年末年始の暴飲暴食に、風邪気味の時や疲労に効く、身体と胃にやさしい漢方粥。
みなさん、こんにちは!2009年も最後の月となりました。今年も大変お世話になりました。「香港レシピ、楽しみにしていますよー」「何度も作ってますよー」というお声をいただくたびに、ココロ嬉しくなります。また来年もどうぞよろしくおねがいいたします!
さて、今月はこれから忘年会、新年会と胃は休むことなく、忙しい時期。また天候も寒かったり暖かかったりを繰り返して、体調を崩しやすい時期ですので、そんな時に効く!ものをご紹介します。私は疲れた時や風邪を引いた時などは必ずこれで元気になります。もちろん食べ疲れの時も効果テキメン!ちょっと弱ってきた時に是非お試しくださいね。
材料も作り方も簡単です!
陳皮(ちゃん・ぺい)
日本語名は「干しみかんの皮」と訳されています。この“みかん”ですが、実はよく食べている“みかん”ではなく、「新會柑」(さん・うい・かん)と言われる柑橘の皮から作られます。香港でも秋になると、新會柑が出始めて、果物屋さんの店先ではこの、新會柑の皮を剥いて干している姿を見かけることができ、ひとつの香港の秋の風物詩になっています。
新會柑はオレンジ色に熟す前の青い皮のうちに皮を剥いて干します。ちょうどライムのような色です。果肉は残念ながら酸味がきついのであまりそのままでは食しませんが、ジャムにしたり、お肉と煮込んだりすれば、美味しくいただくことが出来ます。
ライム色の新會柑
新會柑の皮が陳皮になるにはとても時間がかかります。普通は“5年ものから値段がつく”と言われており、それが10年、20年、30年と時間が経れば経るほど値段もかなり高価になっていきます。年代物の陳皮は値段が高いだけではなく、その質も年々良くなり、古ければ古いほど、効能も香りも味もどんどんよくなります。年数が短く安いものは街市(市場)などで購入出来ますが、年代ものの高価なものになると専門の乾物店や漢方薬の店に行かないと置いてありません。
陳皮は漢方薬としても優れた効能を持っていますが、料理の食材としてもよく用いられます。たとえば、その高貴な香りを魚や肉の臭み消しに用いたり、また漢方的視点から身体を冷やす食材と組み合わせて中和を図ったりと、味の愉しみだけではなく、身体の健康に留意した用いられ方もします。日本でも七味唐辛子に使われていますね。
新會柑を干しているところ
陳皮の薬効的効能としては、理気(気を整える)作用、健胃作用、整腸作用、去痰作用、鎮咳作用、止嘔作用、中枢抑制作用、抗痙攣作用、抗炎症・抗アレルギー作用を持ち、血管を強化、出血を防止。主に、胃もたれ、消化促進、食欲増進、かぜによるのどの痛みやせき止め、芳香性健胃、鎮咳薬として、食欲不振、嘔吐、疼痛に用いられます。
しょうが
しょうがは日本でも風邪を引いた時に生姜湯を飲んだりしますよね。香港でも古くから漢方薬の大切なひとつとして重宝されてきました。咳を鎮め、痰を切り、嘔吐を抑えるほか、解熱や消化器系の機能亢進、腹痛、胃痛や便秘の解消、体を温め、免疫力を高め、発汗・去痰 咳を抑え、解熱、鎮痛、血液さらさら、強心、消化・吸収能力抗潰瘍、吐き気を取る、抗菌、めまい、コルステロール低下生殖機能の改善、酸化防止、うつ 解毒などの実に様々な効能が知られています。
ショウガの成分には、生で効くジンゲロールと加熱して効くショウガオールの2つがあります。ジンゲロールはいやつわりの吐き気を抑える効能。ショウガオールは血行促進作用で、身体を温め冷え症を改善する効能があります。
今日はこの時期にぴったりなこの2つの効能を組み合わせたレシピ2つをご紹介します。
しょうがと干しみかんの皮入りお粥
材料(1人分) 干しみかんの皮・・・・・・1/3個分
しょうが・・・・・・・・・・・・・2スライス
白米・・・・・・・・・・・・・・・1/4合
水・・・・・・・・・・・・・・・・・900ml
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
黒すりごま・・・・・・・・・・少々
1 お米は普通に洗い、しょうがは包丁でたたき、干しみかんの皮は水で洗っておく(お粥の作り方のステップ1を参考にしてください)
2 鍋に700ml水を入れ、お米、干しみかんの皮としょうがを入れ、強火にかける
3 沸騰するまで常に鍋底をかき混ぜて、鍋にお米が付かないように注意する
4 沸騰してきたら、中火に弱め、しばらく加熱し、水分が煮詰まって来たら、残りの200mlの水を入れ、続けて加熱し、お米が割れ、水分も程よく煮詰まったら、火をとめて塩で味を好みに調え、器にもって黒ごまを振ったら出来上がり
** ただの白粥よりも香りと旨みが増してとても食べやすいです。お米の甘さがより引き立ちます。食欲がない時でもどんどん食べれてしまいます。食べた後は身体がぽかぽか、力が出てきますよ。食欲が改善されます。
もうひとつ!悪寒を感じたり、咳を止めたい時などに、あっという間のプチ漢方薬茶「しょうがと干しみかんの皮茶」
材料(カップ1杯分)
干しみかんの皮・・・・・・1/3個分
しょうが・・・・・・・・・・・・・2スライス
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・600ml
1 しょうがは包丁でたたき、干しみかんの皮は水で洗っておく
2 鍋に分量の水を入れ、干しみかんの皮としょうがを入れ、強火にかける
3 沸騰してきたら、中火に弱め、水分が1/3になるまで煮詰める
4 1/3に煮詰まったらカップに注いで暖かいうちに飲む** 香りも味も決して美味しいとは言えませんが、漢方の煎じ薬の入門編と言った感じです。飲んだ後は胃もすっきりし、気分がよくなりますよ。飲みにくいからと言って、砂糖やはちみつを入れてしまうと喉や痰によくないので加えずにそのまま飲み干してください。もしどうしても甘みがほしい場合は、羅漢果を1/4ほど加えて煮詰めてください。
今年最後の香港レシピになりました。年末年始、みなさまも忙しいと思いますが、どうぞ健康に過ごされ、行く年来る年もみなさまの上にたくさんのよいことがありますように!来年またお会いしましょう!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2009-12-14