『広東オペラ鑑賞クラス』に参加しました

おすすめ!香港政府観光局が主催する広東オペラ(粤劇)ビギナーのための無料講座。奥深い広東オペラの世界に触れてみよう!

こんにちは、香港ナビレポーターのアキコです。今日はいろんなところで目にすることはあるけれど、それが何なのか?って聞かれたら実はよくわからない、『粤劇(広東オペラ)』のお勉強に行ってきました。

香港人でも何を言っているのかわからないという広東オペラ。私が観に行って楽しめるのかな??もしかしたら、1分で飽きて、2分で睡魔に襲われ、3分で爆睡してしまうかも知れない。そしたらチケット代がもったいない…(ひとり100ドルはするし)。広東オペラをちょこっと観て、『私も広東オペラ観たんだけどさ~、なかなかいいよね~』なんて人様に自慢できる程度のイベントはないかな~、と思っていたら、香港政府観光局のウェブサイトの中に、『The Cantonese Opera Appreciation Class』という文字を発見。早速申し込み、嫌だ嫌だ~!と駄々をこねるダンナ(香港人)を強引に連れ出し、沙田に行ってまいりました!

広東オペラとは…

広東オペラとは、京劇に代表される中国の伝統劇のひとつで、広東語では「粤劇(ユッヘイ)」「大戲(ダイヘイ)」と呼ばれています。京劇が普通語(北京語)で行われるのに対し、粤劇は香港の公用語である広東語で行われます。真っ白な顔にピンクの頬紅、煌びやかな衣装、カンカンと賑やかな音楽、甲高い歌声…。香港では、お祭りの際に各地で特設ステージが作られ、広東オペラが上演されることがあるため、旅行中に街角で目にしたことがある、という方もいるのでは?声色、繊細な表情、指の先まで神経を集中させて行うパフォーマンスは、伝統芸能に興味のある方なら言葉はわからずとも十分に楽しむことができるはずです。

クラスが開催される香港文化博物館へ

香港政府観光局のウェブサイトによると、MTR車公廟駅から徒歩5分で行くことができるとのこと。だけど久々に沙田に来たし、沙田駅に新しくオープンしたデパート『一田』に行ったりしているうちに時間も迫ってきたので、結局沙田駅からタクシーで行くことに。

■沙田駅のタクシー乗り場への行き方■
1 MTR沙田駅A2出口を出ます。目の前にはバスターミナルが見えます。

1 MTR沙田駅A2出口を出ます。目の前にはバスターミナルが見えます。

2 A2出口を背にして左手にタクシー乗り場のサインがでています。ゆるやかな坂を下りると、目の前にタクシー乗り場が見えます。ちなみにこのまままっすぐ歩道に沿って歩くと、IKEA沙田がありますよ。

2 A2出口を背にして左手にタクシー乗り場のサインがでています。ゆるやかな坂を下りると、目の前にタクシー乗り場が見えます。ちなみにこのまままっすぐ歩道に沿って歩くと、IKEA沙田がありますよ。

タクシーに乗って、たったの5分ほどで目的地の香港文化博物館に到着しました。おー、意外と立派だ(失礼)。沙田という観光客には縁遠い場所でありながら、博物館の規模の大きさに驚きです。建物の周りはサイクリングコースになっているようで、貸自転車に乗って楽しそうにはしゃぐ若者のグループがいたるところで見られました。ただし、自転車に乗り慣れていない人が多いようで、急にこっちに突っ込んでくることがあるので、注意が必要です。

