香港B級グルメを語る書籍『香港女子的裏グルメ』

「こんな本が欲しかった!!」香港の食の魅力を臨場感たっぷりに伝えてくれる本『香港女子的裏グルメ』の著者、池上千恵さんにインタビュー。

こんにちは!香港ナビです。香港といえば食。何度か通うようになれば、よりディープな香港の食を楽しみたくなるもの。超人気ブログ「開心香港街市」から書籍化され、今すぐ香港に行きたくなる!と早くも話題の「香港女子的裏グルメ」(世界文化社)の著者の池上千恵さん、イラストレーターの小野寺光子さんにいち早く香港ナビがインタビュー!  わが香港ナビのライターでもあり、ご自身のブログでは「こももさん」として知られる池上さん、そして香港とレスリー・チャンをこよなく愛するイラストレーターの小野寺さんに、この本ができるまでを語っていただきました。
インタビューの場所は、横浜中華街に新しくオープンした悟空茶 (悟空Tea Bar)。「横浜中華街で感じる香港」にも登場した「悟空茶荘」から誕生した新しいショップです。「もっと気軽に中国茶を楽しめるお店を」と香港通のオーナーが作った空間は、古き良き香港を意識した重厚なインテリアに囲まれながらも、マグカップで楽しめるお茶を中心に、猪八戒飯団(スパムおにぎり)や話梅、小月餅などお茶うけも充実したカジュアルなサロンです。素敵なTea Barの2階で中国茶をいただきながら取材スタートです。
写真左:著者の池上千恵さん、
右:イラストレーターの小野寺光子さん

まずはブログ「開心香港街市」を始めたきっかけは?

香港B級グルメを語る書籍『香港女子的裏グルメ』 香港B級グルメを語る書籍『香港女子的裏グルメ』
2002年から縁あって香港に住むようになったのですが、もともとローカル食を食べ歩くのが好きだったんです。はじめはただ食べ歩く日々だったのですけれど、3年以上経って、ふと「香港に暮らした記録として残したいなぁ」と思ったんですね。で、日記代わりにブログをスタートしたんです。2005年4月1日のエイプリルフールから。続かなかったとしても「なんちゃって!」で済ませられるかなと思って。(笑)
ブログで発信しているうちに同じように香港の食や街が好きっていう方がコメントをくださって、そこからコミュニケーションが広がっていき、ブログランキングの香港部門の上位にランクインさせていただいていたこともありました。自分自身が楽くて作っていたブログでしたが、たまたまブログを見ていてくださった編集者さんが「いつか本にまとめませんか?」と声をかけてくださったんです。私自身、まさか本になるとは思ってもなかったのでビックリしています。

イラストレーター小野寺光子さんもブログがご縁で本に参加

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香港のグルメブログって他にもあるけれど、こももさんのブログは等身大の、日々の暮らしの中での素直な感想やほどほどのローカルが自然な感じでいいですよね。文章力があるからまた読みたくなるんです。それに楽しんでいるのがいい!と思ってました。ブログでコメントのやりとりを続けたのち、しばらくして初めて会った時は、文章を読んで感じるよりも早口の人だなぁ~って(笑)
いつも香港に行く前に(ブログを)読んでいたんですが「本になれ~!本になれ~~!!」と念じていたんです。だって、ブログって過去記事を探し出すのが面倒な部分ってあるでしょう?キーワードが思い出せなかったりすると時に。それが、書籍化されたら探しやすくなるなぁって!(笑)。
池上さんから「実は書籍化の話が来ていて…。だからイラスト描いて!」って半ば強制的に引き吊り込まれましたけれど(笑)、大好きな香港を描くのは楽しかったですよー。大扉、章扉のイラストや、コラムのイラスト、アイコンなどいくつもの香港を描きおろしましたが、「香港♪香港♪」って常にわくわくした気持ちで描けました!

初めての香港を訪れたときの印象は?

返還前、香港に対する知識もなく家族旅行で行ったのが最初で、居住前唯一の香港体験でした。ジャンボレストランやピークなどの定番の地に行ったりして。巡ったのはお決まりコースだったけれど、街の至るところで見られるローカルフードには最初から興味をそそられてました。黄色いパンの山とかでっかい源氏パイとか!  で、見つけるたびに買い食いしまくって、結果、食べ過ぎで3日目にお腹を壊して、以降日本に戻るまでなにも食べられずで…。(笑)食に対しては悔いが残りましたねー。そんな半端な旅だったので、香港の印象もぼんやりしたままで、香港に住むことが決まったときには、「バイクに乗った金城武に会えるかしら?」とか「トニー・レオンのような警官はいるかしら?」とか(笑)、ウォン・カーウァイ監督の映画の印象から、そんなとんちんかんな妄想を抱いていました。金城武の本拠地は台湾なのにね~。

