キエフバレエ初来港公演『白鳥の湖』『ライモンダ』

ウクライナ共和国国立バレエ団、キエフ・バレエが香港初公演。古典の真髄を本場の醍醐味で堪能できる本格的パフォーマンスです。

こんにちは、香港ナビです。ビジネス主流の国際都市香港は、文化砂漠と言われることもしばしばですが、毎年春に行われる香港芸術祭映画祭などの開催や、海外から著名な芸術家、音楽家などを招いての公演は、1年を通して枚挙にいとまがありません。また、香港政府が援助しているバレエ団、ダンスカンパニー、劇団なども活発に活動を行っています。香港旅行のついでに芸術鑑賞というのもあり!ですね。そして、2009年の芸術の秋を最初に飾る公演といえば、旧ソ連時代の三大バレエ団の一つであるキエフ・バレエ団の初来港公演です。日本でもなかなかチケットの入手が難しいバレエ団の公演ですから、この機会に香港で鑑賞するというのもお勧めですよ!すでにチケット販売も始まっていますので、いち早く、ご紹介しましょう。

香港初お目見えのキエフ・バレエ団

1860年代に設立された輝かしい歴史を誇るキエフ・バレエ団は、旧ソ連時代、ボリショイ、キーロフと並び三大バレエ団のひとつに数えられていました。もちろんウクライナ共和国となった現在でも、その水準の高さを世界に誇っています。ロシアのボリショイやキーロフの派手で大掛かりな舞台とは少し異なり、キエフ・バレエ団の舞台は、どこかゆったりした雰囲気をもち、独自の温かさも感じられると言われています。またウクライナといえば民族舞踊の宝庫。バレエ作品の中にもよく出てくるキャラクター・ダンスも独自の盛り上がり方を見せ、評価の高いパートでもあります。長い歴史の中、世界50カ国以上で公演を行っておりますが、今回の公演が香港初お目見えということなので、香港のファンにとっては首を長くして待っていたこの機会と言えそうですね。

注目のダンサーたち


総勢150名のキエフ・バレエ団のダンサーは、そのほとんどがキエフ国立バレエ学校の出身者です。この学校は、ボリショイ・バレエのプリマ、ザハロワ、英国ロイヤル・バレエ団のコジョカル、ハンブルク・バレエのリアブコほか国際的に活躍するダンサーを数多く輩出している名門中の名門なのです。キエフ国立バレエ学校の教育システムは、ロシアの伝統的なワガノワ・スタイルで、腕の動きとステップが連動し、特に上半身の動きが美しいのが特徴です。同じ学校で学んだダンサーたちのコール・ド・バレエは、動きはもちろん、リズム感も統一されていて、文字通り一糸乱れぬ美しさを醸し出します。現在のプリンシパルダンサーは、ナタリヤ・マツァーク、クリスティーナ・シャスポー、テチアナ・ロゾワ、セルギイ・シドルスキーなど、世界的にも評価の高いダンサーばかりです。日本人ダンサーは、田北しのぶ、菅野秀雄、寺田宣広などがいます。
クリスティーナ・シャスポー

クリスティーナ・シャスポー

ナタリア・マツァーク

ナタリア・マツァーク

タチアナ・ロゾワ&セルギイ・シドルスキー

タチアナ・ロゾワ&セルギイ・シドルスキー

田北しのぶ

田北しのぶ

気高き白鳥の優美な舞「白鳥の湖」


『白鳥の湖』は、チャイコフスキーの三大バレエの一つであり、クラシックバレエに興味はなくても音楽と名前だけは知っているという方も多い古典バレエの代名詞とも言える作品ですよね。バレエと言えば、誰もが白いチュチュ姿を連想するのもこの作品の影響でしょう。
第一幕は、成人式を迎えるジークフリート王子は、明日の舞踏会で花嫁を迎えなければならないと母であるお后から告げられ、とても憂鬱な気分でした。そしてそんな気分を晴らすように、王子は森へ狩りにでかけます。第二幕で、そんな王子が湖に着くと一羽の白鳥が姿を現します。美しい白鳥にすっかり魅了された王子ですが、その白鳥は悪魔ロットバルトによって白鳥に姿を変えられたオデット姫だったのです。運命的な出会いを果たした二人は永遠の愛を誓いました。
続く第三幕はその翌日、花嫁選びの盛大な舞踏会が催され、そこへ突然、騎士に変装したロットバルトが現れ、オデットそっくりの娘黒鳥オディールを伴い、王子を誘惑させるのでした。オデットとオディールを錯覚した王子は、ついには彼女に愛を誓ってしまいます。
そしてラスト第四幕は、二人の正体を知った王子は、過ちに気づいて死をも覚悟し、悪魔ロッドバルトに戦いを挑むのでした。最後は、ジークフリード王子とオデットが二人の愛の力によって悪魔ロッドバルトを倒し、永遠に結ばれるというハッピーエンドです。実は、この作品にはいろいろなバージョンがあり、最後は二人とも悪魔によって殺されて湖に沈んでしまうとか、オデットが本物の白鳥にされて飛んでいってしまい、王子が湖に身を投げるなど悲劇的なパターンもあるんですよ。どちらにせよ、ドラマチックな愛の物語と言えますね。今回のキエフ・バレエ団公演では、M・プティパの原振付をワレーリー・コフトゥンが改訂したバージョンとなっています。キエフ・バレエ団ならではの古典の神髄が堪能できます。

