ここに行かずに香港は語れない名物ストリート集、其の弐!

まだまだあった奇天烈な売り物のオンパレード。路地を入ってゆけば、思わず二度見しちゃうシロモノざくざく、目くるめく香港ワールド。

みなさん残暑厳しいこの季節、いかがお過ごしですか?ご無沙汰しております、もきです。暑い暑い、とうだっておられる皆様に代わって、香港のあちこちで、またまた面白いストリートをピックアップしてみました。今回も、かなり手ごわい、実力派(?)のストリート揃いです。早速、ご一緒に探険気分で出かけましょう!

男人街~男心をくすぐるアイテムたち~

よく、女人街と男人街の違いは何?とお思いの方も多いかと思いますが、私も、男人街に行くまでは、そう疑問に思っていました。ならば、その違いを探りに行ってみようではないか、ということで、暗闇迫る夕暮れ時に、行ってきました。
MTR荃灣線佐敦(ジョーダン)駅A出口を出て右に曲がり、3つ目の通りを右折すると、廟街(Temple St)。その道を北方向にしばらく歩いていると、いつの間にかそこは男人街。
しかし、気が早まってしまったのか、初めは、まだ日の明るい時間に行って、閑散とした街並みで、露店もやっていなくて、出鼻をくじかれました。やはり、夜の闇の差し迫った時間からが、「男の時間」なのでしょう。さすが、昼間から店を開けている女人街とは違います。夕暮れ時からしか店を開けない、男のこだわり。ダンディズムを感じます。
時間を持て余したので、周辺を散策。近くに、天后廟というお寺があったので、敷地内の日陰で涼んでいようと、入ってみたら。
ベンチはすべて、おやじ達に占領されていました。女性のように、世間話に花が咲くわけでもなく、ただ黙々と座っているのみ。参拝客でもなさそうです。いくら日陰とはいえ、ここにいるより家で涼めばいいのに、それでもここに集うおやじ達。家での居場所がないのでしょうか。そして、ある一定の割合で必ずいるトップレスおやじ。一角で、たくさんのおやじが集まって、熱心に何かを見ています。そばに行って覗いてみたら、2人のおじさんが囲碁のようなものをやっていました。
こんなに見物人が集まっているのに、誰一人言葉を発していません。アンニュイな昼下がり。
続いて行ったのは、玉器市場(ジェイド・マーケット)。室内に、翡翠の飾りものや、アクセサリー、小物がたくさん売られています。品質については何とも言えませんが、なかなかかわいいアクセサリーが結構ありました。とあるおじさんは、何枚か、説明カードを持っていて、石の種類の説明の書かれたカードを見せ、ニコニコしながら、熱心にあれこれ商品を勧めた挙句、「当店ではこれ以上値下げはできません」と日本語で書かれたカードを、無言で出しました。こんな場所で、値段交渉不可、の強気はどこからくるのでしょうか。ジェイド・マーケット、あなどれません。
そうこうしているうちに、日も翳ってきて、夕暮れ。見ると、さっきまでなかった露店が、既に多数出て、商品を広げています。早速、入ってみました。

店の商品を見ていくうちに、だんだんに分かってきたのは、やはり、「男人街」とあって、男性向けの商品が多く陳列してあること。初めのうちは、それでも、女人街との違いがさほど感じられなかったのですが・・・
よく見ると、おもちゃのピストル。さまざまな形のライター。小物掛け。なるほど。こういった、生活必需品からは程遠い、男の趣味の小物コレクションが、男の興味をそそるのですね。確かに、お客さんも男性が殆ど。皆さん、興味深げに商品を物色。
男は身だしなみから。男性用シャツも売っています。炎天下、汗びっしょりになったままの格好で、夕方、彼女とのデートは恥ずかしいですからね。ここで買って着替えるのが男。
男の部屋に一枚は飾りたい、掛け軸!馬、虎、山水画!これ一枚で、ちょっとしたリッチ感が出ること必至。

