旧正月だけではなく、香港のお祝い事には欠かせない利是。日本のお年玉のようであり、お年玉とはちょっと異なるユニークな習慣です。知らないと恥をかく?!香港の利是事情をご紹介!
こんにちは、香港ナビです。旧正月まであとわずか、年の瀬の慌しさと、お正月を迎える喜びで、ただいま香港はいつにも増して活気にあふれています。さて、お正月の風物詩といえばお年玉ですが、実は、ここ香港にもお年玉を配る習慣があるんですよ。しかも、香港では日本のように自分や親戚の子どもにだけ配ればいいというものではなく、ポケットティッシュのごとく、いろいろな人に配らなければいけないという、変わった慣わしなのです。今回は旧正月に先駆けて、香港の「利是」事情をお伝えします!
利是とは
結婚式でも利是をもらいます
「利是(ライシー)」とは、旧正月などに配るお金のこと。赤い袋や紙に包んで渡されるため、中国本土では「紅包(ホンバオ)」と呼ばれます。地域により少しずつ渡し方が異なりますが、中華圏で同じような習慣があります。旧正月のほかにも結婚式、誕生日、出産などのお祝い金として利是を渡すこともあります。
※日本だとお年玉袋(ぽち袋)といったところでしょうか。
旧正月の利是は親戚や知り合いの子どもはもちろん、日ごろからお世話になっている人たち、たとえば常連のレストランの店員、マンションの管理人、会社の部下、お得意先などに幅広く配ります。さらに香港では、既婚者は年齢に関わらず、独身の同僚や親戚、友人に利是を配る習慣があります。もらう側としては、若いうちはいいのですが、適齢期を過ぎてしまうと、みんなの前で利是をもらうのが恥ずかしいという声もちらほら。ちなみに、利是の中にも下のように、特別に名前がついたものもあります。
★開工利是(ホイゴンライシー)
利是でも特に、会社の社長や上司からすべての従業員、部下に配られる利是を「開工利是」と呼びます。大きな会社では20、50ドルの場合が多いのですが、小さな会社では100ドル以上もらえることもあり、従業員の楽しみの一つでもあります。
★圧歳銭(アッソイチン)日本のお年玉と同じように、旧正月に親から子どもに渡す利是を圧歳銭と呼びます。お金をあげることで子どもたちを祟りから守り、一年の幸せと健康を願う意味があるそうです。
利是を入れる袋は利是封(ライシーフォン)と呼ばれます。袋はおめでたい色の代表、赤色や金色がほとんど。オーソドックスな「福」や縁起のよい字をあしらったもののほかに、自分の姓が入ったものや、人気キャラクターものなどさまざまです。銀行や会社は年末になると自社名入りの袋を宣伝用に無料で配布したりします。
いろいろな利是封
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赤色だけではなく金色も
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名字が書かれたもの
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何(ホー)さん用の利是
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旧正月が近づいてくると、スーパーマーケット、文房具屋さん、雑貨屋さん、新聞スタンドなど、いろいろなお店で利是が販売されます。繁華街には臨時の利是専門店も登場します。この季節に香港に遊びに来るなら、デザインも美しく、色彩も豪華な利是封はお土産にぴったりですよ。
利是の金額
利是は渡す人がたくさんいるだけあって中身もさまざま。挨拶程度に渡すときは10ドルや20ドル、少しお世話になった人には50ドル、とてもお世話になった人には100ドル~といった具合に去年1年にどれくらいその人にお世話になったかを考えて渡します。ちなみに香港では利是封に入れるお金は紙幣を使うので、10ドルを入れるときには10ドル紙幣を用意しましょう。
おめでたいお金なので、多くの人が利是用に新札を用意します。新札は銀行の窓口で交換できるのですが、旧正月前になると、どの銀行でも長蛇の列ができます。準備が遅くなると、必要な額の新札がもらえないこともありますが、もし新札がなければ、比較的きれいな紙幣を使えば大丈夫です。
利是を渡そう
かわいい絵柄もたくさん
旧正月が始まったら、実際に利是を渡します。どのように利是を渡すのかシミュレーションをしてみましょう。
まず、外出の準備として、いざ利是を渡すときに金額を間違って渡さないように、異なる金額の利是には、異なる図柄の利是封を用意しましょう。また、いつでもどこでもスムーズに出せるように、小さなポーチに入れておくと便利です。
香港在住の人なら、まず最初の利是を渡すチャンスはマンションの管理人やお掃除のおばさんたち。利是をゲットするために、いつもは無表情の管理人も、笑顔でドアを開けてくれるはず。そこで元気よく「恭喜発財(ゴンヘイファッチョイ)」と挨拶をして、笑顔で利是封を渡しましょう。金額は20ドルでよいでしょう。渡すときの流儀はありません。右手でも左手でも、どんなスタイルでも無問題。
街に出ると独身の知り合いに出会いました。もし、あなたが既婚者なら利是を渡しましょう。挨拶程度の利是なので、これも20ドル程度で十分。もし知り合いが彼氏、彼女と一緒にいたら、彼らにも利是をあげると好感度アップ間違いなし。ちなみに、ナビの周囲を見ていると、利是はあくまで香港人の風習なので、日本人や外国人の友人には子供連れでない限り渡さないという人も多いようです(会社の部下には国籍に関係なく渡すこと)。また、相手が香港人であっても、自分は日本人なので利是は渡さないと割り切っている人も。
街には利是を飾った木も
さて、会社に到着。旧正月がお休みなら、最初の出勤日に利是を渡しましょう。あなたに直属の部下がいれば、既婚、未婚に関わらず全員に開工利是を渡します。金額は日ごろの貢献度を基準に決定する人もいるそうですが、部下が数人程度であれば100ドルほどが裏でケチ「孤寒(クーホン)」と呼ばれることもなく妥当なラインです。会社内であなたのポジションが高い場合には、同じフロアの顔見知り程度のスタッフにも利是を渡しておくと、後々スムーズに仕事が運ぶことも。香港人はお金にシビア、あの人はいくらくれた、あの人はくれなかったと裏で情報交換されますよ。このようなばらまき利是は20ドルでOK。
そのほか、あなたが既婚者なら、行きつけのレストランでウェイターに渡したり、いつも使っている洗濯屋さんなどで利是を渡すチャンスがあるはずです。きっと、最高の笑顔であなたの一年の幸福と開運、健康を願う縁起の良い四文字熟語を言ってくれます。独身の場合は、あとはもらうのみです。どんどん出かけて、どんどん利是をゲットしましょう!
利是をもらったら
利是をもらった人は、利是をくれた人が今年一年、幸せになれるように、縁起のよい四字熟語を言って返すのが礼儀です。たとえば、身體健康、工作順利、學業進步、年年有餘、心想事成などなど、その人に合わせた言葉を選びます。周りの香港人が言っているのを聞いてみると参考になりますよ。
左の男の子のようなポーズで
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縁起の良い四字熟語を書いた紙「揮春(ファイチョン)」
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いかがでしたか?既婚者にとっては頭が痛い香港の旧正月ですが、わずかの金額でみんなが笑顔になれる新年らしい習慣でもあります。渡すタイミング、もらうタイミングなど慣れないと面倒くさいのですが、深く考えずにどんどん配って、どんどんもらっちゃいましょう!以上、香港ナビがお伝えいたしました。
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記事登録日:2013-02-07