充実の博物館

ロビーに入るとスタッフが声を掛けてくれました。『広東オペラ鑑賞クラスに参加するのですが』と言うとチケットブースに案内されました。まずは博物館の入館券(大人HK$10)を買ってください、とのこと。オペラ鑑賞クラスは無料ですが、入館券を買わなければいけないので、実質はHK$10ということですね。それにしてもこんなに立派な博物館なのに、入館料がたったのHK$10って…。
集合場所は入ってすぐのロビー、集合時間は14:30です。集合時間まで博物館の中に入って見学をすることも可能ですが、必ず時間までにロビーに戻ってきてください、とのこと。博物館の詳細は、香港ナビの記事でも既に詳しくご紹介しているので、そちらも見てくださいね。
個人的に尖沙咀東の香港歴史博物館が大好きなのですが、この香港文化博物館もかなり見ごたえがあります。見どころは、『粤劇文物館』、『新界文物館』。集合時間までの短い時間内では、とてもすべてを見ることができませんでした。

現役広東オペラ役者がガイドさん

外国人観光客が沙田まで広東オペラを見に来るのかな?もし参加者が私とダンナの2人だけで、マンツーマン状態でレクチャーされたらどうしようぅぅ。なんて不安に思っていましたが、なんのなんの。ひと通り館内を見学し終え、ロビーに戻ると観光客がすでに10人くらい集まっていました。ヨーロッパ、アメリカ、韓国など老若男女、参加者の顔ぶれはさまざま。

すると、ここでちょっと女っぽい香港人ガイドさん登場。参加者が全員揃ったところで、彼と一緒に再度博物館の中に入ります。クラスの内容は、最初の30分が広東オペラの歴史や、主な登場人物の紹介そして発声や基本動作などのレクチャー。その後20分間広東オペラを鑑賞します。鑑賞が終わると、シアターを出てガイドさんの説明と共に粤劇文物館の見学です。

ガイドさんの強烈なキャラが炸裂!

ガイドさんと一緒にエスカレーターを上がり、私たちは非常口のような、広い踊り場(といっても窓もあるし、ベンチもある)に通されました。ガイドさんの自己紹介から始まり、広東オペラについての基礎知識をおもしろおかしくレクチャーしてくれます。(私とダンナ的には、ガイドさん(男)のイングリッシュネームが『パリス』だったのが一番のツボでしたが。)パリスさんが参加者に、今まで広東オペラに限らずチャイニーズオペラを観た事がある方いますか?と聞くと、私たち以外のほとんどの参加者が挙手。外国人のほうがその土地の伝統芸能の関心は高いんですね。(あ、私も外国人だった。)

広東オペラの役柄
広東オペラに登場するキャラクターは、主に次の5種類だそうです。パリスさんが、一人一人の性格について細かく説明してくれます。レクチャーはすべて英語ですが香港人独特の訛りも少なく、聞きやすい英語を話してくれるので、多少英語が理解できる人であれば、十分参加できるはずです。
■生
髭のない若い男性で「小生」と呼ばれることもある。「生」の主なサブカテゴリーとして、「官生」「巾生」「窮生」「雉尾生」などがある。「官生」は若い官吏や貴族、「巾生」は情熱的な若い学者でいつも扇を手にしている。「窮生」は身分が低く貧しい学者で、「雉尾生」は雉の尻尾の羽がついたヘルメットをかぶっている若い兵士。
■旦
劇中に出てくる女性にはすべて「旦」がつく。旦は「老旦」「正旦」「作旦」「四旦」「五旦」「六旦」の6つのサブカテゴリーに分けられるが、よく登場するのは「正旦」「五旦」「六旦」。「正旦」は中年の既婚女性。「五旦」は家柄のよい若い美女で「門旦」と呼ばれることもある。「六旦」は陽気な若い女性で使用人の役が多い。
■丑
ピエロのような道化役。「丑」は愉快でいたずら好きな男性で、「丑」のサブカテゴリーである「副」は邪悪でならず者である。鼻から眉間にかけて白く塗った化粧が特徴的。
■浄
赤や黒など派手に塗られた顔が特徴。「浄」と「副浄(通称:白面)」に分けられる。「浄」は男らしい「タフガイ」で、「副浄」はずるがしこい官僚など。顔の色によって人物の性格が分かれる。
■末
中年の男性。豊かな髭を蓄えているのが特徴。