香港ナビとの出会いは…

ある日、たまたま目にした「旅行ガイドのライター募集」という新聞の募集記事に応募したのが香港ナビとの出会いでした。これから立ち上げるというサイトオープン前の段階で、なにがなにやらよくわからないまま指定されたナビのオフィスに行ってみたら、まだ配電工事も終わっていなくて、室内真っ暗…。「おいおい、大丈夫か~!!??」って正直思いましたよ~。窓から入る光りだけの中、あれこれと説明を受けて。(笑)
それがきっかけで、ナビから定期的にお仕事をいただくようになり、ビザを所有していたこともあってそのまま専属ライターになり…といった感じで、帰国までべったりお世話になりました。レストランの厨房を見せてもらったり、記者会見へは脚立を抱えて写真を撮りに出向いたりと、日常では体験できないことを香港でさせていただいたのは、私の中でとても大きな経験です。その分苦労も多々ありましたが…。特に思い出深いのは「孫中山紀念館」(孫文記念館)の記事です!(キッパリ)  歴史に絡むことは間違いがあってはいけないし、その歴史は長くて深いし、書けなくて書けなくて…。今でも見返すのが怖いです。
日本で編集の仕事の経験はありましたが、「書くこと」を主にするのは初めてでした。なので、とにかく文章の起承転結を意識して、言葉を飾る前に読者の方にわかりやすく「伝える」ことを心がけていました。私個人の感想も大事ですが、取材先の方の思いもちゃんと伝えたいな、ということは今でも常に意識しています。きちんと表現できているか、自信はないんですけど…。
香港ナビの創設期、みんなで頑張って盛り上げていく中に私もいられたこと。それは私の香港生活の中で、最大のできごとだったと思ってます。

香港ナビの読者へメッセージをどうぞ

『香港女子的裏グルメ』は、香港を好きになった人がもう一歩踏み込みたい!と思った時にのための本だと思っています。「香港で生活しているとこういうこともあるんだ!」という、“暮らす香港”に近づいてみたい方のお役に立てたらいいなぁと思っています。500円ほどで楽しめる裏グルメのいろいろな味を知ってほしいですね。この本はタイアップ一切なしです!そんな依頼もありませんでしたが(笑)、味だけじゃなく、お店のローカルな雰囲気とか、がさつで愛想もない店員さんを含めての「面白さ」も求めて歩いて回った店だけを載せています。取材のための試食ではなく、日々の食事として食べていたものを「みなさんもどうぞ~」ってお裾分けする気持ちからできています。そんなベタな香港食から素顔の香港を知り、そこから香港の文化とか歴史とかにも興味を持ってもらって、昔の香港と日本の関係とかなんかも含めて頭の隅っこにも置いてもらいながら、香港を楽しんでくれる方が増えたらいいなぁと思います。“血の通った香港の姿”を、へえええ!と大きな好奇心で受け止めて、もっと好きになってくれたらうれしいですね。

『香港女子的裏グルメ』
池上千恵・著
小野寺光子・イラスト
A5判/128ページ/オールカラー 
定価1260円(本体1200円+税/書籍扱い)
世界文化社刊
ISBN978-4-418-08225-4

取材を終えて

ナビは香港渡航歴13回と回数は多いのですが、本の中で知っているお店はわずか10%未満。それだけ現地に住んでみなければわからないお店の情報がギッシリ詰まっているということですよね!その中で大好きな懐かしのパン屋さん「禮頓」(書籍62ページ参照)が掲載されているのを見たとたん、信号の「テケテケテケ・・・」とトラムの走る音、あと街の喧騒とかが聞こえてくるようでした。『香港女子的裏グルメ』は、今回はどこに行こう?とお店選びを迷ったり、絶対に行く!って決心を固めたり、またはナビのように懐かしんだりといろいろな楽しみかたができる「極めて香港濃度の高い本」だと思います。池上千恵さんは当ナビで連載中の「横浜中華街で感じる香港」のライターとして中華街取材を担当していますので、住まう場所は日本に変わっても、今後も香港を思いながら文章で、そしてイラストレーターの小野寺光子さんも、できることならいつまでも変わらずにいてほしい香港の姿を素敵なイラストで残してくれることでしょう。池上千恵さん、小野寺光子さん、お忙しい中を本当にありがとうございました!香港ナビ一同、今後ますますのご活躍をお祈りしています!

取材協力:悟空茶吧 (悟空Tea Bar)

横浜市中区山下町81
TEL: 045-651-7824
営業時間 :10:00~21:30
定休日 :毎水曜日
ホームページ:goku-teahouse.com

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-10-21

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