長い坂道にエスカレーターが設置され、MTRが通ったことでぐっと便利になった西營盤。年々増えている、おしゃれなカフェやレストランと昔からの商店が隣りあわせに並ぶ街。味わいのある街「西營盤」を旅の目的地のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
プラットホームにある、MTRおなじみの駅名カリグラフィー
MTR西營盤(Sai Ying Pun)駅は2014年12月末に上環から堅尼地城(Kennedy town)まで延長されたMTR港島線のひとつ。3駅の中で唯一、工事の遅れにより約3ヶ月後の2015年3月末に開業しました。青がイメージカラーの港島線の中で、実は一番若い駅なのです。
西營盤駅は若くてもの街の歴史は古く、イギリス統治下時代の歴史的建造物も多く見られるエリアです。そんな、新旧が隣りあわせに共存している西營盤を歩いてみましょう。
おおよその西營盤(サイインプン)エリア
西營盤の位置は古くから乾物問屋さん通りとして有名な別名「海味街」の徳輔道西(Des Voeux Road West)より西側にあたり、道でいうと東邊街(East Street)から西邊街(West Street)。
北は海側の徳輔道西(Des Voeux Road West)から山側の般咸道(Bonham Road)までで、MTRの出口高低差が最もある駅でもあります。
下町の地底を通る道筋が凄い!
皇后大道西にあるA1出口
この周辺は「坂道の街」と言われるように、山側へ向かうとすぐに急な坂道が目の前に立ちはだかります。
夏が長い香港、炎天下の中で急勾配の坂道を上がるとかなりのパワーを消耗します。ナビは以前、夏の日中にこのエリアへ出かけることを避けていました...。
しかし、なんということでしょう!
2012年〜2013年に完成した正街エスカレーター(Centre Street Escalator )や西營盤駅ができてから、このあたりのお散歩もとても楽になりました!
いつものように改札を出たら地図で場所を確認
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正街エスカレーター(Centre Street Escalator )が完成し坂上にも楽に行けるようになった
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プラットホームから地上出口まで、かなりの距離があることが見れる
構内図を見るとわかるようにプラットホームがある中心部は坂の中腹にある高街(High Street)と第三街(Third Street)にまたがっています。しかし出口は皇后大道西(Queens Road West)、般咸道(Bonham Road)という、坂道の下から上までをカバー。このおかげで、暑い中、急な坂道を般咸道(Bonham Road)まで上がらなくても大丈夫なのです!
気をつける点は、MTRの各出入口からプラットホームまでの距離がかなりあるということ。坂道でないだけラクとは言え、時間マネージメントには注意が必要です。
今回は、坂の上の般咸道(Bonham Road)C出口からスタート!坂を下って西營盤を歩く「らくちん」お散歩コースです。
改札を出たらC出口へ
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長い地下通路の先にはエレベーターのみ!
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般咸道(ボンハムストリート)
般咸道(Bonham Road)C出口地上。4機のエレベーターがMTR入口
3ヶ月も工事が遅れたということがわかる気がする長い地下道を歩き終わると、そこには驚きの「エレベーター出口」だけ。エスカレーターが見当たらない!階段もない!
何かあったときの非常口はどこなんだろう…と、少し不安が...。
C出口周辺は閑静な住宅街、また学校が多いアカデミックなエリアでもあります。
香港下町のイメージのままMTRから屋外に出てしまうと、一瞬どこにいるのかわからなくなるかもしれません。
出口前にあるのが般咸道(Bonham Road)、右手に進むと西邊街、左手に進むと東邊街になります。
「禮賢會香港堂」(Chinese Rhenish Church Hong Kong)早くからキリスト教の布教が盛んだった香港には、たくさんの古い教会が残っています。禮賢會香港堂もそのひとつで、1914年、ゴシック様式とロマネスク様式を組み合わせた建築スタイルで建てられました。
住所:般咸道86號
「英皇書院」(Kings College)現在の香港で2番目に歴史が長い公立有名男子校。香港の各界著名人を送り出している。
1926年に建てられた校舎は赤レンガ作りが歴史と重厚さを感じさせる。
住所:般咸道63A號
東邊街 East Street
上から見ると、かなり急な坂な階段に見えます
まず東邊街を降りていきましょう!
勾配が急な東邊街は階段からスタートです。
中環からこのあたりにかけては孫文ゆかりの史跡が点在し、全部で15ヶ所に当時の写真と説明文が書かれたサインが立っています。
<右写真>
抜萃男書室(Diocesan Home and Orphanage)ー東邊街孫文が1883年に故郷・広東省翠亨村を出て来港した時に入学した最初の男子校。現在は般咸道官立学校。
西營盤社區綜合大樓(Sai Ying Pun Community Complex)
現在では結婚式写真をとるスポットとして人気とか...
