毎年12月に開催される香港競馬最大のレース、香港インターナショナルレース。日本馬もがんばりましたが香港馬が全勝という結果に終わりました
みなさんこんにちは。香港ナビです。香港は秋口から冬場になりますと大きなスポーツイベントが多く開かれるようになります。その中1つ「香港国際賽事/Hong Kong International Races(HKIR)」が12月9日に沙田(Shatin)競馬場で開かれました。メインの香港カップでは、グロリアスフォーエバーが優勝。日本馬はリスグラシュー、ヴィブロス、ディアドラがそれぞれ2着と健闘しました。
競馬以外でも楽しめる
国旗をまとったモデル
短距離から中距離のG1レースが1日4レース開かれる世界的に有名で贅沢なイベントのHKIR。2016年は10万710人に対し2017年は9万4560人でしたが、2018年は前年より少し盛り返して9万6388人となりました。売上は前年比と比べて500万ドル増加の16億500万香港ドルでした。
例年、香港の有名歌手によるミニコンサートが行われますが、今年は昨年に引き続き歌唱力に定評がある張敬軒(Hins Cheung)でした。例年同様に、太鼓のパフォーマンスも行われ、レース前の雰囲気を盛り上げました。レースの合間にはファッションコンテストの表彰も行われるなど、嗜好を凝らしたイベントで観客を飽きさせない努力をしています。
香港ヴァーズ(2400メートル)
競り勝ったエグザルタント
日本ダービーと同じ距離の香港ヴァーズですが、勝ったのはザカリー・パートン騎乗のエグザルタントです。この馬は13戦3勝でG1のタイトルがありませんでした。ただ、今年2400メートルを2回走って1着と2着に入っていました。そういう意味でこの距離はこの馬にとって適正な距離だったということが言えると思います。
2着に入ったのが、ジョアン・モレイラ騎手のリスグラシューです。今年、日本中央競馬会(JRA)の騎手免許の試験を受けて落ちてしまったモレイラ騎手ですが “マジックマン”、“雷神”と呼ばれる実力は折り紙つきで、11月11に開かれたエリザベス女王杯でも2着が多く勝ち切ることができなかったリスグラシューを優勝に導いています。今回のレースでもモレイラ騎手は後半一気に追い込み、もうあと数十メートルあれば差し切れたというレースを見せてくれました。
パートン騎手も「モレイラ騎手の方が勢いがあったから交わされたと思った」というほどでした。モレイラ騎手は「残り600メートルで馬と接触したことが、最終的に高くついた」と話していました。もう1頭の日本馬、クロコスミアは10着でした。
香港スプリント(1200メートル)
連覇したミスタースタニング
スプリントという名前のように、香港の短距離王を決めるレースです。日本からはファインニードル(川田将雅騎乗)が出走しました。この馬は今年春の高松宮記念で勝ち、秋のスプリンターズステークスでは連覇という日本の最速馬。香港でも当然、勝利を狙いに来ました。
レースはスタート前にアクシデントが発生します。香港のピンウースパークがゲートに入るのを何度も嫌がったことが原因です。最終的には赤旗が振られて出走取消になるほどでスタートに時間が大幅に遅れました。
優勝したのは、昨年のこのレースの勝者であるミスタースタニング(カリス・ティータン騎乗)でした。今年に入ってから全く勝てず、今年は初勝利が香港スプリント連覇という勝負強い馬というのを印象付けられました。ファインニードルはゲート入りの遅れの影響をかなり受けて8着に沈みました。川田騎手も「長い間ゲートに入っているのは慣れてない。ついていなかった」と残念そうでした。
ティータン騎手は「彼にとって素晴らしい“旅行”だったと思う。私がボタンを押せば、彼は行ってくれるのはわかっていました」と満面の笑みを浮かべていました。
香港マイル(1600メートル)
強すぎたビューティージェネレーション
マイルは、日本からペルシアンナイト、モズアスコット、ヴィブロスの3頭がマイラーの頂点を目指しました。レースを制したのは香港ヴァーズを制したZ・パートン騎手が乗るビューティージェネレーションでした。2着以下に3馬身差をつける圧勝で、パートン騎手もゴール前からガッツポーズをするほどの余裕がありました。ビューティージェネレーションはミスタースタニング同様に連覇を果たしたことになります。ビューティージェネレーションは4連勝中でワールドベストホースランキングの芝のマイルのカテゴリーでナンバーワンという実力馬。スタートから先頭を切り、最後は突き放すという展開で世界最強マイラーの力を見せつけられました。ヴィブロスが2着、ペルシアンナイトが5着、モズアスコットが7着でした。
パートン騎手は「前走で少し足に問題を抱えていたけど大丈夫でした。この馬のすごさはやっぱりクルージングのスピードすらとても速いことだね」と能力の高さを称賛していました。
香港カップ(2000メートル)
逃げ切ったグロリアスフォーエバー
HKIRのメインレースである香港カップ。2015年はエイシンヒカリが、2016年はモーリスと日本馬が2連覇するなど愛称の良いレースです。日本からはサングレーザー、ステファノス、ディアドラの3頭です。「競馬関係者のあいだではひょっとしたらワンツーもあるんじゃない」と期待されていたレースでした。
レースですが、シルベスター・デソウサ騎手鞍上のグロリアスフォーエバーが先頭に立ちレースを引っ張ります。最後の直線になってもグロリアスフォーエバーの足は衰えずそのまま逃げ切りで優勝しました。実は、昨年の勝者タイムワープはこの馬の兄で、2年連続で兄弟が制覇したことになります。しかも両馬とも先行逃げ切りというスタイルまで同じでした。ディアドラは追い込んできましたが、届かず2着。サングレーザーは4着、香港競馬の常連ともいえる5度目の出走となったステファノスは9着でした。
「最初の300メートルの戦いで勝つことできて、800メートルの時点で気持ちよく走ることができた」とデソウサ騎手は勝因を語りました。今回、もう1つ注目を浴びたのが、香港の調教師、フランキー・ローがスプリントとカップの2つを制したことです。これまで外国人調教師ばかりだっただけの、地元出身の調教師がでてきたという…ちょっと潮目が変わりそうな雰囲気の結果となりました。
表彰式での記念撮影
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サングレーザー
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ステファノス
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ディアドラ
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レースの最後は花火
いかがでしたか? 今回、香港馬がすべてのレースを制するという圧勝劇でしたが、日本馬が勝てそうなレースがありましたので、来年のHKIRに期待しましょう。以上、香港ナビがお伝えしました。
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記事登録日:2018-12-14