棚屋の景観やピンクドルフィンだけじゃない!
実は食べ歩きだけでも十分楽しめる大澳をゆっくり散策してみましょう。
こんにちは、香港ナビです。香港でも珍しくなった水上家屋(棚屋)の風景で有名な大澳(Tai-O)は、かつて漁業と製塩が盛んな有数の港でした。数百年の時間がすぎた今日は海産物や蝦醤が有名な漁村として昔の面影を残しつつも、観光が主な産業となっているようです。今回はそんな大澳が「実はB級グルメの天国!?」という噂を聞きつけ、大澳の食べ歩きに挑戦してきました。
交通機関が限られている場所に位置するため、香港の中心地からは1時間半から2時間ほどかかりますが、香港の中でも独特の景観を守り続けている大澳は「遠いけど、来て良かったね。」と思える場所ではないでしょうか。
大澳への行き方
香港国際空港があるランタオ島(大嶼山)の西に位置する大澳への市街地からの交通はバスとフェリー、またはランタオ島専門タクシーのみ。香港島からの場合、中環フェリー埠頭6番より梅窩へ行き、出口前にあるバスターミナルにて1番のバスに乗り換えて終点大澳まで。九龍側からはMTRで東涌駅へ行き、そこからランタオバス11番に乗り換えて終点大澳で下車します。
梅窩へのフェリーやランタオ島バスは平日と週末で便数や運賃が変わります。時間帯によっては本数が少ない場合もありますので事前に時刻表をチェックしておくと時間の節約になります。
そのほか、屯門から東涌経由での大澳行きフェリーがありますが本数が少なく、またランタオ島内の東涌や梅窩まで来れば水色のランタオ島タクシーにて直接大澳まで行くことも可能です。しかし約45分の長距離のため利用する人はあまりいません。
【各交通機関の時刻表】
■梅窩-大澳/東涌-大澳
■中環-梅窩
■屯門-東涌-沙螺湾-大澳
今回ナビは東涌から11番のバスで大澳を目指しました。
以前あったバスターミナルは封鎖され昂坪360乗り場横の新しいバスターミナルに移動しました。少しわかりにくいですが「大嶼山巴士」と書かれた目印に従って進めば大丈夫です。
大自然の中をスリリングに走るバス
平日にもかかわらず想像以上に人が乗車しています。土日祝日はもちろん、平日でも時間帯によってはバスに乗るために1〜2本待つこともあるようです。悪天候や事故などがなければ片道約45の道のりです。東涌の街を抜けるとあっという間に狭い山道に入っていきます。香港の街中では見られない山々の緑を楽しんでいると、くだりに入った途端にかなりのスピードでバスが山道を降りていきますので、車酔いをしやすい方は酔い止め対策をして行くことをお勧めします。
市街地では見られない緑の山々。
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山を抜けると美しい海岸線の砂浜や湾の景色が広がります。
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平坦な道が続き、右に団地のような建物が出てきたらもうすぐ終点です。
バスを降りたら進行方向へ進んでいくと大澳の入口が見えます。
入口を確認したら、ナビは毎回ここでトイレへ行きます。大澳にはいくつかの公衆トイレがありますが、町歩き途中で焦らないためにもバス停で最初のトイレに行っておくと安心です。
食べ歩きが止まらない。実はB級グルメ天国の大澳
大澳の入口を入り、突き当たりの永安街を右折。角にある「復興行」で大魚蛋と墨魚丸をパクリ。香港人のソウルフード「魚蛋(つみれ団子)」の大きいサイズはあまり見たことがありません。味付けは辛口とノーマルの2種類があります。
復興行
住所:大澳永安街4D舖
電話:2874 1010
営業時間:10:00〜19:00
乾物屋さんを両脇に歩き進むと右手に「隱姑茶果」。ここでは客家の伝統スイーツ「雞屎籐茶果」を購入。薬草のヘクソカズラの葉汁を練り込んだ日本の「ういろう」に近いお餅。餡はなく甘すぎず、一口サイズなので少し疲れた時にちょうどいいスイーツです。
乾物屋さんの一角にある店舗。
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手のひらサイズの雞屎籐茶果($8)。
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隱姑茶果
住所:大澳永安街11號A
電話:2985 5708
永安街を先に進んでいくと香港の名物スイーツ「豆腐花($12)」の専門店「車站豆腐花」があります。プレーンの場合、お好みで黄糖かシロップを加えるのが香港流。日本のお豆腐よりも軽く、スルッと滑る喉ごしであっという間に食べ終わります。これからの季節はほんのり体が温まる「熱(ホット)」がオススメです。
他にも「胡麻糊(黒ごましるこ)$15」「合桃糊(くるみしるこ)$18」「杏仁糊(アーモンドしるこ)$15」(日によって無いときもある)があり、豆腐花とのミックスも可能です。
車站豆腐花
住所:大澳永安街57號
電話:2985 5318
営業時間:12:00〜18:00
吉慶街と新基橋
大澳涌行人橋。
