2020年 香港インターナショナルレース

毎年恒例の香港インターナショナルレース。コロナ禍で無観客でのレースとなりましたが、国際G1レース4つのうち日本馬が2勝と2019年に続き大活躍をしました。

みなさんこんにちは。香港ナビです。「香港国際賽事/Hong Kong International Races(HKIR)」が12月13日に沙田馬場(Shatin Racecourse)で開かれました。4つG1レースのうちメインの香港カップでノームコアが勝利するなど2つレースで日本馬が勝利。1年前の2019年のHKIRでは日本馬が活躍しましたが、今年のコロナ禍でも日本馬ががんばりました。

第4波到来で無観客レースに

日本の競馬もそうですが、観客がいないレースはさみしいものです

日本の競馬もそうですが、観客がいないレースはさみしいものです

HKIRは短距離から中距離のG1レースが1日4レース開かれる世界的に名を知られているイベントですが、今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響をHKIRも免れる事はできませんでした。香港では11月末に第4波が襲来し、最終的に無観客レースとなりました。実はこのレースのプレスパスの申請時点で香港ローカルの競馬を扱うメディア限定とHKJCの担当者から言われたのですが、幸いにも直前になって取材が認められした。と言っても、外国メディアでHKIRの取材を認められたのはナビとAFPなど「限られたメディアだけ」とHKJCの担当者から言われました。それほど、厳重にコロナ対策を行ったとも言えます。

“レーシングバブル”で徹底したコロナ対策

パドックのようす

パドックのようす

国際イベントですから、その中で感染者を出してしまえば香港ジョッキークラブ(HKJC)の沽券に関わりますし、成功すれば今後の国際イベント開催への展望がより開けます。欧米のスポーツイベントは“バブル”という、選手や大会関係者に行動制限を課すことで興行を行ってきているのがほとんどです。日本人的には2020年のテニス全米オープンを制した大阪なおみ選手もバブルの中で2週間の戦いを行っていたことが知られているかもしられていますが、HKJCも「レーシングバブル」として厳しい防疫措置をとりました。

例えば、外国人ジョッキーは、基本的にHKJCが用意した宿泊施設、調教するトレーニングエリア、競馬場など限られた場所だけ移動する事が認められ、それら以外から1歩も外に出る事はできません。陽性かどうかの検査ももちろん行われました。また、記者会見も、ローカルジョッキーとトレーナーをインタビューする場所は従来通りでしたが、外国から来たジョッキーやトレーナーの場合は競馬場内の特別室に足を運び、そこからリモートでの会見という風になりました。

無観客レースということで、競馬場内は競馬関係者とメディアだけということもあり、A~Dゾーンは開放されましたがEゾーン以降は閉鎖されました。売店のほとんどは営業しなかったので、ナビもHKJCから指定されたレストランで料理を食べていました。そのテーブルもアクリル板が当然にように付けられるなど、徹底したコロナ対策が行われていました。
中央の建物から左のEゾーン以降は電気が消えているのがわかるように閉鎖されました

中央の建物から左のEゾーン以降は電気が消えているのがわかるように閉鎖されました

観客がいないので、メンバーエリアとを分けるゲートもありませんでした

観客がいないので、メンバーエリアとを分けるゲートもありませんでした

まさにソーシャルディスタンス

まさにソーシャルディスタンス

会員入口もひっそり

会員入口もひっそり

売店も閉じられていました

売店も閉じられていました

コロナ禍とはいえメディアの仕事は変わりません

コロナ禍とはいえメディアの仕事は変わりません

香港ヴァーズ(2400メートル)

完勝したモーグル

完勝したモーグル

日本ダービーと同じ距離の香港ヴァーズは、HKIRの4レ―ス中、最も長い距離を走ります。そのため、ゴール板を2回通過するのでスタート地点から1コーナーまでにいる観客は1度で2度馬の雄姿を見ることができます。

2020年、このレースには日本からのエントリーはありませんでした。勝ったのは今年のパリ大賞典のウィナーで、ライアン・ムーア騎手が騎乗するモーグルでした。道中は中団に位置して4コーナーを抜けて加速。残り230メートルほどでトップに立ち、2018年の勝ち馬、エグザルタントに3馬身の差をつける勝利でした。
ここでもしっかりとマスク着用

ここでもしっかりとマスク着用

勝利インタビューを受けるムーア騎手

勝利インタビューを受けるムーア騎手

コロナでも馬場はしっかりとケア

コロナでも馬場はしっかりとケア

香港スプリント(1200メートル)

