香港セブンス2012 大会リポート

この時期の香港のスポーツといえば7人制ラグビーの香港セブンス。今年は本命のニュージーランドを下したフィジーが優勝しました!

みなさんこんにちは。香港ナビです。今の香港は暑くもなく、寒くないという期間は短いですが気温的にベストシーズンを迎えています。毎年このベストシーズンに開催されるのは香港最大のスポーツイベンの香港セブンスです。今年は3月23日から25日まで香港のスポーツのメッカ、香港スタジアムで開催されました。

東京でもセブンスが開かれます

セブンスラグビーは11月から5月まで世界各地を転戦しながら戦っているシリーズです。優勝、準優勝など各順位ごとにポイントが振り分けられ総合優勝を狙います。今シーズンは9カ国と地域で行われ、香港は第6戦にあたります。他のセブン大会では参加国は16カ国なのに対し、香港は24カ国で、香港セブンスだけはステータスが高くなっています。それは香港が実質7人制ラグビーを発展させたことに大きく寄与していることが関係しています。
今年から、東京でセブンスが香港セブンスから1週間後の3月31日と4月1日に開催されました。なんと11年ぶりの復活です。足を運んだ方もいるかもしれませんね。
芝生の上に書かれたペイント。何が書かれているかわかりますか?

芝生の上に書かれたペイント。何が書かれているかわかりますか?

観客席からみるとこうなります。東京セブンスでも”TOKYO”の文字が入ると思います

観客席からみるとこうなります。東京セブンスでも”TOKYO”の文字が入ると思います

選手の加速力に注目

セブンスはその名前の通り7人でラグビーをする競技です。一般的な15人制ラグビーの半分以下の人数で行われるにも関わらずフィールド自体の大きさは15人制と同じです。ですので1人あたりの選手が使える空間が大きいので15人制のような力勝負というよりは、走りを中心としたラグビーが展開されます。トップ選手のスピードは速いのは当たり前ですが、フィールドの大きさの約100メートルを走るわけではありません。数十メートルの距離を何度も走るという状況です。つまりできるだけ短い時間にトップスピードにのる加速力が求められます。トップ選手の20メートルまでの加速力に驚かされると思います。
フィールドの大きさは変わりません

フィールドの大きさは変わりません

スクラムなどが15人制のイメージ

スクラムなどが15人制のイメージ

7人制は走りが中心です

7人制は走りが中心です

★今年からフォーマットがかわりました

ラグビーの本質さえ変わらなければお客さんはフォーマット変更も気にしません

ラグビーの本質さえ変わらなければお客さんはフォーマット変更も気にしません

見所でも紹介しましたが、今年の香港セブンスから大会フォーマットが大きく変わりました。これまでは24チームと4チームずつ、6プールに分けて戦っていました。しかし今年からはセブンスシリーズ全戦に出場するトップチーム(ニュージーランド、オーストラリア、イングランド、サモア、フィジー、フランスなど)のコアチーム(JリーグのJ1と考えるとわかりやすい)と残りの12チームに振り分けます(J2に相当)。来シーズン、各大会とも香港を除き16チームで全戦を戦いますが、J2からトップ3チームを自動昇格させ、残りの1チームを開催国・地域枠とすることが決まったのです。
具体的に言いますとJ2の12チームを4チーム、3プールに分けて予選を戦い、各プールのトップ2チームと各3位の中から成績上位(勝ち点や得失点など)の2チームが決勝トーナメントに出場します。そこで勝ち残った3チームがコアチーム入りを果たします。香港セブンスは来年以降はコアチーム入りを目指す入れ替え戦の役割を果たす予定です。これも24チームで開催されるという香港の特別さが生み出したといえます。今大会の日本はロシア、ポルトガル、ガイアナと同じプールFに入りました。
フォーマット変更は賛否両論がありました。肯定的な意見としてはコアチーム同士の対決、J2レベルのチームの対決により大差がつく試合が減って接戦が増えるという点です。一方で、弱いチームが全力で強豪チームに向かっていくという姿が見られなくなることと、強豪国との試合機会が減ってしまい、チームとしてのラグビー経験値が下がってしまう点です。実際、どのような作用を起こすのかはあと数年しないとわかりませんので状況を見守りたいところです。
フォーマットが変わっても香港セブンスそのものの魅力はなにも変わりません。競技ルールが変わったわけではありませんし、観衆はコスプレを楽しんだり、ラグビーを通じて交流を広げています。ビールやお土産、食べ物が飛ぶように売れますから経済効果も見込めます。
食べ物を求める人でいっぱい

