日本語メディア初登場! 万国のお客様を引き寄せる庶民派広東料理の名店
こんにちは! 香港ナビです。今日ご紹介するこの炳記飯店は、マカオの某カジノ王の娘がボディガードを下見に送り込んでまで「食べに行きたい!」といったという隠れた名店です。名店といっても気取った雰囲気はまったくなく、パッと見は茶餐廳(チャーチャンテン)のよう。でも、その中で供される料理は、見た目からして格が違います! 素材の持ち味を活かした豪快な料理、しっかりとした経験がなくては作り上げることができない繊細な料理などなど。おなか一杯になってもあれもこれもと試したくなってしまう料理がそろっています!
常連さんに愛され続けて18年
少し人気が出てくると規模を拡張して引越しをするレストランが多い香港で、人気が出ても変わらずこの地にい続けて18年。いつもランチタイムやってくる人、毎週末に家族を連れてやってくる人など、数多くの常連さんに支えられてきたとオーナーさんは話します。常連さんからの口コミで新しくやってきた人がまた常連になり、そのまた口コミで…と常連さんの連鎖反応のおかげがあってこそなので、勝手に引越しなどできなかったそうです。お客さんとお店とのいい関係が、料理の味に深みを加えてくれているような気がしました。
近くに太古坊(Taikoo Place)というオフィス街があるため、昼はビジネスマンで込み合います。同僚の香港人に連れられてアフリカやインドからやってきた人もやってきて、上手に箸を使って料理に舌鼓をうっているそうです。やっぱりおいしい料理は万国共通なんですね!
店内はカジュアルな雰囲気です
全80席の店内はとってもシンプル。余計な装飾は一切なく、料理で勝負!の気合が満ち溢れています。そして、ご覧ください、所狭しと貼られたメニューの短冊を! 残念ながら広東語メニューのみで英語、日本語はありませんが、漢字からなんとなくのイメージを汲み取って、ええい!とオーダーしてみるのも楽しいかもしれません。冒険はちょっと…という方はガイドブックなどで具体的な料理写真を指差してもOKです!
有名人も数多く訪れています
店のドアに張られたシートには有名人のサインがたくさん書き込まれています。日本でも有名な女優のミシェール・ヨー(楊 紫瓊)、シンガーで俳優もこなすワーキン・チョウ(周華健)、俳優のアレックス・トー(杜徳偉)などのほか、ジャッキー・チェンのマネージャーや、香港ジョッキークラブの主席なども常連なのだとか。
香港ナビが他の日本語のメディアに先駆けてご紹介!
香港のメディアへの露出はかなりの回数を数えていますが、日本語のメディアの正式な取材は初めてだそう。香港ナビが一番乗りとは光栄です! では、よりいっそう張り切って人気メニューをご紹介しましょう!
正宗糯米鶏(ジェンゾーンノウマイジー) 240香港ドル
鶏の形を保ったまま腹部の骨をすべて抜きとります。その鶏をていねいに塩で洗い、空洞になったところへ、中華ソーセージ、星貝柱をあわせたもち米を詰めます。そのまま中華なべで油をまわしかけるように焼き上げます。じっくりと火を通すことで、鶏そのものの味がもち米に移り、品のいい炊き込みご飯のようなダシの効いた風味をかもし出します。鳥の皮のパリパリとしたクリスピーさと、しっとりとした肉とのバランスも抜群で、鶏、ご飯、鶏、ご飯、ついついと繰り返ししまいがちになりますが、それだけでおなか一杯にならないようにご注意くださいね。食べるときにはテーブル脇でお店の方がサーブしてくれます。鶏の骨を抜くだけでも1羽に付き40分かかるため、1日3羽の予約制限定販売で、ふたり以上の予約からオーダー可能です。
焼汁脆鱔球(シュウザップチョイシンカオ) 78香港ドル
うなぎを使った料理です。大ぶりの肉の柔らかいうなぎをさばき、はものような骨きりを施したのちに、軽く油通しをしてから照り焼きにします。この照り焼きのたれは、ほんのり甘いようなウスターソース風の焼汁です。日本人がどこか懐かしく感じる味付けで、白いご飯が進みそう! 油通しをしているとは思えないほどあっさりとしているので、日本の関東圏のうなぎと同じく一度蒸したのかと思い確認したところ、油通しのみとのこと。シェフの鮮やかな腕前を垣間見ました!