さすがに3品も食べてしまったので少し歩きましょう。いま来た道を左手に市場があるところまで戻り、右手にある「大澳涌行人橋」を渡ります。「ピンクドルフィン&棚屋ウオッチ」の観光船を横目に道なりに進むとそこは大澳のメインストリート「大澳街市街」です。両サイドに並ぶ海産物、乾物屋さんを眺めつつ、ひとつ目の細い道を右に入ります。
新基橋へ
関帝古廟でお参りしてから、広場向かって右側の道「吉慶街」に入り、道なりに奥まで進むと、その先には「棚屋」の風景がとても近くに感じられる「新基橋」があります。
実は「吉慶街」は食べ歩きストリート。来た道を引き返す途中には魅力的なB級グルメの誘惑が待っています。
まずは棚屋のテラス席がある甘味屋さん「正記」で薑汁撞奶(ジンジャーミルクプリン $20)をいただきながらひと休み。
正記
住所:大澳大澳吉慶街82號
電話:2985 7301
しょっぱい系も食べたくなったので「大澳小食」の「香妃卷($28)」に挑戦。薄いクレープのような皮にネギ、ゴマ、卵、コリアンダー、大根の漬物など盛りだくさんの具を置いて巻いたものです。結構な大きさなので2〜3人でシェアした方がいいかもしれません。焼きあがると「何等分にする?」と聞かれるので「半分に」「3つに」など伝えれば分けてくれます。
大澳小食
住所:大澳吉慶街70號
大澳小食の一軒はさんで隣に位置する「大澳餅店」ではふわふわの「沙翁($9)」がお勧め。生地が軽めの揚げドーナツにグラニュー糖がまぶしてあるのですが、甘すぎず卵の香りをほのかに感じる、ナビに「また食べたい!」と思わせる味でした。
大澳餅店
住所:大澳吉慶街66號
電話:2985 8621
営業時間:10:00〜18:00
炭火だからか、香ばしい雞蛋仔。
今、大澳で一番人気?ではないかと思われるのが「大澳炭燒雞蛋仔叔叔」の「雞蛋仔($15)」です。ナビが行った平日の午前中は2組だけしか待っていませんでしたが、休日ともなればかなりの人が並ぶようです。炭焼独自の香ばしい香りが独特で、今まで食べた雞蛋仔にはない美味しさがありました。
叔父さんが一人で切り盛りしています。
大澳炭燒雞蛋仔叔叔住所:大澳吉慶街59號地下
大街市街
すでに満腹になったナビは、大澳のメインストリート「大澳街市街」へ戻ります。「大澳街市街」は海産物や干物をメインにしたお店が多いです。
石仔埗街とタイオー・ヘリテージホテル(大澳文物酒店)
大澳街市を超え「石仔埗街」へ。賑やかな「大澳街市街」とは違って海岸沿いの「石仔埗街」に入ると大澳らしい、ゆったりとした時間と空気が流れ始めます。
「石仔埗街」で一番のお勧めが「茶果財」の茶果と糯米糍です。ここがお店なの?という感じの場所ですので見逃さないように注意しましょう。平日でも夕方前に売り切れが出てくる人気店で、店構えからは想像もつかない美味しい茶果と糯米糍が食べられます。ナビが必ず購入するのが砕いたピーナッツにココナッツがブレンドしてある餡が入った「花生甜茶果($6)」と、ほんのり甘いあずき餡が入った「豆沙糯米糍($6)」。お腹いっぱいでも買ってお持ち帰りします。
茶果財
住所:大澳石仔埗街106號地下
この先は道に沿って1本道を進んでいきます。
大澳の特産品として有名な蝦醤はアミや小えびを塩漬けにして毎日攪拌しながら発酵・熟成させペースト状にしたもので、青菜炒めや炒飯などいろいろな料理の味付けとして人気があります。特に大澳の蝦醤は香りがよく、味に深みがあるためお土産として大人気です。ナビは必ず、大澳の質の良い干しエビ(蝦干)と蝦醤を購入して帰ります。
綺麗な遊歩道に変わると、ゴールはすぐそこ。
左手に海を眺めながら蝦醤工場の前を通り終わる頃、「石仔埗街」道の終わり、本日のゴールが見えてきます。右手の丘の上に見えるのは2012年にコロニアル様式の旧警察署の建物を改装してオープンした「タイオー・ヘリテージホテル(大澳文物酒店)」です。
道の終わりにあるホテルのサイン。
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丘の上に位置するタイオー・ヘルテージホテル。
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「タイオー・ヘリテージホテル(大澳文物酒店)」は香港の歴史的建造物のひとつで、見学は一般にも開放されています。
開放時間:11:00〜18:00
ホテル併設のレストラン「Tai O Lookout」では、大澳の特産品を取り入れたメニューがお勧め。建物は天井と壁全面にガラスを使った設計で、美味しい食事を楽しみながら大澳の海と緑の木々の美景を鑑賞できます。
ホテルからバスターミナルまでは徒歩で約20分かかるため、帰り時間に注意しつながらゆったりと流れる大澳時間を楽しんでください。
いかがでしたか?家賃の高騰や政府の規制などにより市街地では少なくなってきた出店形式のB級グルメですが、ここ大澳ではまだまだ十分楽しめそうです。小さな漁村ではありますがカメラを片手にあちこち散策していると、いつの間にか3〜4時間過ぎていました。以上香港ナビがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2015-12-10