「アニソンのプリンス」、影山ヒロノブにインタビュー

10月のコンサートを前に『香港動漫電玩節』でミニコンサートを行い、香港のアニメファンを熱狂の渦に巻き込む!

こんにちは、香港ナビです。毎年夏に大規模な漫画&ゲームの展示会『香港動漫電玩節』が開かれます。今年も開催2、3日前から長蛇の列ができるほどの盛況でした。その中で、今年、アニメソング界で確固たる地位を築いている影山ヒロノブさんが来港しミニライブを行いました。香港ナビはその影山さんに単独インタビューしました。

アニメ自体が盛り上がるような曲作りを

━━香港人のアニメに対する理解度、成熟度は?
かなり高いと思います。みんなよく曲を知っていますよね。歌の途中ではそんなに盛り上がらないのですけど、サビに入ったら一気に盛り上がります。どうやらサビの前は携帯電話とかで写真撮影に忙しいせいみたいですね。サインをするときも、あまり知られていないような私の作品にサインするときがありますから、びっくりします。

━━歌手のファン層というのは自分の世代に近い。いや自分の年に近い年齢のシンガーのファンになることが多いです。でもアニソンは子どもが加わるので年齢が下に大きく広がります。歌作りの工夫とは?
昔のアニソンは、水木一郎さんやささきいさおさんのように、どちらかというとオペラのように歌い上げる感じでした。でも、今はもっと曲のテンポがアップしていてクラッシックな感じは薄れています。私がリーダーを務めているバンド、Jam Projectの曲は、その辺を考えて曲を作っています。

━━アニメソングは、タイトルや作品内容に曲が制限されると思います
やはりアニメ自体を盛り上げるような曲になるように意識します。ロボットアニメの監督さんあたりと話すと、「必殺技を歌詞にいれてくれ」とかテーマがはっきりしているので比較的やりやすいです。

━━その制限される中でもアーティストとして伝えたいことがあると思いますが
Jam Projectではなくて、私個人の活動のときにそれをやっています。アコースティックライブを毎年やっていますし、セルフレコーディングのCDを制作したりもしています。私は、イギリスやアメリカの洋楽で育っています。例えば、レッドツェッペリンやディープ・パープルの影響を受けました。そういう意味ではいつの日かアメリカやイギリスでレコーディングをしたいですね。

成功させたいからやっぱり緊張します

ミニライブで10月に香港でコンサートを開くことを発表した影山さん。もう少し詳しく聞いてみました。
━━10月のライブはプレッシャーがあると記者会見で話していました
昨年、来港したときは、「連れてきてもらった」という感じで、舞台も楽しかったのですが、今年はJamProjectのリーダーとしてコンサートを行うので緊張しています。なんとしても成功させたいですから。今から、どんな曲が良いかリサーチしないと。

━━場所はどこで
九龍湾(カオルーンベイ)の国際展貿中心(HKTEC)で10月7日に行います。広東語の歌もやるつもりです。挑戦するのが好きですから。大変そうですけどね。次につながるコンサートになればいいな、と思っています。

チェンジマンとドラゴンボールZ

“アニソンのプリンス”といわれる影山さん。もともとはレイジーというバンドでプロのミュージシャンとして活動を始めました。レイジーはヒット曲を出すものの1981年に解散します

━━アニソンを歌うきっかけはなんですか?

当時、日本コロムビア(現:コロムビアミュージックエンタテインメント)に所属していまして、その頃のアニソンといえばコロムビアだったんです。当時のわたしは鳴かず飛ばずの状況だったのですが、1985年に『電撃戦隊チェンジマン』のプロデューサーが私の声を気に入ってくれて、主題歌を歌うことになったのです。自分を必要としてくれる人がいるんだということで、とてもうれしかったですね。

━━そのあと、『ドラゴンボールZ』の『CHA –LA HEAD-CHA-LA』ですね
チェンジマンと、ドラゴンボールはターニングポイントとなりました。それ以来、コンスタントにアニメソングの仕事が来るようになりました。こんなに長くアニソンを歌うとは思っていませんでしたけど(笑)

━━なぜこれだけ長くアニソンを歌い続けてこられたのでしょうか?

