香港インターナショナルレースは毎年12月に開催される香港競馬最大のレース。昨今の社会状況によって開催も一部懸念されましたが大丈夫でした。G1が4つありますが日本馬はなんと3勝もしました
みなさんこんにちは。香港ナビです。「香港国際賽事/Hong Kong International Races(HKIR)」が12月8日に沙田馬場(Shatin Racecourse)で開かれました。4つG1レースのうちメインの香港カップでウインブライトが勝つなど日本の馬がなんと3勝もあげる歴史的な日になりました。
観客はデモの影響で激減ですが開催することができました
HKIRは短距離から中距離のG1レースが1日4レース開かれる世界的に名を知られているイベントで2018年は9万6388人もの人が世界中から集まりました。今年はデモの影響で開催を危ぶむ声もありましたが、幸い沙田エリアがデモの舞台になることもなく、開催日まえ数日間が比較的平穏であったことも幸いして開催することができました。ただ、来場者はデモの影響は避けられず2万7965人と大幅に減ってしまいました。そのため、ブースやお土産店の数なども減っていましたが、今回に関しては開催できただけで十分かもしれません。
香港ヴァーズ(2400メートル)
圧勝したグローリーヴェイズ
日本ダービーと同じ距離の香港ヴァーズでHKIRの4レ―ス中、最も長い距離を走ります。そのため、ゴール板を2回通過するのでスタート地点から1コーナーまでにいる観客は1度で2度馬の雄姿を見ることができます。
日本からはグローリーヴェイズ、ディアドラ、ラッキーライラックの3頭が出走しました。勝ったのはジョアン・モレイラ騎手が手綱を引いたグローリーヴェイズでした。2着にラッキーライラック、4着にディアドラでしたが、4着のディアドラの追い込みもすごくもう少し距離があれば日本馬の1~3着独占という状況になるところでした。日本馬のこのレースの勝利は2016年のサトノクラウン以来です。
モレイラ騎手は「コーナーを抜けて馬のギャップができることにかけたら、残り350メートルで馬同士にギャップができた。そこに馬はダッシュした感じ。このレースで日本の馬に乗って勝つことができるのは価値が高いです」と喜んだ。尾関知人調教師は「最初は後ろだなと思いましたが、いつの間にか虎視眈々と位置を上げるあたりがマジックなんでしょう」とモレイラ騎手をほめたたえていました。
香港スプリント(1200メートル)
ゴール前の戦いを制したビートザクロック
スプリントという名前のように、香港の短距離王を決めるレースですが香港スプリントです。日本からは世界的名手のランフランコ・デットーリが騎乗するダノンスマッシュが出走しました。父は2012年と13年にこのレースを連覇したロードカナロアです。
レースですが、「スタートで跳び上がってしまった。ポジションが後ろになってしまったので残念です」と言うようにダノンスマッシュがスタートが合わず出遅れてしまいます。優勝したのは、モレイラ騎手が乗ったビートザクロックです。残り200メートルから猛然と追い上げ、最後の最後でトップに立ちゴール板の前を通過しました。モレイラ騎手は香港ヴァーズと合わせてG1レース2連勝となりました。「馬の能力を疑ってる人がいたので、そうではないことを見せることができたという記念の勝利です」と笑いました。ダノンスマッシュは前述のようにスタートの影響が響いて8着に終わっています。
香港マイル(1600メートル)
アドマイヤマーズの走り
マイルは、香港からはG1レース7勝で香港マイルでは3連覇を目指すビューティージェネレーションが参戦します。日本からはインディチャンプ、ペルシアンナイト、アドマイヤマーズ、ノームコアの4頭が香港にやってきました。安田記念とマイルチャンピオンシップを制したインディチャンプには大きな期待がかかっていました。
スタートしてビューティージェネレーションは2番手を走り、アドマイヤマーズがぴたりと後ろを追走します。最終コーナーを抜けてビューティージェネレーションがトップに立ちますが残り100メートルでアドマイヤマーズが先頭にたち、追いすがって気来たワイククを振り切って香港マイルを制しました。
鞍上のクリストフ・スミヨン騎手は「なんという馬なんでしょう‼ この冬は日本に行くと決めたんだけど、その甲斐があった。(勝つ)自信はあった」と語りました。実はこの馬のオーナーである近藤利一さんが11月17日に亡くなったため、弔いの勝利となりました。友道康夫調教師は「今日来ているスーツはオーナーが香港で観戦するために新調したもので、僕が代わりに着てきました。いい報告ができます」と感慨深げ。近藤旬子夫人も「勝てると思っていなかったので。故人も喜んでいると思います」とコメントしました。ほかの日本馬は、ノームコアが4着、ペルシアンナイトが5着、インディチャンプは7着に終わっています。
香港カップ(2000メートル)
ゴール前、粘って勝利したアドマイヤマーズ
HKIRのメインレースである香港カップは8頭立てで、日本馬は、今年の4月にここ沙田競馬場で開かれたクイーンエリザベス2世カップを制したウインブライトが再び登場しました。
大外からウインブライトは道中は3番手から4番手につけ、ゆったりとした感じで走ります。4コーナーを抜けて残り150メートルで先頭に立ち後続を引き離しにかかりますが、ここで内側から世界的名手のライアン・ムーア騎手が操るマジックワンドが伸びてきますが、ぎりぎりで抑え香港カップに勝ちました。これでウインブライトは沙田競馬場でのG1レース2連勝です。愛称の良いトラックと言っていいでしょう。お父さんのステイゴールドが2001年に香港カップで勝っていて親子2代での制覇となりました。「アーモンドアイとの対戦を楽しみにしていたけど、責任重大な立場になった。日本人騎手は自分だけですが、魂を見せられたかな」と喜びました。
いかがでしたか? 日本馬がG1レースに3勝したのは2001年以来18年ぶりです。その時は、香港ヴァーズがステイゴールド(武豊)、香港マイルをエイシンプレストン(福永祐一)、香港カップをアグネスデジタル(四位洋史)という馬でした。来年のHKIRはどうなるのか、今から期待が高まります。以上、香港ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2019-12-11