実はパリスさんは広東オペラの現役の役者さんだったようで、発声や歌の説明をしているときに、実際に歌ったり踊ったりして見せてくれて参加者も大喜び。何百年も続く伝統芸能を受け継ぐパリスさん、若いのにスゴイです。彼は女性の役をすることが多いそうで、だから身のこなし方が女っぽかったんですね。細かい仕草のひとつひとつで感情を表現する古典劇の役者さんは、街に溢れる多くの女性よりも(私よりは確実に)女性らしくて色っぽい!

さあ、ひと通りレクチャーが終わったら、実際に広東オペラを観てみましょう。パリスさんの説明を聞く前は、いったい何がなんだかわからなかった広東オペラも、基礎知識を予習すれば興味が沸いてきました。残念ながらシアター内の写真撮影は禁じられていたため、肝心の広東オペラの写真が撮れなかったのですが、20分の演目はあっという間に終了。スケッチを取る女の子や熱心に見入る老夫婦など、参加者の皆さんもビギナーにはほどよい長さで、満足気です。

粤劇文物館へ

シアターを後にして、次は粤劇文物館に向かいます。展示室の中には広東オペラの舞台、小道具そして衣装などの展示品が並べられ、ガイドさんが主要な展示品の前で参加者に詳しい説明をしてくれます。クラスが始まってからすでに1時間以上経っているため、参加者もどんどん打ち解けてきて、盛んに質問が飛び交います。それに対してパリスさんも丁寧に(ややくどいくらいに  笑)解説してくれ、和やかな雰囲気の中レクチャーは続きます。
頭につける冠。簡単なものなら深水ポーでビーズを買って自分で作れるそうです。

頭につける冠。簡単なものなら深水ポーでビーズを買って自分で作れるそうです。

人気役者は自分専用の化粧台を持つことができます。売れない役者には夢のまた夢。

人気役者は自分専用の化粧台を持つことができます。売れない役者には夢のまた夢。

衣装や道具を運ぶ箱。赤色の文字は役者さんの名前。

衣装や道具を運ぶ箱。赤色の文字は役者さんの名前。


■粤劇役者に大変身!
博物館見学も終わりに近づいた頃、おもしろそうなものを発見しました。
このように画面上の印に顔を合わせて写真を撮ると…

このように画面上の印に顔を合わせて写真を撮ると…

ジャジャーン!
男前な役者さんに大変身!

ジャジャーン! 男前な役者さんに大変身!

私も負けずにやってみた。「あなたの知らない世界」状態。

私も負けずにやってみた。「あなたの知らない世界」状態。

微妙…。

微妙…。


私たちが何度も何度も変身写真で遊んでいるうちに、終了時間になりました。シアターでは引き続き広東オペラの公演を行っているので、興味のある人はガイドさんと一緒にまたシアターに戻ることができるということで、数人の熱狂的な(?)広東オペラファンの参加者の方は、またシアターに戻って行きました。

香港に来たし、せっかくだから広東オペラを見てみたいな、と一度でも思ったことがある方には、このクラスはおすすめです。この内容でこのお値段なら、沙田まで行く価値は十分にあると思います。香港在住の方も海外から外国人のお友達が遊びに来たりして、香港らしいユニークな体験をしてみたい、なんてリクエストがあれば一緒に参加してみては?以上、香港ナビレポーターアキコがお伝えしました。

その他情報

写真の一部は香港政府観光局提供です。

レポーター: アキコ  年齢: 30歳を過ぎたらしい 出身地: 関西 滞在歴: 2002年〜 趣味: 貯金と投資。でも経済に疎いため、儲かっているのか損しているのか不明。 コメント: 1年前の服がすべてアウトになりました。あぁつらい。 シリーズ名: いつかビクトリアピークのてっぺんに住む予定です。 

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-08-15

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