坂を降りると、高街との交差点角には立派な石垣の一級歴史建築物の西營盤社區綜合大樓(Sai Ying Pun Community Complex)が堂々とした姿で現れます。
その大きさだけではなく、その雰囲気にただならぬ迫力を感じる人も少なくないかもしれません。1892年に建築され、外国籍の看護師宿舎として利用されたのち、1941年〜1971年に精神病院として使用されていました。しかしその後、2001年に西營盤エリアのコミュニティセンターとして使用されるまで30年以上も廃屋だったため「高街のお化け屋敷」と噂されるようになった建築物なのです!
西環エリアは古い街なだけに、心霊スポットも多いですよね。
西營盤社區綜合大樓の前には緑豊かな佐治五世紀念公園 (King George V Memorial Park) があります。
1936年にできたこの公園には、樹齢を重ねたたくさんのガジュマルの木があることで有名です。
立派なガジュマルの木
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公園は広く、大きな運動施設も揃っている
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高街 High Street
東邊街から高街へ左折すると、車廠と呼ばれる車の修理店が並びますが、
ほんの少し進むと世界各国の料理が楽しめる飲食店街に変わってきます。唐樓1階の店舗をおしゃれに改装してオリジナリティあふれるレストランやバー、カフェなどが増えてきています。
唐樓をリノベーションしておしゃれなアパートへ変身!
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主に欧米のオーガニック・ベジタリアン系食材などを扱うJust Green
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高街の日中の雰囲気
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日が暮れるほど、アフター5を楽しむ人達で賑わうエリアだ
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ナビのブランチ
高街をすすみ、正街を越え西邊街との真ん中ぐらいにある
十字冰室(Cross Cafe)で朝ごはんセット(11:30まで)の「三文治餐」をいただきまーす!
牛奶炒滑蛋三文治(牛乳つるるん玉子焼きサンド)セットHK$29にアイスレモンティー(+HK$3)、トーストリクエスト(+HK$2)で合計HK$34
このお値段でこのみっちり入った玉子に驚きました!
この周辺は学校がとても多いのでランチタイムや下校時間になるとたくさんの学生たちで賑わいます。
学割価格でランチセットを提供しているお店も少なくありません。
十字冰室(Cross Cafe)住所:西營盤高街48-78號恆陞大樓地下12號舖
Shop 12, G/F, Hang Sing Mansion, 48-78 High Street, Sai Ying Pun, Western District
営業時間:7:15〜18:15
西邊街 West Street
高街を抜けると西邊街(West Street)にあたります。ここからはほんの少しですがビクトリアハーバーが見えるので、天気にもよりますが「なんちゃってサンフランシスコ」な気分を味わえます。<ナビだけ?
隣接する赤レンガの建築物もそんな気分にさせるのかもしれません。
赤レンガの建築物が多く、勝手に西洋を感じてしまいます
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ここからのハーバーへ抜ける景色がお気に入り
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西邊街と高街の角に立つキリスト教教会、救恩堂(Kau Yan Church)も1932年に再建された香港一級歷史建築です。
救恩堂(Kau Yan Church)住所:高街97A
97A High St, Sai Ying Pun
西區社區中心(Western District Community)1922年に産婦人科医院として建てられ、戦後は贊育社會服務中心、現在は西區社區中心として、ボーイスカウトやNPO団体など様々な活動の拠点となっています。香港一級歷史建築。
第三街側から西區社區中心の後ろに入れます。現在は香港の歴史や文化遺産を守るNPO団体長春社文化古蹟資源中心があります
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イギリス統治時代のポスト。王冠マークが懐かしい!
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ピンクの公共浴場
西邊街と第二街の角にはピンク色が美しい、今でも使用されている無料公衆浴場があります。
公共浴室と言ってもシャワーだけですが、その昔、このあたりの中国人住居エリアの衛生環境が悪く、疫病が大流行しました。政府が1904年から衛生環境を改善するため、中環やこのエリアに公共浴場を建設していったそうです。
この第二街公共浴場は1922年に建てられたものですが、ピンクに塗られた姿はその年数を感じさせませんね。
第三街 Third Street
高街にくらべて、まだまだ昔ながらの商店が残る第三街。
第三街にある1922年創業の老舗調味料店「余均益」に寄りました。有名店のシェフも使っているというチリソース(辣椒醤)とブラックビーンチリソース(鼓椒醬)を購入。おみやげにもちょうどいいサイズですね。
スーパーマーケットやセブンイレブンで売っているチルド点心に、このソースをつけるだけで味がぐーんとUPします。ぜひお試しを!