砵仔焗魚腸(ブッザイゴッユチョン) 50香港ドル
白身魚の内臓を卵とあわせ、表面には、おかゆに浸して食べることの多い中華風揚げパンといった体裁の油條(油炸鬼)をスライスしたものを広げてオーブン焼きにしたものです。卵がふんわりと内臓を包み込んで、柔らかく口の中でほどけていきます。内蔵、しかも魚の、と聞くと生臭さを心配してしまいますが、そこは無問題!! パクパクと口に運びながら「え~?これなにが入ってるの~?」とのんきにたずねてしまうくらいまったく気になりません。新鮮な素材をていねいに処理している証拠ですね。臭み取りをかねてゆずの果皮をアクセントに加えています。ほんのりと残る苦味にゆずのさわやかさが加わっていて、ビールによく合いそうです!
炳記咕嚕肉(ベンゲイグーロウヨッ) 50香港ドル
日本人にもおなじみの酢豚です。新鮮な豚モモ肉を使用し、中はやわらかく周りはカリッ! できあったらすぐにテーブルへ届けるので、とにかくすぐに食べて欲しいというほど食感に重きを置いているメニューです。食感のみならず、甘酢あんの酸っぱさと甘さのバランスがよく、油っぽさを感じないさわやかな後味です。たまねぎ、ピーマン、赤ピーマン、パイナップルのスライスが入っているところが、「王道」といった感じがたまりません! ご飯、おかわりおねがいします!!
蛋白鮮奶炒帯子(ダンバッシンナイチャウダイジイ) 60香港ドル
卵の卵白と牛乳をあわせたものと、新鮮なほたての貝柱を炒めた一品です。一見普通の炒め料理のようですが、白い素材で白いものを包み白く仕上げる……料理の経験のある人ならばすぐに大変さがわかるはず。白さを保つためには、わずかな鍋の汚れも許されず、また卵白と牛乳と、あっというまに焦げてしまう素材を扱うのですから、気は抜けないし、もちろん手も抜けません。シェフの腕がよくなければメニューに載せることのできないものなのです。見るからにふわふわな卵白は牛乳の甘みをわずかに感じるような繊細さ、そこから顔を出すホタテはプリプリ。全体に軽い塩味で仕上げているので、いくらでも食べられそうです。
あざやかな腕前を披露してくださるのはこの方!
シェフの李啓林さんです。広東省出身で広東料理一筋20年。「中華料理はたくさんの油を使いますが、きちんとした使い方をすれば決して油っぽくはなりません。素材をおいしく仕上げるためにも、その点にはとても気を使っています」と語っています。こういう気遣いはとってもうれしいものですね。また李さんは、メニューにないものでもリクエストがあれば即興で料理を仕上げられるほどの、知識と腕前をあわせもっているのですよ!
ご夫妻でこのお店を切り盛りしていらっしゃいます
オーナーの嫻姐さんは、毎日自ら市場へ出向き、季節感のある新鮮な素材を仕入れています。素材を見極める目はお店の屋台骨ともいえるもの。しっかりとした屋台骨があるからこそ、周りも動きやすく、活気のあるお店になっているのでしょう。あまりにもたくさんあるメニューに「えーと、いくつあったかしら~?」と首をかしげながらも、そのリストはちゃんと頭に入ってきて、テーブルの間を軽やかに動きながらてきぱきと注文を受けています。
下町の雰囲気で気取らないおいしさを満喫していたらとなりに有名人が! そんな可能性もなきにしもあらずの炳記飯店、いかがでしたか? できるだけ大勢で行って、たくさんのメニューを試してみたくなりますね。飾り気のない直球勝負の店の味をぜひ試してみてください。以上、酢豚はパイナップル入りが好きな、香港ナビがお伝えしました!
■行き方・交通
MTR港島線「鰂魚涌(Quarry Bay)」駅A出口をでます。
駅を左に見ながら英皇道(King’s Road)を進みます。
芬尼街という小道をわたるとまもなく右手に店の立て看板が現れます。その路地を入ってすぐ右側。徒歩約3分です。