香港医学博物館

Hong Kong Museum of Medical Sciences香港醫學博物館

閉店・移転、情報の修正などの報告

香港で唯一の医学をテーマにした博物館。香港における伝染病の研究、公衆衛生の向上の歴史のほか、纏足についての解説など興味深い展示が揃っています。

緑に囲まれた赤レンガの美しい建物

緑に囲まれた赤レンガの美しい建物


こんにちは、香港ナビです。香港の医療水準は日本と同様、非常に高く、安心して医療機関を利用することができます。香港では早くから西洋医学を取り入れ、高度な研究が行われてきました。今日ご紹介する香港医学博物館は、医学をテーマにした香港において唯一の博物館で、20世紀初頭から今日に至るまでの香港の医療の歴史と発展について、貴重な展示品で紹介しています。早速、行ってみましょう。

場所は上環の高台

1996年にオープンした香港医学博物館は、MTR上環駅から歩いて15分ほど、多国籍なレストランやショップが立ち並ぶSOHOエリアのはずれに位置し、周囲を緑で囲まれた閑静な住宅街にあります。

博物館の近くには数々の映画の舞台となった「文武廟」や中華雑貨、家具が売られている「キャットストリート」などがあります。このあたりは「太平山」と呼ばれ、昔の中国人主要居住区でした。また、1894年にペストが大流行し、多くの人が命を落とした場所でもあるのです。
急な階段の樓梯街(Ladder Street)から堅巷(Caine Lane)に入ったところにあります 急な階段の樓梯街(Ladder Street)から堅巷(Caine Lane)に入ったところにあります 急な階段の樓梯街(Ladder Street)から堅巷(Caine Lane)に入ったところにあります

急な階段の樓梯街(Ladder Street)から堅巷(Caine Lane)に入ったところにあります

博物館は1906年に建てられた「細菌學檢驗所」の建物を利用しています。赤レンガが美しいエドワード王朝時代の英国式建築で、1900年初頭に作られた代表的建築物のひとつです。亜熱帯気候にあわせた広いバルコニーや多くの窓を備え、通気性の高い設計になっています。

15個の常設展示

地上2階、地下1階の博物館には、15個の常設展示があり、香港の医療発展に大きく貢献した学者たちの功績を数々の貴重な展示品を用いて説明しています。これらの展示を通して、香港におけるペストなど伝染病への取り組み、ワクチン研究の歴史、そして西洋医学と伝統的な東洋医学を融合させた香港の医学について知ることができます。博物館には毎年多くの学生や観光客が訪れ、見学者に人気の展示品にランキングをつけるなど、医療に携わる人でなくても理解できる内容になっています。
人気の展示にはランキングがついています 人気の展示にはランキングがついています

人気の展示にはランキングがついています

G階 レントゲンの歴史や纏足など

レントゲン撮影や背骨の矯正治療のようす レントゲン撮影や背骨の矯正治療のようす

レントゲン撮影や背骨の矯正治療のようす

日本の1階にあたるG階には、1938-1956年の間、香港大学で教鞭をとった産婦人科医Gordon King博士の業績などを主に紹介しています。流産や難産が少なくなかった当時の香港において、博士は専門医や助産婦の育成に力を入れ、産婦人科医療の発展に大きく貢献したそうです。また、このフロアでは香港におけるレントゲンの歴史も詳しく解説しています。中でも目を引くのが、纏足(てんそく)が行われた足のレントゲン写真。纏足とは中国で女性に対して行われていた風習で、幼いころから足を布で強く縛りつけ、足が大きくならないようにしたものです。今では完全に廃止された悪習ですが、この博物館では昔の貴重な写真を見ることができます。
纏足のレントゲン写真や解説 纏足のレントゲン写真や解説

纏足のレントゲン写真や解説

纏足の模型 

纏足の模型 

纏足用の靴

纏足用の靴

1階 舊病理檢驗所など



1階へ上がってすぐにある部屋は、博物館の中で、もっとも人気のある旧研究室(舊病理檢驗所) です。研究室に入ると等身大の辮髪の研究者の人形が目に入り、どきりとしてしまいます。高い天井、大きな窓から外の光がさんさんと入る室内は、学校の理科実験室そのもの。中央の実験台では、二人の中国人研究者がネズミを解剖し、ペストの研究を行っている場面を再現しています。この2つのネズミのうちどちらかがペストに感染しているそうです。どちらかわかりますか?
かなりリアルなネズミの解剖風景 かなりリアルなネズミの解剖風景

かなりリアルなネズミの解剖風景

明るい光が差し込む研究室 明るい光が差し込む研究室 明るい光が差し込む研究室

明るい光が差し込む研究室

当時使用されていた器具など 当時使用されていた器具など 当時使用されていた器具など

当時使用されていた器具など



部屋を囲むように、この研究所で結核などの伝染病の研究に貢献した研究者たちの展示があり、当時実際に使用された器具類が公開されています。中には日本統治時代にこの研究所内に監禁され、虐待ののちに屋根から飛び降り自殺したという研究者の紹介などもあり、日本人として胸が痛む展示でもあります。


そのほか1階には、ロンドン生まれの女医Alice Ho Miu Lingを紹介する展示室などがあります。彼女は19世紀後半に香港に渡り、病院開設に尽力しました。病院名には彼女の名前がつけられ、後に公立病院となり、現在も多くの人々に利用されています。
針治療の展示もあります 針治療の展示もあります 針治療の展示もあります

針治療の展示もあります

手術室や解剖室がある地下室

最後に地下に降りてみましょう。医学専門の博物館とあってか、週末にも関わらず見学者はほとんどいませんでした。薄暗い地下に一人で降りていくのは、少し勇気がいります。

地下には漢方薬局を再現した部屋があり、さまざまな生薬が並んでいます。香港の街中で漢方のお店はよく見かけますが、中に入る機会はなかなかないと思います。この機会にじっくり、漢方薬をつくる道具や生薬を見学してみましょう。
まるで街中の漢方薬局のよう まるで街中の漢方薬局のよう

まるで街中の漢方薬局のよう

さまざまな生薬が展示されています さまざまな生薬が展示されています さまざまな生薬が展示されています

さまざまな生薬が展示されています



隣の部屋には、いきなり大きな水牛が横たわっています。これは天然痘のワクチン研究の過程で水牛を使った実験を行っている様子だそうです。部屋の中央には手術台が置かれ、周囲には当時利用された医療器具などがあります。隣のガラス張りの部屋は解剖室になっています。奥へ行くと、歯科治療に使用された診察台などがありました。

ハーブガーデン

外に出ると建物の周囲に東洋、西洋の薬草が植えられた庭があります。いろいろな種類の薬草を集め、それぞれの薬草の効能などを広く一般に紹介する目的で2003年に作られました。

いかがでしたか?医学博物館というと少し敷居が高いように思いますが、館内の展示はわかりやすく、医学の知識のまったくない人でも興味を持てる内容になっています。小さな博物館なので、30分もあればすべて見ることができます。上環の観光のついでにぜひ見学してみては?以上、香港ナビがお伝えいたしました。

記事登録日:2011-03-31

ページTOPへ▲

関連タグ: 博物館

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2011-03-24

チェックイン日
宿泊数
部屋数 部屋1 大人 子供