FOODYの食べ歩きシリーズ第4弾
今回は代表的な北京料理のひとつ、北京ダックを紹介したいと思う。アヒルを丸ごと焼いて作る料理で、広東語では「片皮鴨」と呼ばれ、文字通り皮を削いだ鴨を指す。北京語では「北京填鴨」といい、「填」は「詰め込む」との意味で、これは北京ダック料理に使ったアヒルの育て方の特徴を言っている。体重1斤(約600g)になったアヒルを小さな籠にいれて育て、自由に歩けないようにする。すると、アヒルは運動不足で体に肉がつくようになる。こうして8~9ヶ月育てた後、最後の2ヶ月はアヒルのお腹を空気で膨らませ、飼料を詰め込み、さらに人工的に太らせる。アヒルはほとんど運動していないため、肉はかなり柔らかくなっている。
どこの北京料理店でも、北京ダックは必ずある。今回はあまり知られていない2通りの食べかた、そして定番の2つの食べ方、全部で4通りを皆さんに紹介したいと思う。
その前にまず、北京ダックの調理方法について語っておこう。
焼き方
まず、アヒルを焼く前にアヒルの皮と肉の間に空気を入れて膨らませ、熱湯にくぐらせてから焼く。焼き方は「明火焼鴨」と「掛炉鴨」の2種類に分けることができる。「明火焼鴨」とはアヒルに長い串をさして回しながら炭火焼きをすること。時間は15分ぐらいほど焼く。
もうひとつの「掛炉鴨(吊るし焼き)」は今レストランでよく使われている方法で、大型の専用グリルオーブンでアヒルを吊り下げて焼く。オーブン内の熱は上昇するので、頸と胸あたりが一番焼ける。アヒルのサイズが大きいと、約時間は25分ほどかかる。
1匹のアヒルを4つの楽しめ方
さて、1羽のアヒル料理で、どのような4通りの食べ方があるのか、ここで紹介しよう。
1.皮
北京ダック
北京ダックで一番重要なのは皮だ。焼き具合も大切だが、皮の厚さと大きさ、またそれに付く肉の厚さの割合もその味に関ってくる。
いいレストランではテーブルに着く人の国籍によって、その人たちが一番好む割合で皮を切ってくれる。
基本的に西洋人にはこの料理はあまり好まれていない。というのは皮は脂肪だ、という考えがあるからだ。それでも、せっかく香港に来たのだから、中華料理の代表料理、北京ダックを食べてみようと注文する西洋の方もいらっしゃる。そのため、西洋の方のテーブル用には、皮を削ぐ際、肉も多めに付けて削ぐことが多い。
それとは逆に日本人の方は皮を好まれる人が多いそうで、皮の割合を多めにしているのだそうだ。
そして、中国人のテーブルには、一番伝統的な割合で出される。ナイフを斜めにしてスライスし、20%が皮、80%が肉というバランスだ。皮がパリッとしているほうが好きな方は胸部分がおすすめ。逆にお腹より下の部分は柔らかい。そして、腿の部分が一番柔らかいとされている。
皮を削ぐには、もちろん技が要る。慣れている料理人なら1分で1羽の皮を削ぎ終わる。まさに早業だ。
北京ダックの食べ方
1. 削いだ皮を1、2枚くらい薄く焼いた小麦粉の皮に載せる。
2. その上にネギをきゅうりの千切りを少し乗せる。きゅうりの千切りを1本、それからネギを多めに入れるのがボクの習慣だ。ネギときゅうりは甜麺醤(赤ミソ)を少し付けてから乗せる。ちなみに、ちなみに甜麺醤は北京の「六必居」というブランドが一番おいしい。
3. 巻くときは、まず一番下の端の5分の1を上のほうに折る。それから左と右の両端で具を包む。
2.肉
皮を削いだ、北京ダックの残った肉の部分を野菜などと炒める定番料理。しいたけ、たけのこ、ザーサイ、セロリ、クルミなどの食材を使って、アヒルの肉と一緒に炒める。レタスに巻いて食べるか、または叉子焼餅という焼き胡麻餅を注文して挟んで食べてもおいしい。焼き胡麻餅は小麦粉で作ったパンで、表面に胡麻がついていて、横に穴が開いているから、その中に炒め物を入れて食べる。ボクは4つの食べ方の中でこの料理が一番好きだ。
3.骨
アヒルスープ(鴨架湯、架子湯)
さらに残った身と骨をぶつ切りにし、中国キャベツを一緒に煮込んだスープ。おいしいが、見た目はあまり美しくないので、宴会やパーティーなどでは出されない。
4.油
中国北方に住んでいる人はタマゴのことを「[火留]黄」という。タマゴのもともとの漢字「蛋」がよくない言葉の「笨蛋」、「混蛋」、「壊蛋」と同じため、この字を料理に使うのを避けている。
吊るし焼きは鴨の油がたくさん下に溜まる。昔はそれがとてもいいものとして大事にとっておいた。それをタマゴ蒸しに使うのだ。健康的な生活を求める現代人は、油が多く、タマゴも使っているこの料理を避けようとするかもしれないが、実はとてもおいしい料理なのだ。タマゴにアヒルの油、乾燥エビ、たけのこの入れて混ぜ、最後に中華ハムを乗せて蒸す。タマゴの味が濃厚になるように、黄身を多めに使っている。食感もどっしりしている。
いかがかな?1羽のアヒルで4つもの食べ方をした人は多くはないと思う。でも4品を全部注文したら、他の料理を食べる余裕はなくなりそうだね。赤ワインと一緒にアヒルの味をじっくりと味わってみよう。
その他情報
■取材協力
京菜鹿鳴春飯店有限公司
Spring Deer Restaurant
住所:42, Mody Road, 1st Floor, Kowloon
住所(中国語):九龍麼地道42号2楼
電話番号:2366-5839
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2007-03-21