シンガーとしての体質にあったんでしょうね。あとレイジー時代のファン層は女性が圧倒的に多かったのですが、アニソンだと男性が中心になりました。最初はとまどいましたけど、男性ファンは結婚したりしてもファンを止めるということはなく、音楽そのものを聴き続けてくれるので非常に心強いです。

━━肉体的には「しんどい」とライブ後の会見で話していましたね
毎日、趣味のようにジムに通っていますよ(笑)。確かにコンサートでは大変ですけど、いつもお客さんからの熱いエネルギーをもらっているのでやっていけるんだと考えてます。

━━最後に、香港在住の日本人にメッセージを
10月のコンサートを開催することになりましたが、素直にドラゴンボールZの曲を聞きに来ませんか?と伝えたいですね。車のような日本の製品は世界に認められています。その一方でアニメも文化として世界に認められています。そのすばらしさというのをぜひ味わって楽しんでもらいたいです。

ナビはいろんな有名人に話を伺ってきましたが、影山さんはお世辞抜きに気さくな方で、どんな質問にも丁寧に答えてくれてインタビュー時間もあっという間に過ぎてしまいました。スケジュールを聞くと、ブラジルから帰国してすぐに香港。数日滞在して北海道でライブ。そしてアメリカのボルチモアに行くという世界を股に掛けたすごい日程です。フランスにも初めて行くそうで、日本の売れているシンガーよりよっぽど国際的な影山さんでした。
生の声とCDの声にほとんどギャップがないのがすごいところです

生の声とCDの声にほとんどギャップがないのがすごいところです

ライブを聴きにきたファン

ライブを聴きにきたファン

では、影山さんのミニライブを

影山さんのライブは、イベント初日の8月1日に行われました。舞台の前はとにかく観衆でいっぱいで身動きができないような状態です。
最初の曲はやはりこの曲から。代表曲『ドラゴンボールZ』の『CHA –LA HEAD-CHA-LA』です。ナビも『週刊少年ジャンプ』を読みつつテレビアニメも見ていた当時を思い出します。30歳以上の日本人男性はほぼ記憶に残っている曲ではないでしょうか? 
次はこれまた有名アニメ『聖闘士星矢』の『聖闘士神話~ソルジャードリーム~』です。香港のアニメファンは日本語の歌詞を難なく唄うという点でナビは非常に驚きました。また、途中のライブ司会者とのやり取りで影山さんが日本語で答えたいたのは、かなりの人が理解していて、翻訳の必要はないのではと思わせるほどでした。
そのほかにもゲッターロボなどさらに2曲を歌い、全4曲、約30分のミニコンサートを締めくくりました。香港人は日本人と比べてコンサートはおとなしいと思われていますが、このコンサートは完全に日本と同じでした。影山さんも「全く、日本の盛り上がりと同じで、外国という違和感がなかった」といわしめた程です。
特に最後の曲はJam Projectのメンバー、奥井雅美さんが歌うパートがありますが、今回は1人でのライブということで、キーが高いにも関わらず歌いきりました
ライブ後の記者会見でも香港メディアからたくさんの質問が

人、人、人

港動漫電玩節は、湾仔(ワンチャイ)の会議展覧中心(コンベンション&エキシビションセンター、HKCEC)で8月1日~5日まで行われ、今年は10周年という記念の年で、たくさんのイベントが用意されました。HKCECではファッション、映画などバラエティーに富んだショーが実施されますが、集客力という意味ではトップクラス。十万人単位のアニメファン、子どもが訪れます。あまりの大混雑ぶりに、入場制限をかけても会場内を普通に歩くのが厳しいくらいです。限定商品を狙い来る人、コスプレを楽しみにしている人、ゲームを体験しに来る人など目的は様々。ここに来れば、日本のアニメ、マンガがここまで浸透しているのか?  というのが実感できます。というわけで、会場の様子を写真でどうぞ。
左からトランスフォーマー、クレヨンしんちゃん、ドラえもんのブース
このイベントには欠かせないコスプレーヤー このイベントには欠かせないコスプレーヤー

このイベントには欠かせないコスプレーヤー

フィギュアとジオラマのブースはいつも人気 フィギュアとジオラマのブースはいつも人気

フィギュアとジオラマのブースはいつも人気

ゲームに熱中する少年たち
プラモデルからコミックまでいろいろな商品が売られていました プラモデルからコミックまでいろいろな商品が売られていました

プラモデルからコミックまでいろいろな商品が売られていました

いかがでしたか? 影山さんが率いるJam Projectの10月のコンサート、楽しみですね。会場に入ると、ガンプラや超合金を見てすっかり気持ちが子供時代に戻ってしまった香港ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-08-13

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