香港セブンズ2014 大会レポート

ほっと香港でも紹介しましたが、日本代表はコアチーム昇格決定。リオ五輪出場に向けて大きな一歩を踏み出しました。カップ戦はニュージーランドが勝ちました。

みなさんこんにちは。香港ナビです。香港最大のスポーツイベント、香港セブンスが3月28日から30日まで香港スタジアムで開催されました。今年も約40000人の観衆がスポーツの祭典を楽しみました。メインのカップは強豪ニュージーランドが優勝し、日本もコアチーム昇格を果たしました。


底力を見せたニュージーランドが優勝

世界のトップが争うコアチームの戦いを見ていきましょう。コアチームはニュージーランド、オーストラリア、イングランド、フィジー、南アフリカ、サモアなど15カ国・地域で構成されていて世界9カ国・地域で開催されている7人制ラグビーのシリーズに全戦参戦し、総合ポイントで優勝を狙います。戦いぶりを後述する日本は来季からこのコアチームに昇格することになったのです。つまり年間を通して日本は世界のトップと真剣勝負をすることができます。世界トップとの差がある日本はこれでたくさんの経験を積むことができます。新聞紙上などでも書かれていますが、2016年のリオデジャネイロ五輪は7人制ラグビーが正式種目となるため、出場に向けて大きな助けとなるはずです。
予選を勝ちぬきカップ戦での決勝トーナメントに進んだのはフィジー、アメリカ、イングランド、南アフリカ、ニュージーランド、ウェールズ、オーストラリア、カナダの8カ国。準決勝はフィジー対イングランド、ニュージーランド対オーストラリアと順当な組み合わせとなり、決勝はイングランド対ニュージーランドとなりました。

ぬかるんだグラウンド

ぬかるんだグラウンド

セブンスシリーズでポイントランキングトップのニュージーランドが香港という”準地元”であるイングランド(事実、試合前の国歌斉唱ではスタンド全体がイングランド国家を歌っているような感じでした)を相手にどうするのか注目が集まりました。通算の対戦成績はニュージーランドの42勝14敗と圧倒的にニュージーランドが有利ですが、前週に行われた東京セブンスではイギリスが勝ちました。また、土曜日から雨が降りグランドコンディションが良くないという不安定要素もありました。
試合は両チームとも決め手を欠き膠着状態に。前半4分50秒にニュージーランドの12番ベン・ラムが相手を引きずりながら強引に進みトライを奪い先制します。さらにトライを奪われリードされたイングランドは前半のロスタイムにプレーの流れを切らずに前に進み、中央にトライ。12対7でニュージーランドのリードで前半を終了します。
後半は、ニュージーランドが完全に押す展開となり、1トライをとった後の後半6分20秒にダメ押しのトライを追加。イングランドは選手交代をするなどあきらめずに試合をしますが、26対7でニュージーランドが香港セブンスを制し東京大会の雪辱を香港セブンスという最高の舞台で果たしました。勝ったニュージーランドの選手が“ハカ”をするときに雨が強く降り始めました。それは、その約1時間後香港を襲った黒雨警報の始まりでしたが、試合開始が何らかの影響で遅れていたら試合すら危ぶまれるところでした。
ニュージーランドのゴードン・ティッチェン・ヘッドコーチは「イングランドは素早いからこのコンディションはちょっと気になっていた。それだけに後半最初の得点を奪うことが重要だった」と話しました。
3位はオーストラリアを下したフィジー、「プレート」は南アフリカ、「ボウル」はスコットランド、「シールド」はケニアがそれぞれ優勝を果たしました。

