2008年 アジアン・ファイブ・ネーションズ

日本人には馴染みの深い15人制ラグビー。今年から始まったアジアのラグビー対抗戦、香港での2試合をレポート。

こんにちは、香港ナビです。 香港ナビでは毎年、7人制ラグビーの香港セブンスのリポートをしています。今年、日本、香港、アラビアン・ガルフ、カザフスタン、韓国の5カ国・地域が集まって「アジアン・ファイブ・ネーションズ」という15人制ラグビーの大会が開かれることになりました。

大会概要を紹介します

今年から始まったこの大会は、2年に1回開かれていたアジアラグビーフットボール大会などを発展させたものです。ヨーロッパ、南半球勢と大きな実力差がある各国のアジア代表チームの底上げを期待されています。2010年大会の勝者は11年のラグビーワールドカップに参加できます。ヨーロッパにイングランド、フランスなどが総当りで戦う「シックス・ネーションズ」を参考にしていて、上記の5チームがトップ5と呼ばれるグループ。以下、中国、台湾、シンガポール、スリランカのディビジョン1、マレーシア、タイ、インド、パキスタンのディビジョン2があります。さらにはリージョナルスという地域ごとのリーグが4つあり、計12カ国・地域の代表がディビジョン入りを目指すという、完全にピラミッド化された大会です。

システムとしては、総当り戦で、勝利が5点、引き分け3点、負けは0点。また、ボーナスポイントとして、1試合で4トライ以上、7ポイント差以内での負けには1ポイントが与えられ、その総合ポイントで勝者を決めます。また、各グループの最下位は、各ディビジョンのトップと入れ替えられ、来年の大会に臨むことになります。 15人制ですから、スクラムでの押し合い、ラック、モールでポイントを作って、そこからオフェンスを始めるという日本人にはおなじみの試合光景が見られます。
どのチームもこの7キロもある純銀製の優勝カップを狙います
香港代表の強化が本格的に始まりました
香港代表は、近年、フルタイムのコーチ、ジョン・ウォルタースを招聘して代表チームの強化に力をいれています。香港では、香港対カザフスタン、香港対韓国の2試合が行われました。2月11日現在の世界ランク27位でアジアでは日本(18位)、韓国(23位)に次ぐ3番目に位置しています。

香港代表はホーム初戦で気合が入ります

まず、香港対カザフスタン戦です。初戦のアラビアン・ガルフ戦をアウェーで、20対12で勝利し、ホーム初戦となるカザフスタン戦を迎えました。両チームの最近の対戦は2004年でそのときは12対5で香港が勝っています。
前日の記者会見で香港代表のキャプテン、セミ・イアフェタは「ホーム初戦だからぜひ勝ちたい。香港では7人制が人気で15人制はあまり人気がないけど、これを1つの機会になればと思っています」と抱負を語ってくれました。日本代表の印象については「日本の選手は実質プロ選手ですけど、香港は仕事をしながらプレーをしている人がほとんど。やるだけやってベストを尽くすのみです」と話してくれました。

香港が僅差で勝つ

試合当日、香港代表は試合前は入念にタックルの練習をするなどフィジカルコンタクトに力をいれているようでした。試合は、前半30分までは6対3で香港がリード。互いの反則によるペナルティーゴールによる点で、相手を攻めきれません。しかし、香港は前半終了3分前にラインアウトからラックで起点を作ってゴール右についトライ。コンバージョンキックも成功して13対3とリードして前半を終えます。
しかし、後半8分にカザフスタンはトライを奪って13対10と追い上げます。ですが、気温30度を超える中での試合でカザフスタンは足が止まり始め、そこをついた香港は後半23分にトライを奪って突き放します。カザフスタンも反撃してトライを奪いますが、そこまで。23対17で香港が接戦をモノにしました。
試合前にはすでに30度というラグビーには最悪のコンディション

試合前にはすでに30度というラグビーには最悪のコンディション

暑いのでビールがよく売れていました

暑いのでビールがよく売れていました

国家斉唱でのカザフスタン(青)と香港 国家斉唱でのカザフスタン(青)と香港

国家斉唱でのカザフスタン(青)と香港

カザフスタンの
ペナルティーゴール

カザフスタンの ペナルティーゴール

ラインアウトでもボールを確保する香港

ラインアウトでもボールを確保する香港

タックルをする15番の
ロウワン・ヴァーティ

タックルをする15番の ロウワン・ヴァーティ

ピート・スピッツィリのトライ

ピート・スピッツィリのトライ

トライによろこぶ観衆

トライによろこぶ観衆

こちらは勝利が決まり、香港の旗を掲げるサポーター

こちらは勝利が決まり、香港の旗を掲げるサポーター

試合後の会見でカザフスタンのポポフ・ヴァレリー監督は「代表チームとしての練習時間があまり取れなかった割にはいい試合が出来たと思う」とコメント。一方、ウォルタース香港代表監督は「選手はうまくプレーしてくれたと思う。次の日本戦でもベストを尽くす」と、早くも翌週に新潟で行われる対日本戦を意識していました。
カザフスタンの記者会見

