フォーミュラE香港2019 レースリポート

2019年のフォーミュラEの香港E-Prixは、モルタラが初優勝。残り2周でトップ2台が接触する大波乱のレース

みなさんこんにちは。香港ナビです。香港では2016年から電気自動車のF1とも言われるフォーミュラEが開催されています。今年は2018-19年度シーズンの第5戦で、3月10日に中環(Central)のハーバーフロントで開催されました。フォーミュラEとして50戦目を迎える記念すべきレースで、エドワルド・モルタラが(ヴェンチュリ)がフォーミュラEで初優勝を果たしました。

今シーズンから日産が参戦

フェリペ・マッサ

フェリペ・マッサ

2018-19シーズンからのフォーミュラEでは、ルノーに代わり、アライアンスを組んでいる日産が参戦する事になりました。電気自動車(EV)のリーフを40万台以上を世界中で販売していますし、ルノー自体はF1に集中するためですので、そういう意味では理にかなっています。日産のほかにも、アウディ、ジャガーなどが参戦しているほか、来シーズンからはメルセデスとポルシェも参戦することが決定。これほど多くの自動車メーカーが参戦するするというのは他のカテゴリーでもあまりありません。

マシンを製作しているのはスパーク・レーシング・テクノロジー社で。今シーズンからは「Gen2」と呼ばれる第2世代のレーシングカーが登場しました。昨シーズンまではバッテリーの関係からマシンの乗り換えが必要でしたが、それが必要なくなりました。最高速も280キロに到達します。ドライバーもF1出身者であったり、マカオGPの勝者など一流どころが参戦しています。
整備中の日産のマシン

整備中の日産のマシン

日産のピット

日産のピット

左から:ローランド、インタビューアー2015-16年のチャンピオン、セバスチャン・ブエミ

左から:ローランド、インタビューアー2015-16年のチャンピオン、セバスチャン・ブエミ

香港のど真ん中を走る市街地コース

コース全体の一部

コース全体の一部

コースは、中環の龍和道(Lung Wo Road)の東向き車線の人民解放軍近くをスタート/ゴール地点とし、添華道(Tin Wa Avenue)手前で180度のヘアピンコーナー(1コーナー)を抜け、龍和道を西向き車線555メートルの直線の後、IFC手前の民耀道(Man Yiu Street)との交差点で90度右ターンします(2コーナー)。ここの正面がショッピングモール「IFC Mall」内にあるアップルストアでちょっとした観戦ポイントで、このコース最大の追い抜き場所になっています。スターフェリーのあるふ頭、観覧車の近くなどを経由して戻って来る10コーナー、全長1.86 キロのテクニカルなコースです。ピットレーンは観覧車近くに設けられました。
後ろには中環のオフィスビル群

後ろには中環のオフィスビル群

道幅は市街地サーキットならではの狭さ

道幅は市街地サーキットならではの狭さ

コースが細かくカーブしているのが分かります

コースが細かくカーブしているのが分かります

シケインでのロッテラー

シケインでのロッテラー

トップでチエッカーをうけたバードが失格。モルタラが繰り上げ優勝

ロッテラーの走り

ロッテラーの走り

フォーミュラEでは基本的に予選とレースを1日でやってしまいますので、早朝から走行スケジュールがびっしり。予選は雨が降ったりやんだりの不安定な天候の中で行われ、ポールを取ったのは、ストフェル・バンドーン(HWA AG)選手でした2位には日産のオリバー・ローランド、3番手にはアンドレ・ロッテラー(テチータ)が入ります。

決勝は曇り空でしたが、16時過ぎに45分プラス1周といういかにも電気自動車らしいスタイルでレースがスタートしました。ヘアピンの1コーナーに入ったのは日産のローランド。ですが2周目に3台が2コーナーでクラッシュしマシンの除去のため赤旗中断となります。

残り37分プラス1周でセーフティーカーの先導でレースが再開します。4位につけていたロッテラーはヘアピンでバンドーンを抜き3位に上がります。7周目、2位にまで順位を上げてきていたサム・バード(ヴァージン・レーシング)がローランドとヘアピンで追突。日産はこの影響で失速しバードがトップに立ち、ロッテラーが2位になります。そしてバードとロッテラーのマッチレースの様相を呈していきます。

 バードはロッテラーを引き離そうとオーバーペースになり2コーナーで膨らみその内側をロッテラーがすり抜け順位が逆転します。ただ、バードのマシンは調子が良くロッテラーに余裕で追いつき、抜く機会を伺います。トップに立ったロッテラーは巧みな走行ラインを通りバードを抜かせません。残り30秒プラス1周のバックストレートエンドで追い抜きを試みたバードがロッテラーの右タイヤに接触。これがロッテラーのタイヤをバーストさせリタイアしてしまいます。バードがそのままトップでチェッカーを受け、2位にモルタラ、3位にルーカス・ディグラッシとなりました。

 レースのオフィシャルはロッテラーとバードの事故について審議すると発表し、暫定的にこの3人で表彰式と記者会見を行いました。バードは会見で「ショック。前を行くマシンと接触することを望んではいなかったし残念なこと。前を行くマシンに問題が発生して僕がそれを抜いてレースに勝った」といっていました。ただ、彼はレース序盤にもローランドと接触しているので、どうも表情がさえません。心のどこかに自分の非が大きいと理解していたのでは様子でした。

メディアが集まるゾーンに現れたロッテラーは「レースだから仕方がないけど…。彼は私にぶつかり、タイヤとサスペンションがダメになった。何とか頑張ろうとしたけど、生き残れなかった」と悔しさを押し殺すように話していました。各国のメディアから同じ質問をうけていましたが、繰り返し「アンフェア」という言葉を発していたのが印象的でした。
4時間の審議のあと、バードには5秒加算のペナルティーが与えられモルタラが繰り上げ優勝しました。彼はマカオGPで2連覇しているほか、フォーミュラEの初優勝が香港と、この地区に縁があるドライバーのようです。
モルタラの走り

モルタラの走り

レース前のようす

レース前のようす

緊張感が高めるレーサー

緊張感が高めるレーサー

後ろからみたスターティング・グリッド

後ろからみたスターティング・グリッド

バード(中央)は後に失格

バード(中央)は後に失格

悔しさを押し殺しているロッテラー

悔しさを押し殺しているロッテラー

レース以外のアクティビティも充実

ファン拡大のためには重要なサイン会

ファン拡大のためには重要なサイン会

会場には、レーシングカーのゲームの大会、交通安全の展示ブース、レーサーによるサイン会、電気自動車の展示など、VR(拡張現実)など、子どもから大人まで楽しめるようになっていました。
eスポーツの大会も開かれました

eスポーツの大会も開かれました

ジャガーの車両によるサポートレース

ジャガーの車両によるサポートレース

ミシェル・ヨーが安全運転を呼び掛けていました

ミシェル・ヨーが安全運転を呼び掛けていました

ビバンダムも大忙し

ビバンダムも大忙し


ドライアイスを入れて車を強制的に冷却しています

ドライアイスを入れて車を強制的に冷却しています

いかがでしたか? 当日は雨模様の1日でしたが大波乱のレースで、予想以上の盛り上がるレースとなりました。以上、香港ナビがお伝えしました。






上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-03-19

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