先ごろ、ラマ島に開設された「漁民文化村」を訪ねました。そこ
で何回かにわたってその見聞記を書き込みいたします。
? 香港で海産物の需要が伸びているのは
香港を訪れ、その街に溢れる食材の多彩で潤沢な様子に驚愕され
た方は多いと思います。しかしながら、一方で「飲用水」や「食
料」の多くを本土からの移送や輸入に依存していて、香港の「食」
は実のところ脆弱な基盤に立脚し、ために国際金融の要の一つとし
て、名誉ある「都市国家」としての自立を放擲していった経緯は様
で知られておりません。
農産物という商品は、たとえ「農業大国」といえども、先ず国内
需要を満たした上で、残余を輸出に振り向けるという性格を持って
いる商品です。世界屈指の農業大国であるオーストラリアですら、
大干ばつに見舞われた2003年には一転して「食料輸入国」に転落し
た事実は記憶に新しいところでしょう。
香港に限ってみれば、本国である中華人民共和国が「経済の過
熱」で惹起された「所得や人口の爆発」で、穀物(を動物を通して
迂回消費する畜産物の)消費が拡大し、「穀物輸入国」に転落した
ことや、観光も経済の大宗を占めている香港の宿命として「宿泊事
業」から日々大量に排出される廃棄食料の有効利用も課題となって
きています。
そのうえ、このところBSEや遺伝子組み換え食品、残留農薬、鳥イ
ンフルエンザ等、陸続として明るみにされる「食」にまつわる不安
定な要素は数え上げればきりがありません。このような背景からで
しょうか、高所得者層をはじめとして高級魚の消費拡大が進み、こ
のところ大陸や香港で「海産物」への需要がいや増しに増している
と喧伝されています。
そういった只中に、「ANA国際線」の「都市情報トピックス」
で、「南Y島(ラマ島)」中央部に位置する索罟湾に、香港の漁村や
漁業の歴史や文化を伝える「南Y島漁民文化村」が3月にグランドオ
ープンしたとの記事が目に飛び込んできたのです。アバディーンや
西貢でささやかに海鮮料理を堪能した経験を持ち、自身の専攻も
「漁労」と深い関係を持っている分野であるだけに、是非訪ねてみ
ようと思いたったのです。
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