恋の火花が華やかに散る『ライモンダ』

1898年にロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場にて初演されたバレエ作品で、一般的には全三幕四場から構成されていますが、キエフ・バレエ団バーションは、プロローグ&全二幕です。M・プティパの原振付を芸術監督であるビクター・ヤレメンコが改訂しました。ストーリーを簡単に説明しますと、プロローグは、伯爵夫人の姪で美女と名高いライモンダの家の守護神、白い貴婦人が登場し、これから起こる出来事からライモンダを守ることを暗示します。第一幕は、ライモンダの誕生祝いの席で、ライモンダは十字軍に出征する婚約者のジャンから祝福とスカーフを贈られます。出征する婚約者ジャンを見送ったライモンダのもとに、突然、サラセンの王子アブデラフマンがやってきて、美しいライモンダに横恋慕をし、強引に美しい赤いスカーフと宝石を贈ってライモンダに迫ります。最初は相手にしないライモンダですが、情熱的なアブデラフマンに次第に引かれていきます。続いて第二幕では、ジャンを愛しながらも、強引なアブデラフマンにも心が揺らぐライモンダのもとに、ジャンが帰還します。アブデラフマンの存在を知ったジャンは、婚約者を賭けてアブデラフマンと決闘することになります。その時白い貴婦人が登場し、ジャンに加勢します。そして、ジャンがアブデラフマンを倒すと、白い貴婦人はライモンダからアブデラフマンの記憶を消してしまうのです。ラストは、ふたりの結婚式でめでたしめでたし。


またライモンダのストーリーも、ライモンダはアブデラフマンには見向きもせず、完全なアブデラフマンの横恋慕と解釈するバージョンもあります。キエフ・バレエのバージョンは、現代女性的なストーリ展開かもしれませんね。

特に結婚式で踊られるグラン・パ・ド・ドゥは、「グラン・パ・クラシック」とも言われ、独立してこのパートだけ踊られることもあります。
特に結婚式で踊られるグラン・パ・ド・ドゥは、「グラン・パ・クラシック」とも言われ、独立してこのパートだけ踊られることもあります。

特に結婚式で踊られるグラン・パ・ド・ドゥは、「グラン・パ・クラシック」とも言われ、独立してこのパートだけ踊られることもあります。

香港公演詳細

沙田大會堂(Sha Tin Town Hall)

沙田大會堂(Sha Tin Town Hall)



『ライモンダ』
場所:沙田大會堂(Sha Tin Town Hall)
(新界沙田源禾路1号/1 Yuen Wo Road, Sha Tin, N.T. )
行き方は、こちらでご確認ください。
日時:2009年9月18,19日(金、土) 19:30開演
チケット:HK$360,280,220,120

屯門大會堂(Tuen Mun Town Hall)

屯門大會堂(Tuen Mun Town Hall)



『白鳥の湖』
場所:屯門大會堂(Tuen Mun Town Hall)
(新界屯門屯喜路3号/3 Tuen Hi Road, Tuen Mun, N.T.)
行き方は、こちらでご確認ください。
日時:2009年9月20日(日)  19:30開演
チケット:HK$300,240,160,100

いかがでしたか?チケット代金も日本のバレエ公演に比べたらとてもお手頃ですし、会場の規模も小さめなので、どの席からも十分に公演を堪能できるはずですよ!以上、香港ナビがお伝えいたしました。
 

その他情報

☆公演内容に関する詳細:康楽及文化事務署(LCSD)まで。
☆チケットの購入:URBTIXまで。
○沙田大會堂(Sha Tin Town Hall):行き方は、こちら
○屯門大會堂(Tuen Mun Town Hall):行き方はこちら

※白鳥の湖の公演チケットは、既に完売となりました。ご了承ください。<2009.8.11>
関連タグ:ダンス藝術バレエ

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-07-31

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