FOODYの食べ歩きシリーズ 第1弾、上海蟹

FOODYの食べ歩きシリーズ 第1弾

こんにちは。香港ナビです。香港ナビオープンより1年間、みなさんにいろいろなレストランや料理を紹介してきました。そこでナビの1週年を祝い、香港の料理専門家をお招きし、お馴染みの料理からあまり知られてない料理まで、香港の食の歴史やあり方などについて、みなさんと一緒に探っていきたいと思います。
それでは、香港で最も有名な料理評論家の一人、また、自ら料理することも得意というFOODYさんに、香港美食めぐりシリーズの第一弾として、今が旬の上海ガニの見分け方から食べ方までをご教授していただきましょう。
ご存知のように、陽暦の10月から12月末は、上海ガニが食べ頃のシーズン。広東語ではこの蟹は「大閘蟹(ダイチャプハイ)」と呼ばれ、極上の上海ガニを食べるには、もちろん上海料理店に足を運ぶことになる。上海ガニを提供しているレストランによってカニの産地も違ってくるが、極上の上海ガニを楽しみたいなら、江蘇省陽澄湖産で捕れたものがベスト。その次、2番目においしいものは、陽澄湖のすぐ隣にある太湖と紅澤湖の蟹。この三つの湖は、水質がとても良いため、鉱物質が蓄積されておらず、水の汚れが付いて錆びたような感じに見える質の悪いものとは違う。また、上海ガニのえさになるものは、同じ湖で飼われている清潔な小魚や小エビなどであるため、ここの蟹は安心していただけるわけだ。重陽節が終わり、湖の温度が零度に下がると、寒い天候に備えて、蟹の体内にミソが溜まりだす。気温が温かい香港では産出できない、中国のこの地方だからこそ上海蟹は上質に育つのだ。

上海ガニの見分け方

中国では「九月圓臍、十月尖」と、旧暦の9月はオス、10月はメスの上海蟹がおいしいといわれる。しかしそれは決して10月のメスはおいしくないということではなく、実は逆にメスのほうが運動不足で肉がオスより香ばしくなくなっている。雌雄の見分け方はフンドシの形にある。小さな逆三角がオス(尖臍)、大きいおにぎり型(圓臍)がメスだ。おいしい上海ガニは、カニミソが舌にくっ付いてしまいそうな、呑みこめないぐらいの粘りがあって、そのカニミソの香味がずっと口に残るものだ。
上海蟹を選ぶときは、甲羅を叩き、目が動くかどうかをまず確かめよう。次は、見た目。陽澄湖産のカニの特徴を現すとき、特別な中国語の表現「青殻白肚、黄毛金爪」という言葉を用いる。それはつまり、甲羅が深みのある緑、フンドシが白、脚についている毛の色が黄色、爪の一番尖った部分が金色だということ。今回レストランで出していただいたものは、毛が黄色いではなく、すこし赤くなっている。それは紅澤湖で捕れたものの証拠。その匂いは…淡々な水草の香がするものがいい。それともうひとつ、脚の2節目の部分の肉が充実しているかどうか指で確かめることも大事なのだ。
次は重さを量ること。指3本で(親指、薬指、中指)カニの端っこを摘んで重量を感じてみなさい。中サイズ、約6~7両(227~265g)のがベストだ。大サイズのものもいいけれど、値段もかなり張る。中サイズでも十分に楽しめる。

上海ガ二の食べ方

上海ガニは実は、料理の腕はいらない。蒸す時間はだいたい20分ほど、でもすこし蒸しすぎても大きな問題にはならない。
食べるときに使う道具について話しておきたい。一般的にはさみ、カニの殻割りと肉を削り、取る時に使う箸のような棒、という三つの道具で食すが、実はハサミだけで十分。棒はあってもなくてもいいけれど、カニの殻割りは、カニを割るときに、殻についている汚れが蟹肉に入ってしまい、あまり賢くない食べ方だ。
ハサミでまず脚を取って、一番大きい関節を切り取り、残りの部分で脚の肉を押し出す。脚の肉質は弾力があってすべすべ、僕が一番好きな部分だ。そしてカニをひっくり返し、三角形のところを引っ張ってはずし、甲羅とフンドシ部分を剥がす。それから食べてはいけない部分、脚の付け根から胴体の中央に向かって生えている白い菊の花びらのような肺をきれいに取っておく。そしてフンシド部分を2つに割る。カニ脚を使ってカニミソの中から6角形の心臓を取る。最後は甲羅の上に付いている目の下のところにある胃を切り取る。胃はカニが食べた汚いものが残されているから食べられないのだ。その形がお坊さんに似ているから、「蟹和尚」とも呼ばれる。そして、その残りの部分は好きなように切って、砂糖、お酢、生姜で作ったソースにつけて食べよう。
広東の人はカニはおなかを壊すものだと思っているようだが、僕は、食べられないところを取り除けば、体に害がなく、逆に蛋白質が豊富で体にいいものだと思う。もちろん、コレステロール値が高いカニミソばかり食べるのはよくないだろう。僕も若いときは一気に10匹を食べたりしていたけれど、おなかを壊さないように、やっぱり多くても2、3匹で十分だと思う。外で食べるより、僕はカニを買ってきて、自宅で作るのが好きだ。蒸すお湯にシソを入れて20分蒸すだけ。なんと簡単な作り方だろう!体が冷えるものだから、食べたあと、生姜茶を飲むのが普通だけど、紹興酒(花雕)と一緒に飲むのが私的な食べ方。

いかがでしたか?これからもこの香港美食めぐりシリーズ、FOODYさんと一緒に香港のおいしいものを食べに行きます!どうぞご期待ください!
取材協力
雪園 Snow Garden Restaurant
住所: Block 1, GF, 233 Electric Road, North Point, Hong Kong
T: 2571-4246

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2006-12-07

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