食べ物を求める人でいっぱい

各国のポロシャツを売っているお土産店

各国のポロシャツを売っているお土産店

店の裏にはビールサーバー用の巨大なビール缶

店の裏にはビールサーバー用の巨大なビール缶

コスプレーヤーが多い南スタンド用の列に並んでいる客。すでに4時間待っていたそう

コスプレーヤーが多い南スタンド用の列に並んでいる客。すでに4時間待っていたそう

毎年、いろいろなコスチュームを仕込んでいます

毎年、いろいろなコスチュームを仕込んでいます

白い服を着た女性が印象的なコスプレをしている人を選び、カメラマンに指示。場内スクリーンに映されます

白い服を着た女性が印象的なコスプレをしている人を選び、カメラマンに指示。場内スクリーンに映されます

フィジーがNZを下して優勝

喜びを表すフィジーの選手たち

喜びを表すフィジーの選手たち

香港セブンスの優勝者を決める「カップ戦」はコアチームの12チームから決めます。コアチームはほとんどが強豪なので期待通り盛り上がった試合が多く、その厳しい戦いを勝ち抜いて決勝トーナメントに進んだのはフィジー、アルゼンチン、オーストラリア、イングランド、サモア、南アフリカ、ニュージーランド、ウェールズでした。
その中で決勝に進んだのはフィジーとニュージーランドです。フィジーは香港セブンス12回の優勝を誇る最強国の1つですが、世代交代がうまく進まなかったことと、監督解任などでここ数年、フィジーにしては精彩を欠いていました。しかし、今年は5戦して優勝1回、準優勝1回と好成績をおさめています。ニュージーランドはこれで香港セブンス3年連続で決勝進出です。今年も優勝2回、準優勝2回と抜群の成績で優勝候補の筆頭です。ただ決勝だけ見てみますとフィジー対ニュージーランドの戦いは1勝1敗の五分。この決勝はボクシングでよく好んで使われる「ラバーマッチ」となりました。
ニュージーランドが押す展開と思われましたが、先に点をとったのはフィジー。開始前半1分に右から展開して中央にトライ。2分後にもトライを決めて14対0とフィジーがリードします。しかし、前半5分40秒に華麗なパス回しでトライを決めると、前半のロスタイムに力で強引にトライを決めて14対14の同点で前半を終えます。これぞ決勝という試合になりました。後半2分、前半の2つ目と同じようなパントを利用した攻撃でトライをフィジーが決めます。その後、攻撃の決め手を両チームとも欠くのですが、7分にフィジーがセットプレーからつないでトライを奪いニュージーランドを28対14と突き放します。追いこまれたニュージーは8分半にトライをあげて追い上げ体勢に。しかし、フィジーが試合終了10秒前にトライを決めて万事休す。ロスタイムにニュージーがトライを決めましたが35対28でフィジーが頂点に立ちました。
フィジーのディア監督は「ボールポゼッションが良かったのが勝因」と涙を浮かべて喜んでいました。一方、ニュージーランドのティジェンス監督は「フィジーを相手に先行を許すと逆転するのは厳しい」と述べました。
他の結果ですが、「プレート」はサモアが、「ボウル」はケニア、「シールド」はカナダが制しています。
「プレート」は2年前のカップの覇者であるサモア

「プレート」は2年前のカップの覇者であるサモア

ケニアが「ボウル」を制しました

ケニアが「ボウル」を制しました

「シールド」はカナダでした

「シールド」はカナダでした

日本はコアチーム入りを逃す

 コアチーム入りを今シーズン最大の目標に据えた日本代表。翌週には東京セブンスも控えているだけに良い手土産を持って帰国したいところです。初戦はロシア戦です。村田亙監督は将来を見据えて18歳の高校3年生、藤田慶和を先発させます。藤田は1トライを上げる活躍を見せましたが、日本は7対14で敗れます。2戦目はポルトガル。トライを積み重ねて前半を22対0と大きくリードします。しかし、「キックの方向を変えてきた」(村田監督)というポルトガルの攻撃に翻弄され、なんと後半の最後のプレーでトライを奪われて22対26で敗戦となります。予選の最後のチームはガイアナです。終始圧倒した日本が38対5で完勝します。日本は3位チームのなかでトップ2チームの1つとなり、コアチーム進出をかけた決勝トーナメントに滑り込みました。
初戦はなんと地元の香港とあたることになりました。今回の香港は予選全勝で予選を勝ち上がってきており油断なりません。試合は延長までもつれ込みましたがトライを奪って10対5で何とか勝利します。準決勝はスペインとなりました。リードされる展開となりましたが、ホイッスル直前にトライを上げて12対12となり、日本は香港戦に続き延長戦を戦うことに。開始2分前にトライを奪われて12対17で敗戦となり3位決定戦に進むことになりました。相手は予選で逆転負けを喫したポルトガルです。ですが、前半を7対21とリードされてしまいます。後半は互角の戦いとなり12対12のスコア。つまり前半の失点が響いて19対33で敗北となりました。
フィールドに向かいます

フィールドに向かいます

トライを目指す日本選手

トライを目指す日本選手

写真で振り返るセブンス

いかがでしたか? チケットはいつもながら完売したため特に日曜日の最終日は大勢の観客で盛り上がりました。また、新しいフォーマットで点数が拮抗したこともありさらに盛り上がったという感じです。最後に様々な写真を載せますので、香港セブンスの雰囲気をつかんでください。以上、香港ナビがお伝えしました。
入口前の手荷物検査

入口前の手荷物検査

観客が乱入しないようにハーフタイムにはガードマンが監視

観客が乱入しないようにハーフタイムにはガードマンが監視

かつらが目を引きます

かつらが目を引きます

香港セブンスの運営者も楽しんでいます

香港セブンスの運営者も楽しんでいます

女性審判団。男性の試合でも副審などでジャッジすることもあります

女性審判団。男性の試合でも副審などでジャッジすることもあります

選手の入場音楽に合わせて太鼓が披露されました

選手の入場音楽に合わせて太鼓が披露されました

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-04-03

ページTOPへ▲

その他の記事を見る