香港セブンス観戦ガイド

7人制ラグビーの大会で、香港最大のスポーツイベント。チケットはほぼ毎年売り切れになるほど人気。15人制とは違いスピード感にあふれる

みなさん、こんにちは。香港ナビです。毎年3月末から4月の上旬にかけて開催される香港で最も人気の高いスポーツイベント、「香港セブンス」が開催されます。この週は香港はセブンス一色といっていいほどで、雑誌で特集が組まれたり、テレビCMが流れます。観戦チケットはほぼ毎年完売状態です。年々、徐々に値上がりしているにも関わらずです。日本を含めた海外からツアーが組まれるほどですから、その人気具合がわかります。ということは…香港のホテルや航空券の値段は、開催日の前後は値上がりするほどです。今回はそれほどの人気を誇るセブンスの観戦ガイドを書きたいと思います。

15人制との違い

セブンスとは7人制ラグビーのことで、15人制ラクビーの半分以下の人数で行います。ルールも基本的に15人制とほぼ同じです。フォワード3人、バックスが4人という構成になっています(スクラムはプロップ2人、フッカー1人で組む)。ピッチのサイズは15人制と同じですが、7人なので選手1人あたりのスペースが非常に大きくなるため、コンタクトプレーよりも華麗なパス回しと選手のステップワークを駆使した走りが中心となります。ですので、人が密集してボールを取り合ったりするラックやモールはあまり見られません。180センチを超える人が全速力で走る姿はかなり迫力があり、しかも俊敏に動くのである種、驚きでもあります。競技時間が短い分だけ選手は最初から全力で試合をします。また、ゾーンを張って組織的に守るのではなく、1対1でのディフェンス能力(タックルや相手の走路を読む力)が必要とされます。ですので、ラグビーとはいえ15人制の力の勝負ではないので初めて見る人はちょっとびっくりするかもしれません。
タックルで止めるか、スピードで振り切るか

タックルで止めるか、スピードで振り切るか

見た目以上に速さと迫力があります

見た目以上に速さと迫力があります

ピッチは15人制と同じです

ピッチは15人制と同じです

セブンスの簡単な歴史

セブンスラグビーは、国際ラグビー評議会(IRB)が主催して、ドバイ、南アフリカ、ニュージーランド、アメリカ、香港、オーストラリア、イングランド、スコットランド順で、8カ国・地域を転戦して開催されます。昔は日本でも開催されていましたが、いまいち人気がなかったこともあり現在は開催されていません。
各国チームはF1やワールドカップ・スキーのように世界を転戦し、優勝者には16チーム参戦の大会だと24ポイント、24チーム参戦では30ポイント、2位は前者が20、後者が25ポイントなど各順位に応じてポイントを得て、その総合ポイントで順位を争います。8カ国・地域のうち、香港だけが24チーム参戦する大会で、ほかの大会より規模が大きいのです。それが人気の1つです。
なぜ香港だけ規模が大きいのでしょう? セブンスはスコットランドにある小さな街、メルローズで1800年代後半に生まれました(優勝カップは「メルローズ・カップ」と呼ばれます)。メルローズのラグビークラブが資金難から、1日で何試合もするトーナメントを開催できないかと考えました(80分で行われる15人制では試合を多くこなせません)。その解決策が、7人でプレーして時間を短くするというものでした。15人制が主流ということもあり、ゆっくりではありますが世界に広がっていきました。
そして1976年3月に香港セブンスが初めて開かれます。当時は12チームが参加し、その中には日本も含まれています。これが商業的にも大成功。当時はイギリス植民地下でしたからラグビーへの理解度は高かったことも成功した要因でしょう。これが礎となってセブンスが世界的に本格普及をし始めます。つまり香港セブンスの成功がなければ、五輪種目になることもなかったほど重要な役割を果たしたのです。
この盛り上がりが成功を支える原動力です

