ふかひれ (魚翅)

FOODYの食べ歩きシリーズ 第3弾

もうすぐ新年がやってくる。香港では旧暦新年は寒くなることが多く、この時期は滋養強壮に良い料理を食べ、体を補強して抵抗力を付けることがとても大事。滋養によい料理といえば、すぐに頭に浮かぶのが、高級高級中華料理として知られるふかひれスープ。コラーゲンたっぷりなので、寒い時、乾燥している時に食べると特にいい。

ふかひれスープは、サメのヒレとその他の高級素材で作られたスープのこと。ヒレの種類はたくさんあるけれど、レストランでだされるふかひれスープは、以下の3種類が一般的だ。

まずは日本人にも一番知られているタイプ、姿煮に使用される「牙揀翅(ンガーガンチー)」だ。「鮑翅(バウチー)」あるいは「排翅(パイチー)」とも呼ばれる。「牙揀」は実は日本の長崎Nagasakiのローマ字を広東語にしたものだということだが、なぜか発音が似ていないので、日本語からとった名前だと分る人は少ない。牙揀翅はサメの背びれと尾びれを使うことが多い。
次は「天九翅 (ティンガオチー)」。これはヒレの中の「翅針」といわれる細長い繊維が最も太いため、ふかひれの中でも一番高級品だとされている。もちろん値段も一番高い。2番目に高級だとされる「海虎翅 (ホイフーチー)」というものは、これは天九翅ほど太くはないけれど、柔らかい食感が美味。
鮑翅/排翅(尾びれ)

鮑翅/排翅(尾びれ)

天九翅

天九翅

海虎翅

海虎翅

うまいふかひれは軟骨魚特有の柔らかなゼラチン質の食感が楽しめる。歯ごたえがあり且つ滑らか。また、ふかひれ自体には味がないので、スープがとても大事な要素になってくる。もちろん、フカヒレの種類によって、スープも違ってくる。値段はひれの大きさと厚さ、形が完全であるかどうかに関わってくる。この条件を満たす一番おいしいふかひれといえば、おそらく「鮑翅」ではないだろうか。鮑翅は扇のような形をしていて、スジとスジの間に薄い皮が付いているので、柔らかさとコリコリ感が同時に存在する独特な食感がある。コラーゲンがたっぷり入っていて、口に粘りつくようなゼラチン質も上等なふかひれ料理の証拠なのだ。海虎翅は天九翅より柔らかく、ヒレとヒレの間についている薄い皮が豊富な食感を与えるため、値段の高い天九翅よりもうまいと思う。
実のところ、一番高い天九翅は弾力のある歯ざわりがあって、シャキシャキしているが、さきほど言ったように、うまいふかひれはシャキシャキ感はあまりしないものだ。スープの味がフカヒレの魂でもあるのに、硬いためスープの味がふかひれに浸透しない。ふかひれを柔らかくするにはスープと煮込む時間も長くしなくてはならないが、そうすると実際に食べれる部分も少なくなる。たとえば、900gあるふかひれが、弾力があってシャキシャキする状態では重さは900gのままだが、もしかなりの時間をかけてスープと柔らかく煮込むと、できあがったものは、もともとの量の3分の2ほどしか残らない。しかしながら手間とコストがかかるので料理の値段は高い。

スープは、中華ハム、新鮮な鶏などを長時間煮込むのが一般的。鶏の味が一番大事なので、鶏の選択もこだわりがある。足が短いものは鶏の味が濃厚だそうだ。中華ハムをたくさん入れないようにするのも大切。ハムは味が濃いので、少量だと料理本来の味を引き立たせるが、入れすぎるとほかの材料の味が分らなくなってしまう。煮込む時間はだいたい5時間以上が基本的。作りあがったスープは新鮮なうちにいただく。そうしないと肉の部分が変質し、スープ全体の味が酸っぱくなる。できれば5時間以内に食すのがベスト。スープもふかひれの太さや食感によってある程度味を調節している。ひれが太いものはハムの味が濃いスープにする。1本1本ばらばらにほぐした「散翅(サンチー)」などにはもう少し鶏の味が濃厚なスープがベストだ。
スープの味が濃厚なので、食べるときはもやしや中華ハムを少し入れると、味がしまるし、さらにシャキシャキした食感も味わえる。一緒に出されるお酢を入れて食べる人も多いが、スープの味が足りているのであれば、お酢を足す必要はない。そのまま食べるのが一番美味。

フカヒレは専門店でない場合は冷凍輸入を使用しているところが多い。コックが乾物から手間をかけて作る店は少ないが、本当はそれが一番新鮮にいただけるほうなのだ。実は値段も安い。予算にもよると思うけど、1本1本ばらばらにほぐしたものはより安いので、100ドルちょっとでふかひれスープが楽しめる。
私は季節を問わず、女房が食べたいときに一緒に食べに行く。家族で200ドル以下、真ん中ぐらいのレベルの値段のものを注文して食べるが、それでもふかひれの食感や味は十分に楽しめる。もちろん、良質のふかひれを手頃な値段提供するのは、専門店のようにたくさん料理することによってコスト削減をするしかないのだ。

■ 取材協力
魚翅城酒家 
Shark’s Fin City Restaurant
住所:Shop 1102, Food Forum, Times Square, Causeway Bay, Hong Kong.
住所(中国語):銅鑼湾時代広場食通天1102号舗
電話番号:3102-9838

その他情報

■ 取材協力
魚翅城酒家 
Shark’s Fin City Restaurant
  住所:Shop 1102, Food Forum, Times Square, Causeway Bay, Hong Kong.
住所(中国語):銅鑼湾時代広場食通天1102号舗
電話番号:3102-9838

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-02-06

ページTOPへ▲

その他の記事を見る