カザフスタンの記者会見

こちらは香港の記者会見

こちらは香港の記者会見

ちなみにグラウンドはハッピーバレー競馬場のコースの内側にあり、コースの内側はランニングコースにもなっています

韓国には敗れる

日本に敗れた香港(スコアは75対29)ですが、最終戦はホームで韓国戦です。ともに2勝1敗で勝者が2位となる一戦。ヨーロッパのスポーツチャンネル、ユーロスポーツでもこの試合は放送される試合です。試合前には四川大地震の被害者に対する黙とうも行われました。
子供たちによって両国の旗が掲げられました 子供たちによって両国の旗が掲げられました

子供たちによって両国の旗が掲げられました

韓国チーム(紺)と香港代表 韓国チーム(紺)と香港代表

韓国チーム(紺)と香港代表

今回の試合の審判は日本2人と中国1人の混成

今回の試合の審判は日本2人と中国1人の混成

会場全体で黙とうをささげる

会場全体で黙とうをささげる

前半から韓国が試合を支配します。前半14分までに3トライ1ゴールを奪って24対0。早くも試合の行方が見えてしまったような感じです。観客からも「どうした香港、がんばれ香港」と選手を鼓舞する声が上がります。一方、わずかな人数ながらも応援に来ていた韓国サポーターの「テエー・ハン・ミン・グック」(大韓民国の意味)の声のボルテージがさらに上がっています。
前半を35対7と大きなリードを奪われた香港。後半に入っても次々とトライを奪われて50対7と大量リードを許してしまいます。このままでは終われない香港は後半25分にトライを奪うと、蒸し暑さにスタミナを奪われて集中力を失い次々と犯した韓国の反則から好機を生かして計3連続トライで50対24まで追い上げて試合を終えました。
ディフェンスをかわしてゴールに向かう韓国

ディフェンスをかわしてゴールに向かう韓国

香港の司令塔、
ジャスティン・テマラ

香港の司令塔、 ジャスティン・テマラ

試合終了直前、香港は韓国の守備陣を力で破ってトライ

試合終了直前、香港は韓国の守備陣を力で破ってトライ

通算成績2勝2敗の3位となった香港ですが結果についてセミ・イアフェタキャプテンは「全体としては非常に競争が激しい対抗戦だったと思う。この試合は、スタートに躓いて相手に点を取られてしまったのが痛かった。来年に向けてこの辺を修正していきたいと思う」と来期の課題を挙げました。
敗れたものの、応援してくれた観客に挨拶する香港代表

敗れたものの、応援してくれた観客に挨拶する香港代表

一方勝利した韓国の主将、キム・グァンモは「昨年、香港に負けているのを覚えている。後半は蒸し暑さでスタミナを失ったが、香港ディフェンスをかわして攻撃することが出来たと思う」と冷静な試合分析をしていました。
ユニホームの交換もしていました

ユニホームの交換もしていました

蒸し暑さで汗だくの
キム・キャプテン

蒸し暑さで汗だくの キム・キャプテン

サインをしていたイアフェタ

サインをしていたイアフェタ

いかがでしたか? 韓国戦の終了後はオーストラリアのラグビーリーグの試合が会場に設置された大きなスクリーンで流されるなど、まだまだラグビーファンを楽しませる演出もされていました。今年、香港対日本の試合は新潟でしたので来年は日本が香港で試合する可能性が低くありません。今年から創設されたアジア5カ国対抗ですが、来年の大会も期待しましょう。以上、炎天下で日焼けした香港ナビがお伝えしました。
グラウンドは天然芝ではなく人工芝

グラウンドは天然芝ではなく人工芝

ハーフタイムにはラガーの卵たちによるアトラクションもありました

ハーフタイムにはラガーの卵たちによるアトラクションもありました

この日のビールが飛ぶように売れていました

この日のビールが飛ぶように売れていました

試合後、オーストラリアのラグビーのパブリックビューイング

試合後、オーストラリアのラグビーのパブリックビューイング

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-05-29

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