櫻井景子先生の香港レシピ教室 腐竹白果意米糖水の巻

腐竹白果意(上に草かんむり)米糖水。優しい癒し系の香港デザート、ぎんなんとはとむぎ入りゆばのおしるこです。

糖水(とんそい)という字からどのようなものを想像しますでしょうか?日本に“糖朝”が出店したことから、香港ファン以外の人にも香港デザートに触れる機会が増えてきたので、もうご存知の方も多いかもしれませんね。香港ではデザートのことを“甜品”(てぃんぱん)と呼び、その甜品のひとつ、汁系(おしるこやシロップ)の甘いものを“糖水”と呼んでいます。
香港で糖水を食べたことのある方は、そのどこまでも優しくほのかな甘さに驚かれたことでしょう。日本の羊羹のような甘ったるい甘さを持つデザートは香港にはほとんどなく、自然な素材の甘さを活かしたデザートが主流なのです。食べ物すべてが薬膳の考えに基づく香港の食事はデザートも同様で、身体のためを思い食する人も多いのです。舌が喜こぶだけではなく、身体も喜ぶデザートなのですね。

香港に来たばかりのころ、咳が止まらず苦しむ私に、年下の若い男の子が“あなたは喉を痛めているから、梨の糖水を飲むといいよ”と教えてくれたのにはびっくりしました。ことあるごとに、香港の人は身体の症状に合わせて自分が今、何を摂るべきかということを身について知っているのです。

香港に住む以前は中華デザートといえば、杏仁豆腐にごま付き揚げ団子ぐらいしか思い浮かばなかったのに、香港に来るようになって、日本にはないとても多くのデザートがあることを知って本当に興味が湧きました。しかも、すべてのデザートが身体のどこにいいかという効能までついてくるのですから!糖水は特に香港で重要視されるは湯水(とんそい)と呼ばれるスープと同じ起点から香港人に愛され、根付いています。

では、香港の人はいつ糖水を食べるのでしょうか?午前中に食べる人はあまりいませんが、午後のお茶の時間や、もっとも多いのが夕食後のデザートとして食べる人がとても多く、香港の糖水店は夜9時ごろから深夜まで大変込み合います。

今日は私がもっとも愛する糖水である“腐竹白果意米糖水”をご紹介いたします。香港の糖水は季節に合った食べ分けをすることが出来ます。夏の暑い日には、身体の余分な熱を冷まし、身体を清めてくれる糖水、冬はその逆で身体を暖めて滋養がある糖水。というように、自分の身体具合と季節によって好ましい糖水というのがあります。

夏の糖水
紅豆沙、?豆沙、芝麻糊、腐竹白果、合桃露、
杏仁茶、鮮百合海底椰など

冬の糖水

芋頭西米露、紫米露、蕃薯糖水、杏汁燉燕窩など

上の表をご覧になって気づかれたかもしれませんが、香港人は漢方的な見方から女性は基本的には夏でもあまり冷たいものを好んで口にしないので、暑い日でも熱い熱いデザートを口にします。もちろん、マンゴープリンをはじめとする冷たいデザートも最近はありますが、冷たい食べ物や飲み物は身体を冷やし、冷え性の原因ともなるので、特に女性は控える人が多いようです。

ご紹介する“腐竹白果意米糖水”はまさに夏の暑い日に是非、食べたい糖水です。材料となるはとむぎはむくみ防止に役立つことから余分な水分を身体の外へ出してくれます。腐竹は身体の余分な熱を取り、清めてくれます。また70%が蛋白質なので、特に女性の肌にいいと香港女性に大変人気の糖水です。

材料のご紹介

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別名 三邊竹とも呼ばれます

生ゆばを1週間ほど乾燥させたもので、この“腐竹白果意米糖水”を作る時に使われるゆばです。
香港ではゆばは7種類に分けられています。
鮮腐竹(生ゆば)
豆乳を沸かして出来た膜を取り出したもの

腐皮(半生ゆば)
豆乳を沸かして出来た膜を取り出したものを半乾燥させたもの

腐竹(乾燥ゆば)
豆乳を沸かして出来た膜を取り出したものを乾燥させたもの

甜竹(濃縮ゆば)
鍋底に残った濃度の濃い豆乳を固めたもの

鮮枝竹(生枝ゆば)
生ゆばを枝状にしたもの

枝竹(乾燥枝ゆば)

生ゆばを枝状にし、乾燥させたもの

炸枝竹(揚げ枝ゆば)
生ゆばを枝状にし、
乾燥させたものを揚げたもの

日本ではゆばは大変高価なイメージがありますが、香港では日常の食卓によく登場する馴染みのある食材です。香港の街市(がいしー)と呼ばれるマーケットへ行けば買うことが出来ます。
※2003年5月に中国産のゆばから使用が禁止されている防腐剤が検出されたことから、香港でも香港産のゆばが人気です。

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店名: 樹記  住所: 九龍 深水埗汝州街236號  電話: 2386-7776
60年近い歴史のある湯葉専門店です。
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日本と同様、銀杏と呼ぶこともあります。
通常は生のぎんなんを使います。これは漢方薬店や街市の食品雑貨店へ行くと売られています。生のぎんなんが入手出来ない時は缶詰や真空パックのものでも代用出来ますが、香りや歯応えはやはり生が一番おいしく食べられます。

