打小人

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銅鑼湾の高架下で紙をパンパンと打ち付けている怪しいおばあさんたちは一体何!?

こんにちは。香港ナビです。湾仔と銅鑼湾の間に位置する堅拿道の鵝頸橋を通ったことのある人!恐らくおばあちゃんが靴で紙をバンバン打っているのをみたことがあるかもしれません。おばあちゃん!いったい何をしてるの?未知への好奇心が旺盛のナビはもちろん、「打小人」と呼ばれるこの香港らしい風習を徹底解剖!!!

打小人とは?
「小人」は不幸をもたらす人のことで、「打」は「打つ」との意味を持つ動詞です。「打小人」とは、不幸をもたらす人を追い出させるということです。これは、人間を「小人」と「貴人(好運をもたらす人)」に分けることが前提になり、人によってそれぞれの「小人」と「貴人」も違ってくるわけです。この打小人は一年中行われる風習ですが、驚螫の日(啓蟄)に「打小人」活動が特に多いようです。現在湾仔の鵝頸橋は「打小人」専用地区のようになっています。料金は内容によって違いますが、1回約$40ほどです。

驚螫の日に「祭白虎」
驚螫(啓蟄)は中国暦の二十四節気のひとつで、毎年陽暦の3月5日、6日か7日に当ります。驚螫は、全ての動物が冬眠から起き、餌を探すために動き始める時期。伝説によると、凶神の一人である「白虎(バッフー)」が餌を探しに街に出没しては、人に災害を与えるので、虎の絵が描かれた黄色い紙に、豚の脂身を食べさせて、人を傷付けないように祭るのだそうです。こうして「祭白虎」の習慣が生まれたんですって。
鵝頸橋で叩き続けて15年、おばちゃんの金婆婆に聞きました!
今年85歳になる金婆婆。ここで叩き続けて15年の「打小人」の達人。金婆婆によると、「打小人」は香港特有の風習で、百年以上の歴史を持つそうです。呪いをかける人よりも、仕事、恋愛、ビジネスなどが順調であるように、その人の回りにいる邪魔な人を寄せ付けないようにするのが目的の人が多いそうです。この人が憎くて、叩いてもらうことは基本的にしないようにしているらしいですが、そうしたい人にも要求にはこたえているそうです。でも、叩くほうはそういう気持ちにはならないんですって。でも、だからこの仕事を続けていられるのかもしれませんね。
「打小人」の時期っていつ?
旧暦の2月2日と2月23日、それから毎月の「収日」、「除日」、「破日」(月によって変わってくるそう)に「打小人」活動が多く見られます。それより、もちろん先ほど紹介した啓蟄の日に訪れてくる人が一番多いのです。普段4、5人しかいない「拝神婆(バイサンポー)=悪運を撤退させてくれるおばちゃんのこと」が、20人にまで増えるそうです。
さあ、「打小人」の儀式をご紹介します。

1. まず、観音さまやその他の神様(孫悟空、龍王など)を拝みます。
2. 「小人」の名前を専用の紙に書いてもらいます。男性小人用と女性小人用の紙がああります。取材の時、ナビは依頼人がカバンから名刺を出したのをみました。わー、直接的でちょっとビックリ。
3. ブロックの上に「小人」の紙を包んだ「五鬼紙」を置き、拝神婆が呪文を唱えながらスリッパやくつでベンベンと叩き始めます。紙がぼろぼろになるまで叩いていました!!
4. 叩き終わって、それを燃やします。
5. 「打小人」の後は、「祭白虎」の時間です。紙で出来た虎に豚肉の脂身を食べさせます。人の悪口をいうことができなくなるという意味があるんです。
6. それから、恨みを解けることができる「大白解」という黄色い紙と、貴人を寄せてくるための「貴人符」という赤い紙で依頼人の頭や背中をなでるようにお払いします。その後、「大白解」と「貴人符」を燃やします。
7. 最後に「擲筊」をします。木でできた半月状の道具を2つ同時に地面に投げ、その表裏の出方で神のご意志を伺います。この道具は、一面の表面が平たく、もう一面の表面が突出しています。表裏の組み合わせが2つ違うものが出たら「Yes」という意味で、その他の組み合わせは「No」になります。「Yes」が出るまでやり直さなければなりませんから、ちょっと大変かも。
8. 緑豆と米を混ぜたものを撒き散らし、四方からやってくる「小人」を払いだします。これで儀式が終了します。
不思議な呪文

叩いているとき、拝神婆たちが何かを唱え始めます。以下、呪文の広東語です。
「打你個死人頭、打到你有気無頂透」
「打你個死人脚、打到你有靴無得着」

直訳すると、
あなたの頭を叩き、息ができないまで叩く。
あなたの脚を叩き、靴があっても履けないまで叩く。

といったような恐ろしいものが繰り返されますが、その実際の意味よりも唱えているとき、響きがいいということで解釈したほうがいいかもしれませんね。地元の新聞によると、香港政府はこの百年の歴史がある「打小人」活動を、観光客の見ものの一つとしてさらにプロモートするそうで、鵝頸橋を「打小人専用エリア」に改築するそうです。改築は2007年末に終わるそうで、新しい打小人文化がうまれるのも楽しみです。以上、紹介に自分の名刺を渡したまま、間違えて叩かれることが怖いナビが、ベンベンと「打小人」の音に包まれながら鵝頸橋からお伝えいたしました。

記事登録日:2006-11-28

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2006-11-28

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