この盛り上がりが成功を支える原動力です

どれだけの観衆がいるかがわかると思います

どれだけの観衆がいるかがわかると思います

選手もこれだけの観衆の前では誇らしい気分に

選手もこれだけの観衆の前では誇らしい気分に

一日に何十試合も楽しめます

試合時間ですが、通常は7分ハーフの計14分。決勝のみ10分ハーフで行われます。次から次へと試合が組まれるので飽きることがありません。1日に数十試合組まれ、大会期間中の3日間で計80試合くらい見られます。2016年のリオデジャネイロ五輪から正式種目(3日間という開催期間の短さが五輪に採用された理由の1つ)となり、ここへきて日本でも注目度が高まってきています。
15人制でラグビー強国といえば、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、イングランドなどですが、7人制になると競技の性格が違うせいもありフィジー、サモアといった国も強国に名を連ねます。
前述のように香港セブンスだけは24の国と地域から参加します。これを1グループあたり4カ国・地域として6グループに分かれます。予選は総当たりを行い、その順位に応じてクラス別の決勝トーナメントに進み、それぞれの栄冠を狙います。
黄色のユニホームといえばおなじみのオーストラリア

黄色のユニホームといえばおなじみのオーストラリア

ここ数年、7人制最強チームの1つサモア

ここ数年、7人制最強チームの1つサモア

観戦と施設

観戦する場合、どこで観戦するか?ですが、南スタンドの券を持っているなら仮装していくのがいいです。日本代表のユニホームを着るもよいですし、目立つためにユニークなコスチュームを身にまとうのもいいです。とにかく現場は仮装大会と化しています。ナビもそうですが各メディアがそういった人たちを狙って撮影しているので、ひょっとしたら香港スタジアム内の大型スクリーンに映し出されたり、香港の新聞にあなたの写真が掲載される可能性アリです。友人や周りの人と一緒に盛り上がりながら応援をするという感じのスタンドです。
ほとんどコスプレ大会と化します ほとんどコスプレ大会と化します

ほとんどコスプレ大会と化します

プログラム売り場

プログラム売り場

南スタンドと北スタンド以外の1階席なら、選手のスピードを感じましょう。あんな大きな体をしてこれだけ速く走れることにびっくりするかもしれません。フィールドに近いのでその迫力を味わってください。
もし2階席のチケットを持っていたら、フィールドの全体が見渡せます。そこで戦略的な視点から試合をみると面白いでしょう。例えば、ボールを持っていない選手の動きを追うと、そのチーム全体の戦略が自然と見えてきます。実はマスコミの席もそんな理由から上の階にあるくらいなんです。

食べ物ですが、基本的にはファストフードばかりと思ってください。あまりおいしい食事は期待しない方がいいです。南スタンドを中心にビールが飛ぶように売れます。セブンスはビールを片手にスポーツを楽しむという形が定着しています。お土産店、トイレはいつも混んでいるので、早め早めに行動をしたほうがいいでしょう。人ごみを避けたいのなら試合中に行くほうがベターです。そのほか、顔などに国旗を塗るペインティングなど1日中楽しめるように主催者も工夫しています。
飛ぶように売れるとはこのこと。ビールの消費量は半端ではありません 飛ぶように売れるとはこのこと。ビールの消費量は半端ではありません

飛ぶように売れるとはこのこと。ビールの消費量は半端ではありません

残念ながらチケットが手に入らなかった人は、テレビ観戦という手があります。一昔前は有線電視(Cable TV)という有料放送が放送権を持っていましたが、現在(2011年2月)は、香港最大の地上波テレビ局TVBが放送するので何の心配もありません。香港スタジアムには大型スクリーンがありますが、それはリプレイと広告に使われるだけです。ところが、家庭のテレビで観戦するとリプレイだけではなく様々なデータが表示されます。そういう意味ではテレビで観戦した方が試合に関する情報を適切に得ることができるとも言えますね。
チケットも持ってないけど、友人と盛り上がりたいと言う人はスポーツバーに行くという手があります。香港はあちらこちらにスポーツバーがありますが、そのどこに行ってもラグビー放送がされていることでしょう。セブンス期間中の店員は同店オリジナルのセブンスTシャツを着て店内を盛り上げたユニホームの販売までしているところもあります。また、蘭桂坊(ライカイフォン)行けば、毎年すごい盛り上がりを見せているのは言うまでもありません。
蘭桂坊のようす

蘭桂坊のようす

スポーツバーに掲げられているユニフォームー

スポーツバーに掲げられているユニフォームー

この時期の香港では気温的にはベストシーズン。快適に観戦することができるはずです。日ごろのストレス発散を含めて香港セブンスを満喫してください。以上、香港ナビがお送りしました。



上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-02-28

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