ぎんなんは肺を潤し、咳止めや痰を沈めたり、疲労回復、身体の熱を冷まし清め、降血脂、抑菌効果があります。**ただし、生のまま食するのは中毒を起こしますので避けてください。また1日10粒以上食べるのは好ましくないようです。

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はとむぎ(鳩麦)
イネ科の一年生植物。神農本草経には「久しく服すれば、補虚、益気、軽身などの効果がある」と記されています。タンパク質、ビタミンB1、カルシウム、鉄分などを豊富に含み、なかでもタンパク質は良質のアミノ酸で形成され、他の穀類に比べて新陳代謝作用が大きいといわれています。食欲不振や胃もたれ効果、利尿作用があるので、むくみ、脚気、腎臓、膀胱結石の改善、筋肉痛、リウマチ、神経痛、荒れ肌やサメ肌、また吹き出物の出やすい体質、あかぎれなどの改善・治療、イボ取りに効果。抗腫瘍物質が発見され制ガン作用。いいことづくめのはとむぎですね。

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これがあの優しい甘さのヒミツ。ミネラル分が残った結晶の氷砂糖。自然な柔らかい優しい甘さが特徴で清熱、解毒作用があるといわれています。香港の糖水の多くはこの黄氷糖で甘みをつけます。

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材料(つくりやすい分量)
腐竹 1袋(約120g)
白果 20粒ほど
意米 40g
黄氷糖 好みの甘さで
水  1500-2000ml *好みの濃度で調整してください

作り方

1. 材料を洗う・準備する
はとむぎはお米を洗うように何度か水を換えて洗い、水につけておく 
はとむぎはお米を洗うように何度か水を換えて洗い、水につけておく 
はとむぎはお米を洗うように何度か水を換えて洗い、水につけておく

はとむぎはお米を洗うように何度か水を換えて洗い、水につけておく

ゆばは白くなるまでたっぷりの水につけて、表面の汚れや油分を取る
ぎんなんは包丁などで殻を叩き割り、中の実を取り出す
鍋に湯を沸騰させ、薄皮のついたぎんなんを入れ、スプーンの腹で転がし薄皮を取る 
鍋に湯を沸騰させ、薄皮のついたぎんなんを入れ、スプーンの腹で転がし薄皮を取る 
鍋に湯を沸騰させ、薄皮のついたぎんなんを入れ、スプーンの腹で転がし薄皮を取る

鍋に湯を沸騰させ、薄皮のついたぎんなんを入れ、スプーンの腹で転がし薄皮を取る


2. 深さのある鍋に水を入れ、白くなったゆばの水分を絞ってから入れ、火にかける

3. 火にかけゆばを溶かす
10分経過 強火にかけ常にゆばが湯の中で踊っている状態にする
20分経過 少しづつゆばが自然に溶けてゆくので、そのまま加熱をつづけて煮溶かす 
20分経過 少しづつゆばが自然に溶けてゆくので、そのまま加熱をつづけて煮溶かす

20分経過 少しづつゆばが自然に溶けてゆくので、そのまま加熱をつづけて煮溶かす


4. 30分経過 ほぼ形なく溶けてきたら、ぎんなんを加える

5. 40分経過 洗って水につけておいたはとむぎの水気を気って、加える

はとむぎを入れた後はこげやすく、鍋底につきやすいので、常に鍋底を混ぜながら火にかける
(注意) おしるこの濃度は水の量で調整してください

6. 好みの濃度に調整したら、黄氷糖を加えて、混ぜながら溶かし、好みの甘さに仕上げる

7. 出来上がり!

暖かいままがおすすめですが、冷たくして食べても美味しくいただけます。お好みでどうぞ。
ゆばの暖かくて優しい香りと甘さ、はとむぎのプチプチもちもちした舌触りがとーっても美味しいですよ!
※食べきれない時は冷蔵庫で保存し、食べる前に暖めて食べてください。
※豆製品なので日持ちしませんので、出来るだけ早めに食べ切ってください。

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住所: 九龍尖沙咀廣東道100號G-F
電話番号 : 2199-7799
住所: 香港銅鑼湾白沙道4號地下
電話番号 : 2891-9477
住所: 香港銅鑼灣波斯富街83號地下
電話番号 : 2881-0520
住所: 九龍紅磡黄埔新村民泰街14号
電話番号 : 2330-7978
住所: 九龍油麻地呉松街21号地舗
電話番号 : 27367895
住所: 九龍尖沙咀廣東道100號G-F
電話番号 : 2199-7799
住所: 上環西港城地下4−8号舗
電話番号 : 2851-2606
住所: 銅鑼湾加寧街5-7號加寧大厦地下B舗
電話番号 : 2882-3737
香港西灣河西灣河街114號
電話:2560-1150

上記以外にも、どこの糖水舗にも必ずあるメニューですので、是非試してみてください。

ひとくち口にすると心から“ほっと”してしまうゆばのおしるこ。甘さ控えめですから、食後に是非楽しんでくださいね!この暑い夏は腐竹白果意米糖水で乗り切ってください!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-07-11

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