男の部屋に一枚は飾りたい、掛け軸!馬、虎、山水画!これ一枚で、ちょっとしたリッチ感が出ること必至。

男は栓抜き一つにもこだわりを忘れません。手のひらにしっくりと収まる、セミヌードの女性の型の栓抜きで、今宵も部屋で、手酌でビール。

男は栓抜き一つにもこだわりを忘れません。手のひらにしっくりと収まる、セミヌードの女性の型の栓抜きで、今宵も部屋で、手酌でビール。

不思議なキーホルダーを発見。「TOYOTA」とか「BMW」などのブランド名や、ヌードの女性、「007」など有名な映画名が、点滅しているキーホルダー。世界に通用するビッグな名前を持ちたいのが男。それを持って、ひとときでも、スケールの大きな男になった気分を味わえる夢のアイテム!
Tシャツも、女人街とは違って、男性向けのデザインのTシャツばかり。その中でもひと際目を引いた、「無頓着」Tシャツ!「NO RISK NO REWARD」!この強気の姿勢こそ、男の理想形!
男はいくつになっても少年の心を忘れない!クルマやボートのミニチュアに、子供のように心を奪われる男たち。
女性用の下着やウィッグも売っています。もしや、そういう趣味の方が買われるのでは・・・はたまた、彼女に、「今夜はこれを着て欲しいんだ」と、最後の口説き文句を・・・。私の妄想もふくらむばかり。
男の書斎に飾りたいアイテム!マリン好き、ゴルフ好きにはたまりません。言わなくても、こういうところで、さりげなく自分の趣味をアピール出来るところが、心憎いですね。
自分のものばかりでなく、家族にもプレゼント。キラキラときらめく小物や髪飾り、ニセモノブランドバッグも売っていました。しかし、細かい違いが分からない男の哀しさ。似てもいないニセモノを、同じロゴなだけで本物と勘違いして、「安かったヨ」とバッグを奥さんに買って帰り、かえって怒られる男たち。
男はこういうところで腹ごしらえ。小むずかしいメニューは不要。「海鮮」「小菜」「麺」「飯」、「豚」「牛」「鶏」「魚」「菜」。これで今日の晩飯を決定するのが男。要はおおざっぱ。ゴハンを食べながら、「オレも昔はさぁ」といった、過去の武勇伝・栄光話に花を咲かせてゴキゲン。
男人街は、女人街に比べたら、出店の数は少ないのですが、それでも、充分楽しめるストリートであることが判明しました。女人街ほど人混みもなく、しかも、ストリート自体が広めなので、動き回りやすいのも特徴の一つ。何故か、西洋人の男性客が多く、熱心に見て回っていました。そばには、夕ご飯も食べられる、屋台チックな海鮮料理屋さんもあるので、夕ご飯の前後に、この男人街を訪れ、男のロマンに浸るのも乙なものでしょう。

スタンレーマーケット(赤柱市場) ~あまりにも刺激的なお土産たち~

さて、香港中心部から外れた、香港島の南側、西洋人も多く集まる、リゾート風な海辺の街には、一体どんなものが売られているのか?やはりここは、女人街や男人街とは少し違った趣の商品を期待させます。というわけで、どんぶらことバスに揺られて、やって来ました。
MTR中環(セントラル)駅のA出口から、交易廣場(バスターミナル)へ徒歩2分。そこから、6、6A、6X、260番のバスに乗って、スタンレーへ。九龍サイドからは、尖沙咀(チムサーチョイ)駅のJ2出口を出て、新世界中心(ニューワールドセンター)前のバス停から、973番、赤柱市場行きのバスに乗ります。
バス停を降りると、お洒落でモダンな建物がありました。図書館や博物館があるようです。しばらく来ないうちに、お洒落な街に生まれ変わりつつあるスタンレー。
お店が並ぶ方へと歩いていくと、早速、スタンレーで有名なおみやげ、花文字を発見しました。よく見ると、額に飾られている花文字は、日本人の有名人・・・説明書きも日本語。花文字を作っていたおじさんも、日本語ペラペラでした。ちなみに、「Mike(マイク)」という名前は、漢字で「米」に変換されていました。米・・・。
ネクタイが個性的過ぎていていいですね。敢えて説明はしませんが・・・場所が郊外の海辺だけに、やや開放的なデザインも、すんなり受け入れてもらえるのでしょう。こんなネクタイで、日本まで帰国してみては。スリリングなことこの上ありません。貴方の中で、何かがハジけることでしょう。再入国拒否にならなければいいですね。個人的には、この先少しイヤな予感がしました。
絵画を売っているお店も多数あり、美しい色で塗られた香港の風景などに、目が和みます。
しかし、目が和んでいるのも束の間でした。ポッキーバッグ。コロンバッグ。ハイネケンバッグ。たまに香港の街中で、このようなバッグを持って歩く人を目にする度に、私の中の美意識が音を立てて崩れ落ちていましたが、元凶はここにあったのでした。
VISAハンドバッグ!高級ホテルでのパーティーに、ドレスアップして、このハンドバッグを脇に添えれば、あなたはもうスター。壁の花になることはありません。「他人と同じなのはイヤ!」という、アナタにぴったり!
おもちゃ屋さんも、服屋さんも、よそとは違う品揃え。西洋人がよく抱きがちな、「東洋人のイメージ」そのまま再現したような衣装ですね。
毛沢東様です。ありがたいお言葉集や、肖像版画、皿など。本当に敬愛されているのか、レトロなデザインとして、いいように利用されているだけなのかは、微妙です。 
女人街でもおなじみの、セクシー衣装も、スタンレーでは、路地裏扱い。確かに、他の商品がスゴ過ぎるので、それも納得。
中国帽とか・・・香港に行った友人から、貰ったおみやげがコレでは、友情にギモンを抱いてしまいそうです。
大仏ヘッド。誰が、何のために買うのでしょうか。しかし、こうして並べられていると、迫力がありますね。オーラも感じ、何だかありがたい気さえしてきます。
店の奥に行けば行くほど、ディープな商品が。ステキなアンティーク調の木彫りの電話。作った人の念が入っていそうですね。悪徳セールスの電話なんか、かかってこなくなりそうです。
路地の奥の店にて。もう、何というか、脱力。こんなトコまで来て、こんなモノが売られているので、油断なりません。人間、行き着くところはここなのでしょうか。ほんと、人間の考えることって!!とか言いつつ、実際には、これを見て大ウケしていて、店員さんに睨まれました。
来た方向を逆戻りして、レストランが立ち並ぶ方へ向かいます。以前、海岸沿いの一帯を工事していたのですが、今は、このように、こじゃれたカジュアルレストランが出来ました。カップルが夕日を見たりのんびりと散策したり。しかし、ヒワイな土産物を見た後では、ロマンチックな気分になど浸れません。
流行のアクセサリーや服を売っているお店も、少しですが、ちゃんとあります。でも、時既に遅し。
スタンレーは、お洒落な街になりたいのではなかったのでしょうか?ふたを開けてみれば、案の定、「洗練」とか「クール」とかいう言葉とは程遠い、ベタな土産物屋であふれていました。しかも、個性的かつ開放的なおみやげばかり。数ある名物ストリートの中でも、「突き抜け感」があるのは、ここぐらいなのではないでしょうか。