どの試合でも強さを見せたニュージーランド

どの試合でも強さを見せたニュージーランド

優勝セレモニーの様子

優勝セレモニーの様子

日本代表、悲願達成

来季のコアチームを決める決定戦の場所となるのが香港です。ただ昇格枠は1つ、つまり優勝しかありません。2016年のリオ五輪での正式種目になったことから世界のラグビー協会が7人制代表の強化に力を入れており予選リーグは勝ち抜けたとしても決勝トーナメントでは紙一重の戦いが待っていると思われていました。
予選、日本はプールGに入り、クック諸島、ウルグアイ、トリニダード・トバゴと対戦することになりました。初戦のウルグアイを24対0、トリニダード・トバゴを41対0、クック諸島を26対7と予選を3戦全勝で乗りきり、決勝トーナメントに進みました。 
トーナメント初戦のチュニジア戦も38対7の圧勝。トライの数は6つに上りました。続く準決勝の顔ぶれは日本、香港、ロシア、イタリア。ここからは一気にレベルが上がる様相で予選のような完勝は無理と考えるのが普通です。日本はロシアと戦うことになりましたが、ロシアのスローテンポのラグビーにつき合わせられる展開で、見ているほうはジリジリとした感じの試合となります。3分21秒にロシアはスクラムから出たボールを素早く展開してゴール右にトライ。2分後、日本の攻撃ゴールまでかなり迫ったところで、ロシアにインターセプトを許して追加点を取られます。あきらめない日本は前半残り1分、悪い流れを断ち切るトライを上げ、14対7と詰め寄って後半に入ることに。後半は両チームとも全く点がとれず時間だけが減っていく相変わらずのロシアペースで日本には辛い展開になっていきます。しかし、残り42秒日本のラインアウトはミスしましたが、うまく対応してボールを取りゴールほぼ中央にトライ。ゴールも決まって同点に。サドンデスの延長に突入します。延長は先にロシアに押し込まれたが、相手の反則を生かした日本の攻撃は、延長2分35秒に橋野皓介が逆転のトライを決めました。抱き合う日本、うなだれるロシア。まさに対照的な光景でした。
この試合に勝てばコアチーム昇格が決まる決勝。相手は地元香港を破ったイタリアです。15人制では明らかに日本より格上のイタリアですが7人制ではどうでしょうか? 日本は開始29秒、1分47秒に連続トライで勢いをつけ、後半も2トライを決めます。試合終了前にイタリアにトライを奪われただけという余裕の試合展開で結局26対5で勝利。ついにコアチーム昇格の切符を手にしました。
“ミッション”を達成した瀬川智弘ヘッドコーチは「日本チームにとって本当に大きなこと。大勢の日本人が住んでいる香港で勝つことができて本当にハッピーです」と喜びを語りました。15人制でも活躍する藤田慶和は「延長を戦いましたが、決勝でも疲れは感じませんでした。コアチームに入れることで、これからいい経験がたくさん積めると思います」とリオ五輪を見据えているかのようなコメントをしてくれました。

クイーンの曲が会場全体に

土曜日のエンターテインメントイベントは昨年から始まり、ザ・ビーチ・ボーイズがコンサートを行いましたが、今年はクイーンです。メンバーのロジャー・テイラーとブライアン・メイは活動を続けていますが、テイラーが選んだボーカルと一緒にクイーンの演奏を忠実に再現するコンサートです。ここで曲名を書くまでもないほどヒット曲がたくさんあるクイーンですから、演奏中はスタジアム全体が屋外カラオケ場のようになっていました。“コスプレ”が集まる南スタンドは、それはもうすごいことになっていました。

クイーンの曲にあわせて踊るチアリーダー

クイーンの曲にあわせて踊るチアリーダー

キャセイのフライトアテンダントもコンサートを盛り上げました

キャセイのフライトアテンダントもコンサートを盛り上げました

観客が本当に楽しめるスポーツの祭典

どの選手も香港セブンスのスタジアムの雰囲気は最高と言っています。それは観客がラグビーを楽しむだけでなく、周辺でのイベントを開催するなど観客をどうやって楽しませよう、といろいろ考えられているからです。そんなセブンスの様子を下記の写真で紹介しましょう。

ここはサモアファンの定位置です

ここはサモアファンの定位置です

盛り上がっています

盛り上がっています

こういった販売所も

こういった販売所も

こちらはIRBのトップ、ブレット・ゴスパーCEO

こちらはIRBのトップ、ブレット・ゴスパーCEO

雨が多かったのでメディアの人間も大変でした

雨が多かったのでメディアの人間も大変でした

館内にあるスコアボード。それを見つめる子どもは真剣です

館内にあるスコアボード。それを見つめる子どもは真剣です

南スタンドで応援するには5時間待ち

南スタンドで応援するには5時間待ち

ビールの売り子は本当に忙しそうでした

ビールの売り子は本当に忙しそうでした

爆竹による演出

爆竹による演出


いかがでしたか? 今大会は何といっても日本代表がコアチームに昇格したことです。応援に来ていた日本人は大喜びでした。以上、香港ナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-04-08

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