櫻井景子先生の香港レシピ教室 瑞士鶏翼の巻

今回はクリスマスにぴったり、香港フリークに人気のスイスチキンウイングのレシピです。

みなさん!こんにちは。11月は異常な暑さだった香港にもいよいよ冬到来!?最高気温が20度を下回ると“寒~い!”と感じてしまう香港ですが、日本からすると羨ましい冬ですよね。さて、そんな香港の街も12月に入ってクリスマス一色となりました。香港といえば、ヴィクトリアハーバーから眺める100万ドルの夜景+クリスマスのイルミネーションが最大の見物です。また大きなショッピングセンターやデパート、公園、オフィスビル、マンションなどでもクリスマスの素敵でかわいい装飾があちらこちらで飾られ、一層クリスマスの雰囲気が盛り上がります。月並みですが、本当に1年は早いものですね。今年はこの“香港レシピ”を応援してくださって、本当にありがとうございます!また来年もどうぞよろしくおねがいします!

さて、今年最後の12月のレシピは、クリスマスにぴったりな1品“瑞士鶏翼”。直訳すると“スイスチキンウイング”となりますが、実は正式には“スイートチキンウイング”なんですって。発祥は100年以上にもさかのぼりますが、1860年に広州でスタートした“太平館餐廳”という西洋料理を出すレストラン。この“瑞士鶏翼”は創始者である徐老高さんが最初に考えたメニュー。潮州料理で多用される“鹵水”(いくつもの漢方薬材を組み合わせた煮汁で調理をすること)からヒントを得て作ったと言われている甘い味の“鹵水”で煮込んだチキンウイングの料理です。では何故この甘い“スイートチキンウイング”が“スイスチキンウイング”と呼ばれるようになったのでしょう?一説によると、当時のウエイターが外国人客に“これは何か?”と尋ねられた時“Sweet Chicken Wings”答えたのですが、その外国人客は“Swiss Chicken Wings”と聞き間違えたのが始まりと言われています。その甘く濃厚なソースは一度口にした者の心を掴んで離さないとても印象深く、後をひく美味しさ。複雑に絡まった数種類の漢方薬材が織り成す香りは初めて出会う新鮮さを覚えさせてくれることでしょう。西洋料理のような、でもしっかり中国料理のベースを持った香港ならではの特徴ある料理。私も大好きなこの“瑞士鶏翼”のレシピを今日は特別にお伝えします!

まず材料の説明から

チキンウイング(鶏手羽)
みなさん!香港人は世界一鶏消費の多い地域だって知ってました?私たち日本人が1年に1人当たりが食べる鶏の消費量は12羽程度。まあ、1ヶ月に1羽は食べている計算なので、それもなかなかと思っていたら、実は香港はその約3.5倍の44羽!これが1人あたり1年で食べる量ですよ~すごいでしょう?でも納得します。香港人のお肌がみんなつるつるですべすべな理由。鶏のコラーゲンをたくさん取っているせいだからなのですね。私の周りでも鶏を嫌いだと言う香港人はいません。何をおいてもまず鶏!鶏!という人が多いのです。私もお肌のためにせっせと鶏を食べなきゃ。そしてその鶏の部位の中で香港人が一番好きなのがこのチキンウイング(鶏翼)。鶏の部位の中でもっともコラーゲンが多いのもチキンウイング(鶏翼)。う~ん、また納得。あー香港人がみんな鶏に見えてきてしまう(冗談です)
茶葉蛋のレシピでもご紹介しましたが、今回はもう少し詳しく説明しますね。

八角
英語名スターアニスと呼ばれる星型の香辛料。中華料理によく使われるのでみなさんもご存知だと思います。トウシキミという中国原産のシキミ科の常緑高木の果実でそれを乾燥されたものです。オリエンタルな香りがとても魅力的な香辛料です。また形がとてもかわいいですね。八角は、スパイスで使うほか、生薬(漢方薬)としての作用があります。アネトールという精油成分が胃腸の働きをよくし、のどの炎症を和らげる効能があるとされています。からだ暖める作用もあり、冷え性の改善に有効とされています。

肉桂
カシア。クスノキ科のクスノキの一種の樹皮をはぎ取って乾燥させた物。シナモン、カシア、ニッキとも同じクスノキ科の近縁種ですが、植物としての種類が異なるようです。奥のものがスリランカ産のシナモン。手前のが中国産のカシア。後のが普段よく見るタイプのもので、見た目がまったく違うのにびっくりしますね。中国産のものは本当に木のかけらという感じですものね。漢方的効能としては、腎を補い、散寒・鎮痛・温腎・補陽の効能があります。

陳皮
日本語では干しみかんの皮とよく呼ばれます。秋口に出回る“新會柑“というかんきつの皮からのみ作られます。この“新會柑“はライムほどの緑色した皮の時に剥いて、天日干しにします。4-5年ものから価値が出るといわれ、20年25年もたつと大変高価な値がつきます。魚な肉の臭みを取るのに加えられたり、香港のおしるこにも使われています。かんきつ独特のさわやかな香味から食欲不振、嘔吐、咳嗽(がいそう)の効果があります。

紹興酒
中国浙江省紹興市付近で作られている代表的な黄酒。糯米や麦麹などを主成分に作られ、アルコール度数は14~18度。飲むだけではなく料理酒としてよく用いられます。紹興酒には製法の違いによって、元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4種類があるようです。黄酒を長期熟成させたものを老酒と呼ばれます。
** 片糖や老抽、生抽などは茶葉蛋のレシピで紹介しているので是非ご覧くださいね。

** 片糖や老抽、生抽などは茶葉蛋のレシピで紹介しているので是非ご覧くださいね。


作り方
フライパンに油(分量外)を入れ、万能ねぎ、しょうがを香りよく炒め、紹興酒を振りいれ、すぐに2の鹵水調味料を加え、約30分ほど中火にかける。
Point  最初にねぎとしょうがを炒め、紹興酒を加えることでより香りのよい“鹵水”が作れます
チキンウイングは沸騰した湯で、表面の皮の色が白く変わるまで下茹でし取り出す
Point  下茹ですることで余分な灰汁を取り、また皮をコーディングすることでうまみが外へ逃げるのを防ぎます
下茹でしたチキンウイングを沸騰した鹵水調味料に入れ、5分加熱したら火をとめそのままふたをして15分おく
Point 余熱でゆっくりじっくり加熱し、煮立てないことで鶏をやわらかくふっくら仕上げます。また煮立てないのでうまみを閉じ込めることができます。
* 鶏からの脂が、煮汁に脂が浮いていたら丁寧にすくってください
鶏がふっくらとしてきたら、もう一度暖める程度に3分ほど中火にかけ、ごま油を加えたら、出来上がり!

皿にもりつけ、汁もたっぷりかけてくださいね

瑞士雞翼はこのお店で食べられます!
太平館餐廳Tai Ping Koon Restaurant
尖沙口:加連威老道40号
- 電話:(852) 2721 3559
- 営業時間:11:00ー深夜0:00 (旧正月3日間休み)
銅鑼湾:白沙道6号
- 電話:(852) 2576 9161
- 営業時間:11:00ー深夜0:00 (旧正月3日間休み)

油麻地:茂林街19-21号
- 電話:(852) 2384 1703
- 営業時間:11:00ー深夜0:00 (旧正月3日間休み)

材料さえ揃えばとっても簡単にお店の味が再現できます。このソース、本当に美味しいので炒めたお野菜にかけてもまた合います。是非、作ってみてくださいね!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2006-12-27

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