摩羅上街(キャット・ストリート) ~時代の流れを感じるレトロな雑貨たち~

上記のストリートとは、だいぶ趣の違う、ノスタルジーを感じさせるアンティークの小物が揃うストリートです。近くには、文武廟(マンモウミュウ)というお寺や、骨董品屋さんが立ち並ぶ荷李活道(ハリウッド・ロード)もあって、落ち着いた佇まいの雰囲気が味わえます。

MTR港島線、荃灣線 中環(セントラル)駅D2出口を出て右に進み、つき当たりを左へ進んで、皇后大道中(クイーンズロード・セントラル)に出ます。交差点を渡って、その道沿いに右に進んで、ヒルサイド・エスカレーターに乗り、荷李活道(ハリウッド・ロード)で降りたら、西の方向に歩いていくと、左手に、文武廟(マンモウミュウ)が見えてきます。その正面にある、石畳の階段を、下りた一つ下の通りが、摩羅上街(キャットストリート)です。
店の中で、ひときわ赤々とした小物を発見。近づいてみると、チリ(唐辛子)の房です。説明を読むと、「チリ(富)の引き付けること」・・・。チリ、と言えば、「ちりも積もれば山となる」ということわざしか思いつかないのは、私だけでしょうか。
京劇の人形劇に使われるような人形。目に鮮やかで、人目を引きます。
主なお客さんのターゲットは誰なのでしょうか、毛沢東の柄のお茶碗や、グッズ、陶器の置物まであります。他のストリートでもよく見かけますが、売れ行きが良いのか疑問です。
大仏ヘッドとキリスト。「これを買えば幸せになれる!」そう思ったあなたは、これを買う以前に、既に幸せです。
昔の映画のポスターの絵など。 昔の映画のポスターの絵など。

昔の映画のポスターの絵など。

奥のほうには、ローカルな喫茶室。ちょっとひと息、に便利です。
ハリウッド・ロードに面して、アンティークのお店が立ち並んでいますが、少しも楽しくありません。店の中に、店員より明らかに大きいと思われる像が2体、店の奥には無尽蔵に色んな像が。西洋人夫婦が、何かにとりつかれたかのように、馬や埴輪のような像を熱心に見入っている光景をよく目にしますが、こんなところで何を血迷っているのでしょう。家に置いてみて後悔、する間もなく、子供がボールをぶつけて破壊。そんなネガティブな想像をうっかりしてしまいます。
香港でも有名なお寺の近くにあるとあって、さすがに奇天烈な商品は少ないです。でも、中環(セントラル)から少し歩いただけで、静かな街並み。たまには、香港の喧騒から離れて、こんな雰囲気を味わうのも、すがすがしい気分になれます。

いかがでしたか?なかなかアクの強いストリートたちでしたね。行った日は、商品があまりに強烈な印象のため、その日一日、頭にこびりついて離れませんでした。何でも作りゃいいってもんじゃないよ、と思いつつ、面白いモノ見た、という楽しい気分にもなりました。人間、単純が一番ですね。ではまた、街のどこかでお会いしましょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-08-30

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