1年前のリベンジを果たしたダノンスマッシュ

1年前のリベンジを果たしたダノンスマッシュ

香港の短距離王を決める香港スプリントですが、日本からは2019年に続きダノンスマッシュが出走したほか、同年のスプリンターズステークスに勝ったタワーロブロンドンが出ます。

レースですが、残り200メートルでトップにならび、そこから抜け出たムーア鞍上のダノンスマッシュに勝利の女神がほほ笑みました。去年はスタートで飛び上がって、出遅れて8着におわっていただけに雪辱を果たしました。この馬の父は2012年と13年にこのレースを連覇したロードカナロアですから、親子での制覇となりました。「道中の走りもよく、位置取りもいい所につけられた。ペースも流れのままに良い感じで、前につけていくことができました」とムーア騎手は余裕を持って走れたことを勝因に挙げました。これでムーア騎手は香港ヴァーズに続くHKIR連勝です。なお、タワーオブロンドンは13着でした。
タワーオブロンドン

タワーオブロンドン

ムーア騎手おなじみの敬礼ポーズ

ムーア騎手おなじみの敬礼ポーズ

インタビューはリモートで

インタビューはリモートで

香港マイル(1600メートル)

3番のアドマイヤマーズも必死に追いましたが…

3番のアドマイヤマーズも必死に追いましたが…

マイルは、香港からは去年の勝者アドマイヤマーズが2連覇を狙って参戦しました。また、香港競馬史上でも歴史に名を刻んだ名馬、ビューティージェネレーションのラストレースでもありました。

アドマイヤマーズはカインスターと並走しながら先頭を走り、その後ろにビューティージェネレーションがぴたりとつける展開でした。残り300メートルではアドマイヤマーズとビューティージェネレーションが1、2位を形成しましたが、その後方から一気に伸びてきた香港馬のゴールデンシックティが抜け出て、トップでゴール板を通過しました。コールデンシックスティはこれで11連勝。5着だったビューティージェネレーションときれいに世代交代が行われたレースとなりました。など、アドマイヤマーズは3着でした。

「この馬、すごいでしょ?」と興奮気味に第一声を上げたのはヴィンセント・ホー騎手。「アイルランド、日本からの馬が来ていたので心配だったけど、レースが終わって、今は彼がチャンピオンであるというのを私に見せてくれた」と喜びを語りました。
パドックでのアドマイヤマーズ

パドックでのアドマイヤマーズ

表彰式も最低限の人数と距離を保って行われました

表彰式も最低限の人数と距離を保って行われました

ローカルの馬が勝ったのでオフラインでのインタビュー

ローカルの馬が勝ったのでオフラインでのインタビュー

香港カップ(2000メートル)

勝利を確信しガッツポーズをするパートン騎手

勝利を確信しガッツポーズをするパートン騎手

HKIRのメインレースである香港カップは昨年同様8頭立てで日本馬は、2019年に沙田競馬場で開かれたクイーンエリザベス2世カップとこの香港カップを制したウインブライト(騎手は松岡正海)が登場。香港カップ2連覇、沙田競馬場、3連勝を狙います。ほかにもダノンプレミアム、2019年のヴィクトリアマイルを勝ったノームコアの3頭の日本馬が出ました。

ダノンプレミアムは2番手、4番手にウインブライト、ノームコアはウインブライトをマークする形で後ろにつけます。残り100メートルでは日本馬3頭がトップ3を占め、激しい叩きあいとなりましたが、最後はザカリー・パートン騎手がゴールまで勝利を確信するほど強い伸びをみせたノームコアが勝ちました。

「ウインブライトは鋭い脚を使っていたので、ノームコアも戦わなければなりませんでした」とパートン騎手。惜しくも2着に終わったウインブライトの松岡騎手はレース後ゴール前に再び戻ってきて関係者と会った時に「負けた~」を悔しそうに叫んだことがゴール前の激闘を表していたと思います。ダノンプレミアムも4着と健闘しました。
ダノンプレミアム

ダノンプレミアム

ウインブライト

ウインブライト

悔しい2着ですが、松岡騎手のマスク越しでは納得の走りができたのいう表情に見えます

悔しい2着ですが、松岡騎手のマスク越しでは納得の走りができたのいう表情に見えます


いかがでしたか? 2019年は3勝、2020年は2勝した日本馬ですが、日本中央競馬会(JRA)香港駐在員事務所の大野彰之所長が「6頭出場しましたが、無事に香港に来られて、検疫も終わって、どの馬も力を出し切ったので良かったと思います。それに加えて2頭が勝ったの事はファンが喜んでくれて良かったと思います」とコメントしてくれたのが、このコロナ禍を考えるとすべてを表していると思います。以上、香港ナビがお伝えしました。



上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2020-12-20

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