーク」が下界よりほんの
数度快適なので、当初西洋人の家屋が建設されはじめ、歴史的に見
れば、戦前は中国人は立ち入り禁止地区で、日本軍が開放したとい
う謂れが伝わっております。。
お仕着せの行程でもほぼ必ずといっていいほど引率され、ピーク
の「東屋」からの景観は、言い古されてはおりますが、見下ろして
「百万ドル」と形容されております。かてて加えてボクが訪港する
たびに喜びとしているのは、天候にめぐまれたときのスターフェリ
ーからのピークタワーのながめです。
ほんの数分のピークトラムの運行の間、新界などと異なって季節
の移ろいなどほとんど希薄な香港島で、その高度差でささやかな変
化を感じることができるのも、ここ「ビクトリアピーク」での喜び
です。勿論「登り」で乗るなら、景観に優れた右側がよいでしょ
う。
さらに夕暮れ前のひと時、女性の一人旅でなければ、ラガード・
ロードや山頂公園への散策も一興です。周辺に点在する香港諸島の
「天空」からの千態万様も抜きん出ています。
時に、ピークギャレリアの前の硬い石製のベンチで、読みかけの
本を読み込むのも又一興です。
空腹をおぼえたときには、(今月はじめに訪れたときには工事中
でしたが)ピークタワーでファストフードを調達し、時の過ぎ行く
のをわすれて読み進め、わだかまりのあった箇所を乗り越えたこと
が幾度となくありました。
僕にとっては、ビクトリア・ピークも遠く空間を隔てた書斎のひ
とつでもあります。そのうえ、衆望を集めて「香港ナビ」が開設さ
れ、今こうして送信する機会ができるようになったのも、香港の旅
の楽しみの一つとなりました。
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