余均益住所:香港西營盤第三街66a
TEL: 25680007
営業時間:月〜金8:00-17:00、土:9:00-13:00
定休日:日・祝
カード:不可
第二街・第一街 Second Street・First Street
新しいマンションの下にはパンダがニッコリ
第一街と第二街はMTR西營盤駅B1、B2出口があり、西營盤で庶民が一番集う街市を挟んだ2本の並行した通りです。
正街を挟んだ界隈はぐっと人でが増え、活気で溢れています。
正街 Centre Street
正街の新しいシンボルとなったエスカレーター
正街は昔からこのエリアのメインストリートとして賑やかでした。今でも2つの大きな街市の他に八百屋さん、お肉屋さんに雑貨屋さんなどの昔ながらの商店と、大手スーパーや銀行、茶餐廳などすべてが勢揃い。まさに生活の中心がここにあります。
2012年〜2013年に正街エスカレーター(Centre Street Escalator )が完成したことにより、より便利になりました。
昔は一度あがって降りてきてしまったら、もう2度と上り直したくなかった正街の坂。現在は買い忘れを思い出しても、高街にご飯を食べに戻るのもまったく気になりません!
<西營盤街市と正街街市>
西營盤街市
西營盤の台所とも言える2つの街市は2階部分でつながっていて、とても便利!
大きくて活気のある街市がそばにあるスーパーマーケットの品揃えはイマイチ…というのはナビの中での香港あるあるです。
正街からちょっと入った小径「爹核里 Devid Lane」でお茶タイム
これこそ隠れ家的カフェ
モダンなデザインに見えなくもない臨時の公共トイレの脇を入っていくと、道の奥にカフェを発見!
緑もあって、和みます。いただいた「芝麻湯圓 配 金萱高山烏龍」はゴマあんが入った白玉団子に高級烏龍茶をかけていただくもの。烏龍茶はしっかりとした茶葉を使用しているので、お茶の味と香りがとても良く、甘いゴマ団子との相性も抜群で、歩き疲れた体をぐっとリフレッシュさせてくれました。ぜひもう一度訪れたいカフェです。
Mr. S. Y. Punti住所:西環西營盤爹核里4號地舖
G/F, 4 David Lane, Sai Ying Pun, Western District
平日:12:00〜20:00
土日:9:00〜20:00
定休日:月
香港テイストと喫茶店が融和したような店内
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芝麻湯圓 配 金萱高山烏龍 HK$42
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ついさっき購入した「余均益」のチリソースを発見
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入口がわかりにくく、この臨時公衆トイレの脇に道があります
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正街の街並み
まだまだ香港ローカルグルメががんばっている西營盤
老舗を感じる渋い店構え
新しいおしゃれな洋風カフェやレストランが増える中、皇后大道西(Queens Road West)やトラムが走る德輔道西(Des Voeux Road West)も含めて、香港ローカルのお店がまだまだがんばっている西營盤。B級グルメを楽しむだけでも何日かかるかわかりません。
ナビのおすすめ、
香港の伝統的な糖水(スイーツ)だったらここ!
お店おすすめスイーツは桑寄生茶と蓮の実に鶏の玉子が入った「桑寄生蓮子雞蛋茶 HK$36」です。今回は個人的に大好きな杏仁露をいただきました。
源記住所:西環西營盤正街32號地下
G/F, 32 Centre Street, Sai Ying Pun, Western District
お散歩の最後に「純正杏仁露(アーモンドしるこ)」HK$34
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こちらも有名な「全蛋雞蛋糕(たまご蒸ケーキ)」HK$8
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揚ワンタンとイカ団子(2種入)麺 HK$44はかなりのボリュームでした
高街にある「揚げワンタン麺」が人気の麺屋さん。チャーシュー麺が一押しみたいです。
英記麵家住所:西環西營盤高街32號地下
G/F, 32 High Street, Sai Ying Pun, Western District
入口にはチャーシュー麺の記事が貼ってありました
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細長い店内
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お土産には可愛い蒸籠も
西邊街の坂道を降りきって德輔道西(Des Voeux Road West)手前くらいにある竹製品専門店の徳昌森記蒸籠は日本人にも人気のお店。飲茶サイズの蒸籠を買って帰れば、日本でも香港飲茶気分を楽しめるかもしれませんね!
今回はプレゼントのケースや小物入れに良さそうなミニ蒸籠を購入しました。次回は中華鍋の大きさに合う蒸籠に挑戦したいです。
徳昌森記蒸籠住所:香港西営盤西邊街12
営業時間:9:00-17:00
定休日:土日
新しいカフェと昔ながらの雑貨店。これこそ西營盤!
いかがでしたか?
坂道に長いエスカレーターができ、MTRが通ったことでグッと便利になった西營盤。
地価の高騰も影響し、次々と古いビルが高層マンションに建て替えられています。
日々増え続ける、おしゃれスポットにワクワクしつつも、早すぎる町並みの変化にはどこかさみしさも感じてしまうのはナビだけじゃないかもしれません。
今ならまだまだ昔ながらの香港を感じられる、味わいのある街「西營盤」を是非、旅の目的地のひとつに加えてみてください。